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コーヒーブレーク 21「奥の院」

 

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ずだぬれに天と地の梅雨入かな

当地では今年は6月中旬に梅雨入り宣言が出されたと思ったが、わりあい天気のいい日が続いており、あまり梅雨の季節という気がしない。世界的な天候異常があって、なんだか天気のようすもわけがわからなくなっている。/しかしながら地球温暖化説は数十年以上の長いスパンでみれば科学的に妥当な説であるように思う。実験室で実験してみるわけにもいかず100%の確度とはいえずとも、高い確度でそれは各種のデータから裏付けられている。一部の学者で温暖化説に疑義を呈している人もいるが、いずれも「木を見て森を見ず」の短期的局所的知見にすぎないようである。また地球温暖化説は原子力発電推進のための捏造とする主張もあるが、それにうまく利用されてきたということと、その論理自体の正否とはまた別であるという単純な話を理解できない人がいるのは困ったことだ。日本はすでに温帯ではなく亜熱帯である。

遠足の子の地にこぼれておりにけり

遠足は俳句では春の季語とされているのだが、遠足が文字通りに足で歩いてやや遠くの海や山などに行楽目的で出かけた時代とちがい、いまはたいていが移動にバスや電車などの交通手段を用いての遠足だ。だからか遠足の実施時期は必ずしも春ではなく夏とか秋であることも珍しくはない。これなども伝統的な季語の概念が実態とは乖離しつつあることの一例だろう。/私は遠足の句というといつも嶋田青峰の<遠足の富士見ゆるとて囃しけり>が思い出すのだが、これとても今の子どもたちはさほど景色には興味を示さないようなので、もはや時代錯誤の郷愁でしかないのかもしれない。

夏至の日の奥の院本所にさす日の光

夏至は一年中でもっとも昼の時間が長く、夜の時間が短い日。いちおう定義としては太陽黄径が90度のときで、6月21日か22日あたりになる。反対の、一年中でもっとも昼の時間が短く、夜の時間が長い日である冬至と比べると、昼の長さは4時間50分も長い。晴れていれば午後7時をすぎてもまだ空が明るいですね。/夏至は太陽が天球において最も北よりになり、南中高度が最大となるため、そのときだけ一年に一度だけ日が射すところがある。宗教的施設ではそれをねらってその場所に建造物を構築またはその箇所を聖なる秘所として措定することがある。アーチストでもそういう人がいたな。

(※ 上の写真は湧水の流れる渓流の底の岩肌にびっしりと沈水性の苔の一種 ナガサキホウオウゴケが生え、陽光にきらめいているようすです。)

 

リメーク

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ずっと昔24年前に当工房で個展用に製作し、お客様にお買い求めいただいた抽斗15杯のトールチェストを、2つのデスクワゴン(左側)と1つの飾台(右側)とにリメークしました。抽斗の前板はすべて異なる樹種の広葉樹の無垢板で、これはそのまま再利用。本体はクルミでまったく新たに作りました。

前身のトールチェストでは色の最も薄い抽斗を上に、最も色の濃い抽斗を下になるように順に並べたのですが、リメーク品では全部をそのとおりには並べることはできませんでした。新しいものでは3段目の抽斗は、本体の歪みを抑えるために中板が入っている関係で他の抽斗より内部が20mmほど薄くなっています。したがって3杯あるその抽斗はワゴンでも飾台でも中央にもってこざるをえないからです。

また直射日光にはさらされてはいないとはいえ、20年以上も経つとけっこう色がやけてくるのですが、その程度は樹種によってかなり差があります。はじめはかなり白っぽかったものが同じ樹種とは思えないほど急速に濃くなったり、年月が経ってもさほど色味は変化しなかったり、逆にはじめの頃より若干淡くなったり。その意味では経年変化(変色)の期せずしてかっこうのサンプルともなりました。

サイズはワゴンが幅390mm、奥行425mm、高さ650mmで、下に4個の自在キャスターがついています。飾台のほうは幅394mm、奥行415mm、高さ823mmです。抽斗の前板の大きさは幅330mm高さ110mmですが、痛んでいた革製の取手は木製(クルミ)の把手に交換しました。前の把手の穴隠しも兼ねているので、見た目のバランスとしてはやや大きいですね。

無垢材だけでできている家具はこの例のようにリメークが可能な場合が多いのですが、まったくの新品よりもかえって手間がかかる場合があり、仕上がりもどうしても新品ほどにはきれいに精緻にいかないことがあります。上のワゴンと飾台でいえば、インセットの抽斗はもともとが本体に入れ込むときに微妙に個々に削りあわせているためにわずかながら寸法が異なります。その抽斗を新しい本体にまたインセットで納めているので、抽斗ごとの差は倍化することになります。通常このサイズの抽斗であれば本体との隙間は上下で1mm以下、左右で0.3mm程度なのですが、今回はすべての抽斗をそういうわけにはいきませんでした。

6月の胴腹ノ滝

 

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胴腹ノ滝へは6月は3回出かけました。6月6日・16日・27日です。梅雨入りしたにもかかわらず比較的雨の少ない月でしたが、滝の湧水量は春以来ほぼ一貫して増えています。写真は6月16日の午後2時頃のものですが、これだけでもかなりの水量であることがわかるかと思います。27日は16日とほぼ同じかやや水量が減ったようにも見えますが、ピークが過ぎたかどうかはまだわかりません。

各点の水温や気温は以下のとおりです。単位は℃です。
胴腹ノ滝の右側(湧水)    8.8    8.8    8.9
胴腹ノ滝の左側(湧水)    8.7    8.7    8.8
鳥居の前の表流水       9.4    9.3   10.0
胴腹ノ滝の前の気温     20.4   18.8   23.3
鳥居の前の気温       21.9   20.4   25.5

毎度の傾向ですが、湧水の温度はほとんど変わらずか微増であるのに対し、表流水はそれよりはずっと顕著に上昇しつつあります。気温のほうは冷たい湧水の影響を多く受ける滝の前の気温は、さほど水温の影響を受けない鳥居の前に比べてコンスタントに1.5〜2℃程度低いことがわかります。

 

黄銅鉱&ぶどう石

 

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昨年8月以来のひさしぶりの鉱物ネタです。上が黄銅鉱、下がぶどう石です。こういった鉱物コレクションは仕事にも生活にもまったく関係しない趣味100%の世界なので、なかなか思うようには進展しません。今回の2種類の鉱物もインターネット上での某サイトで目にして以来ずっと興味があったのですが、先日やっとのことで入手できました(といっても酒飲みが一回お店で飲んで代行車をたのむ程度の金額ですが)。

黄銅鉱は一見したところ金(ゴールド)みたいにきらきら輝いています。小さな子どもなら「これは金だぞ!」ともっともらしく言われれば信じてしまいそうなほどのきらめきです。閃亜鉛鉱上に成長した結晶群で、大きさは67×54×23mm、重さ146gで、ブルガリア産だそうです。

黄銅鉱(chalcopyrite、キャルコパイライト)は銅と鉄と硫黄からなり、化学組成としてはCuFeS2(右下に小さく数字を付けることが私のワープロソフトではできない)です。結晶系は正方晶系、モース硬度は3.5〜4、条痕は緑黒色、比重は4.2

ぶどう石はまさにマスカットのぶどうを思わせる淡緑色で半透明の鉱物です。マスカットでなくともたいていのぶどうは皮をむいたら中身はだいたいこういう感じですね。写真のものは不定形ですが、ものによっては丸い粒状で房をなしているものもあって、それこそ離れて見たらどうしてこんなところにぶどうが落ちてるんだ?と思うかもしれません。大きさは63×51×32mm、重さ109gで、スペイン産です。

ぶどう石(Prehnite、プレナイト)はアルミニウム珪酸塩鉱物の一種で、化学組成はCaAl(ALSi3O10)(OH)2で表されますが、同じ珪酸塩でもマグマの温度によってさまざまな結晶形態を取り、ぶどう石はその中では比較的温度の低い熱水作用により生成されるとのこと。結晶系は斜方および単斜晶系、硬度6〜6.5、比重2.8〜3、色は淡緑のほかに白色・黄色。

 

動物のような

 

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ついこの間のことですが暑い日の夕刻、樹木の頭ごしに雲がむくむくと頭をもたげてきました。目をこらさなくてもすぐにわかるくらいの速さで形を変えていますが、ほんの一瞬動物が立ち膝姿で上を向き腕をひろげて何かを訴えているようなかっこうになりました。なんだか耳目鼻口とか大きな尻尾もあるような。

 

コーヒーブレーク 20「醜きもの」

 

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苗床や醜きものは捨つるべし

花卉園芸などを播種から行っている方はよくご存知だろうが、一本の草花から取れる種子の数は膨大で、それをみな撒いたとすると発芽率がそれほどよくない場合ですらたくさんの苗が生ずる。自然界では他の動物などから食われたり菌におかされたりして発芽以前の段階からすでに自ずと数が減っていくのだが、それは種子相互の優劣の差といった理由よりはほとんどが運・不運の差である。運がよければ生きのび、運がわるければ死滅する。/しかし人工的に保護された環境では、自然的な淘汰圧はあまり働かないので、そのままでは過密でもやし状態になるか病気で一気に全滅する危険がある。また、もし全部の苗がすくすくと順調に成長したとしてもそれをみな本植えして育てるだけの空間も手間もお金もない。/それで必然的に間引いて育てる数を順次減らしていくのだが、その際の選別するポイントはそれほど明瞭単純ではない。より大きく元気に育っているものを優先的に残すならまだ簡単だが、あえてすこし毛色の変わったものを残すことも少なくない。斑が入っている、葉が異様に小さく密生している、花の色がふつうと異なる、直立すべき茎が湾曲している、などである。/園芸家のきわめて主観的で偏向したその選択眼にかなったものは残され、そうでないものは容赦なく抜き捨てられる。せっかくここまで育ったのにもったいないとかかわいそうなどと躊躇していたのではけっして一流の園芸家にはなれないだろう。

箱庭に震度8の地震及びたる

私自身が実際に経験したことのある地震の震度は5弱が最大である。小学校5年のときだったかの新潟地震(1964年)だ。地面が大きく左右に揺れてまともに歩くことができなかった。さいわい近隣では死者はほとんどなかったが、建物などはだいぶ損害を受けたと記憶する。それから数十年後のあの「3.11」(2011年の3月11日)の東北大震災のときは震度4強だったろうか。/防災センターの「地震体験コーナー」で子どもたちと震度7の揺れを30秒ほど味わったことはあるが、家具に見立てた発泡スチロールの食器戸棚などはほとんど瞬時にくずおれてきた。もしそれが本当の地震で震度7だったらまさに阿鼻叫喚だろうと思った。/一般に広く用いられている気象庁震度階級では、地震の震度は0から7までで、震度5と6にはそれぞれ強・弱の別があるので、全部で10段階。したがってほんとうには震度8の地震というものは存在しない。/箱庭は一人で抱え持てる程度の大きさの箱様の容器に、植栽があり築山があり水流があるような庭園を模したもので、夏の季語とされる。また地震と書いて俳句では「ない」と読ませることがある。

 全人類プレートにすがりて漂えり

地球の表面をおおう地殻=プレートがゆっくりと動いて循環しているという「プレートテクトニクス」論を初めて耳にしたのは40年以上前の高校の地学の授業だった。地学の先生が「まだ教科書には載ってないけどこういう面白い理論があるんだ」と口頭で紹介してくれたのである。さすがにそれを荒唐無稽のトンデモ論だと思った生徒はあまりいなかったようだし、私自身はさもありなんと受け止めたが、もしそれがさらに数十年も前であったなら当然聴衆の反応は違っていただろう。/プレートテクトニクスは1912年にアルフレート-ヴェーゲナーによって初めて提唱され、その原動力として1928年にアーサー-ホームズによってマントル対流説が主張され、1968年にツゾー-ウィルソンにより諸説がまとめられることでようやく学会の定説となったという。きちがい扱いされたヴェーゲナーから半世紀以上たってようやく広く認められるようになったわけである。人間の人間自身および環境に対する認識はいまも揺れ動いている。

 

バンドソー

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DSCN2524_2新入りのバンドソー(帯鋸)です。上が表側で、下が裏側からみたところ。これまで使用していた中古のバンドソーがあまり調子がよくないことと、お客様からの注文の仕事で背が300mmくらいある木材をそれで板や角材に製材するには無理があるため、やむなく新調しました。お客様にもそのような事情もあって新しくするということで、導入費用の一部を負担していただくことで合意いただきました。まことにありがたいことです。非可搬型の大型木工機械の導入は10年ぶりくらいですが、上記のような理由なり経緯がないと不可能なことです。

新しいバンドソーは米国製のスポークシェイブ(Spoke Shave)というブランドのものでホイール径15インチ(約380mm)、最大挽割高さは330mm、装着鋸刃幅6〜25×長さ3340mm、モーターは単相200Vで3馬力あります。モーターに余裕があるので運転音も静かですね。

 

下の写真は操作部分のアップですが、しっかりした使いやすい定規、刃を上下ともに各3個のベアリングでぶれを押さえる仕組み、ONスイッチを押しただけではモーターが動かないようになっていること、定盤の急な動きをエアスプリングで抑制する構造など、必ずしもこの種の機械に手慣れたプロでなくとも大丈夫なように使い勝手や安全性にかなり配慮されていることがわかります。製造は中国のようですが、国産のバンドソーにくらべればものの割にはずいぶんお買い得と思います。

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ただ主に欧米人をユーザーに想定しているせいでしょうか、定盤がかなり高い位置にあります。機械を床に固定するならそれでもまあいいと思いますが、長尺材を挽き割るなどする場合は機械本体を移動する必要があります。そのためにキャスター付きで懸架式の頑丈な架台を鉄工所で作ってもらいました。これで床面から3cmほどの高さに機械の下端を押さえることができました。やや大きめにしたので地震で倒れる心配も少ないと思います。

 

ウミネコ

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鳥海山の麓の水田に中型の白い鳥がたくさん群れています。ウミネコです。田んぼに「湧いた」虫等をついばんでいるようです。

思わず車を止めて撮影してしまいましたが、30mくらいの距離まではそっと近づくと大丈夫のよう。まだ背丈の低いイネの間に白い鳥が多数散らばってひょこひょこ歩いている光景は、なにか超現実的な感じさえします。ただ、大型の車が通過したりすると数十羽がいっせいに飛び立ち隣の田んぼに移動したりします。

ウミネコはカモメの仲間で、体長45cm、翼開張125cm、体重は0.5〜0.6kgくらい。身体の大きさのわりには体重はやはり軽いですね。本来は海の沿岸や河口・干潟などに棲息する鳥ですが、内陸部でも見かけることが多くなってきたのは、水田の農薬の使用が減って昆虫などの小動物が増えているためとみられます。写真は日本海から直線距離で6kmほどのところですが、付近をねぐらにしているようすはないので、餌をもとめて毎日海岸から飛来してくるのでしょう。

 

O様邸リフォーム工事 6

 

お風呂のシステムバス(ユニットバス)が入りました。タカラの「ぴったりサイズ レラージュ」という製品です。もともとの間取りが柱真間6尺×6尺の一坪ではなく、5尺×5尺という変則的な空間だったので、基本的にそれに合わせてのリフォーム工事のため色々とたいへんでしたが、無事に収まって一安心です。間口1564mm奥行1314mmの特注サイズながら、間口方向はどうしても既存の空間のままでは設置不可能。それで、隣室側に20cm柱を移動したのですが、それにともなって基礎の増設や土台&柱の立て替え、梁の補強など を行いました。

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1枚目の写真はお風呂の室内空間に収まったシステムバスを外側から見たところです。もちろんこのあと壁を作りますので、システムバスの外側を目にすることができるのは今だけです。

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2枚目の写真はシステムの屋根部分を外からのぞいたところですが、屋根から突き出ているのは浴室用のエアコンで、乾燥機能も付いているので浴室内で洗濯物を乾燥させることもできます。ただこれの寸法が通常の換気扇より大きいこともあって、2階の荷重を背負っている梁の一部を欠き取らなければなりませんでした。しかも図面だけでは正確な寸法が分からず、結局システムを組み立てるのと同時並行で、大工さんが梁を欠き補強の梁をダブルで入れる作業をしました。梁の位置や大きさなどは内装を解体してみないと分からないので、今回も浴室の天井高を2.2mに低くする他に上記のあれこれの追加工事を余儀なくされました。

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3枚目は浴室の内部です。窓はシステムバス用の標準品ではなく、他の窓と同仕様のペアガラスのアルミサッシです。浴室の壁パネルのほうをその窓に合わせてカットし、そのあとにフリーサイズの浴室用化粧窓枠を回します。2枚のガラスのうちの外側のガラスの内側がスリガラスになっているので、目隠しにもなり光が柔らかく拡散します。

最大の難関だったシステムバスがうまく収まったので、あとは他の部屋の間柱や仕切用柱を立て、天井組みを行います。まだいくつか通常の仕様と異なる部分があるのですが、まあ特別難しいことはないでしょう。ただ工期は予定外の追加工事のために1週間以上遅れています。

 

アルビフロラ

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わが家にはトントという11歳になる猫がいますが、最近もう1匹増えることになりました。動物病院の前に捨てられていた仔猫3匹のうちの1匹で、生後一ヶ月くらいのほぼ真っ白の雌猫です。名前はラテン語で「白い花」を意味するアルビフロラ(albiflora)で、通称アルということに。

おしっこやうんち、爪研ぎ、餌や水やり等の世話が欠かせず、ときに病気や怪我などで獣医のお世話になることもあります。手間もお金もかかりますが、それ以上に人間に恩恵と安寧を与えてくれます。

写真は私の部屋で遊んでいるアルですが、まだ足元がややおぼつかないようす。体長16cm、体重200gほどの小さな身体。生まれてからしばらくは親猫がいてふつうに飼われていたらしく、人には慣れていて私たちにも警戒したり怖がったりすることはありません。初日からよくじゃれてきました。一方、トントのほうは警戒心が非常に強い猫なので、アルとうまく折り合っていくまでにはすこし時間がかかりそうです。