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アイスフォール再訪

1月21日に鳥海山の高瀬峡に行ったときのことは当ブログの1/22〜26にレポートしましたが、2月5日に再度訪れました。前日くらいまで連日雪が降り積もっていたことや風が吹き荒れていたのですが、その隙間をぬうようにしての訪問です。

前回より雪が多く、カンジキをはいての歩行も容易ではありませんでしたが、最後のカラ沢の谷は雪崩れるものはすでに雪崩れてしまったようです。目前の積雪の状態や気温など、全体的な状況をみて大丈夫と判断して大滝に向かいました。滝が木立の向こうに見えたあたりで、左岸の急すぎる斜面をさけて長靴でカラ沢を徒渉。ただ雪が深くて対岸に乗り越すのに一苦労です。

大滝はすばらしかったです。このところ寒波が続いたせいかアイスフォールと化した滝は、前回の倍くらいの太さに成長しており、思わず歓声をあげてしまいました。大滝のすぐ前に立つと水のにおいがしてきましたが、高瀬峡の各河川でもヒノソと、バンバ沢・カラ沢とでは流域や水源域の地質がかなり異なります。やはり大滝の水はヒノソや胴腹ノ滝などとは水質が違うように思います(比較的硬度が高い、不純物が多め、等々)。

追記 この山行の翌日は日中気温が上がり、平地で7℃くらいになりました。翌々日は雨。おそらく大滝の氷も一部落下崩壊、そこに至るまでのカラ沢左岸の急斜面も雪崩が発生した可能性が大きいです。アイスフォールは厳寒期でなければ見ることができませんが、鳥海山の厳寒期は雪崩が頻発する時期でもあります。そういう意味では今回のような大滝の姿に出会えたのは、ほんとうに千載一遇の僥倖といっていいかもしれません。

 

 

ソフトブロックのロボット

わが家の5歳児がソフトブロックでこしらえたロボット(だそうです)。高さ41cm。上下が分離するし、さまざまな武器をたずさえ変換し、空を飛んだりもするらしいので、これは一種の変身ロボットです。ソフトブロック使いにかけてはもう私はかないませんね。

威圧感が出るようにちょっと撮影に気を使ってみましたが、手持ちで0.8秒というのはきついです。

 

雪布団

 

 

一昨日(2/3)は民家の納屋や土蔵の屋根から幕のように垂れ下がる雪を紹介しましたが、今回は当工房の屋根の雪です。撮影したのは同じ日ですが、こちらはトタン屋根の上から下まで、まるで一枚の布団のようにつながっている雪です。ベッドから掛け布団がずるずるとずり落ちつつあるといった状態。

軒から垂れている部分は2mほどありますが、これも今まで見た中では最大です。どうして雪がこれほどの「粘性」をもっているのか不思議です。イメージ的には雪というのはもっとさらさらした、もろい感じで、実際いつもだとせいぜい軒から50cmも出ると自然に自重で折れて落ちてしまうのですが。

 

 

2/2の胴腹ノ滝

 

2月2日朝の胴腹ノ滝ですが、回りがすっかり雪におおわれてしまい、そのうえ雪の重みで垂れ下がった木の枝にさえぎられて、この写真では滝のようすがよく分かりません。ここ1週間くらいとても寒い日が続いており、気温も一日の最高気温が0℃未満という真冬日もありました。

滝の湧水量は今回はあきらかに落ちています。それでももともとが豊富な水量なので、ちょろちょろというわけではなく、鳥居をくぐったあたりから、すなわち50mくらい手前からざーっという滝の水音が聞こえるくらいの水量はあります。湧水の温度は右・左ともに8.6℃と変わらず(気温はマイナス4.8℃)。雪が積もり始めた12月10日以来、約2ヶ月にわたってほぼ温度はほぼ一定しています。

上の写真だけでは分かりにくいので右側のアップ、次いで左側のアップの写真を下に載せます。

 

 

雪の垂幕

記録的な大雪が続く毎日ですが、そうした厳しい気候ならではの工房近辺の光景をいくつかご紹介します。

まずは切妻屋根の風下側の破風から、まるで幕のように垂れ下がる雪です。一日の最高気温が0℃前後のために、日中などにいくらかは緩んで氷柱などを形成しつつ徐々に屋根の雪がずり下がる。しかし全部が溶けて落ちるほどの高い気温にはならないので夜間などにまたそのままの形で凍ってしまう、といった過程をくりかえしてこういった奇妙な形になるのではないかと思います。絶対に溶けないほどにもっと低い気温なら、逆にこういうふうにはならないのではないでしょうか。これまでも寒さと降雪が顕著な年は同じような雪の垂れ幕ができることがありましたが、今年の冬はこれまで見た中で最大です。いちばん大きい(長い)ところで2m近くありそうです。

気温が上がると溶けて一気に落下し、下にいる人や車などが被害を被るおそれがあるため、ふつうはこれほど大きくならないうちに人為的に叩いて落とすのですが、今回は他に除雪するところが多すぎるために手が回らないのかもしれません。それにしても奇妙な光景ではあります。

 

 

石油ストーブの台

工房の作業場に大型の石油ストーブを導入したことは以前(1/1)書きましたが、作業の内容如何によってはストーブがじゃまになることがあります。サイズの大きな材料や家具だと当たってしまうとか、加工の際に出る木屑や木粉が下手すると燃えるおそれがあるといったことです。

そうした場合はとうぜんストーブを支障のないところに移動しなければなりませんが、なにしろ本体だけで19kg、それに燃料の灯油を満タン(19リットル)にすると36kgほどにもなります。重いだけでなく移動することは想定していないので、どこを持ったらいいのか、へたなところを持つと壊れるのではないかという心配もあります。それで移動用の台を自作しました。

工房内で用いるだけなので基本的には用が足りればいいだけですし、よけいな出費は避けたいのでありあわせの材料で作ることにしました。20mm厚、幅90mmのカラマツの板を 6枚合わせ、それを3枚の横板で締結。キャスターは径40mmストッパー付きのものを4個取り付けました。材料費はしめて2000円余ですが、手間はこの程度の簡単な作業でも2時間くらいはかかりましたので、メーカーのオプションの専用移動用キャスターよりも高くついたかもしれません。しかしすこぶる頑丈で、おそらくストーブの寿命以上に保つと思います。

 

工房の昼食

工房で仕事をする日は、昼食はほとんど自炊しています。といっても工房の台所は最低限の設備しかありませんし、料理にあまり時間を費やすのはどうかと考えているので、ごく簡単な食事です。ご飯を炊いて、みそ汁を作って、漬物をいくつか並べてという具合に。

写真はある日の食事ですが、ご飯とみそ汁の他に梅干、赤かぶの甘酢漬、たくあん、青菜(せいさい)漬、大根と細切昆布の醤油漬が並んでいます。米は胴腹ノ滝の湧水で炊いた特別栽培米のササニシキ、みそ汁は無添加のみそとだし、漬物類はみな地元農家の産直販売所で購入したもので、塩と醤油と酢と砂糖ベースで、もちろん合成の添加物などはいっさい入っていません。

食材費を計算するとこれで1食あたり250円くらい。特別なごちそうはなにもありませんが、見方によってはこれほど豪華な食事はないかもしれません。私はこの食事がたいへん楽しみで、毎回じつにおいしくいただいています。

 

薪とコンテナ

「薪」という字は「たきぎ」とも「まき」とも読みますが、当工房には木材を燃やせるような薪ストーブはありません。火事の心配もありますし、きちんとした薪ストーブと専用煙突を購入設置するだけの経済的余裕もありません。そもそも当工房では常時燃料にするほど多量の不要木材は出ませんから、もし薪ストーブを使うなら結局薪を別途購入するしかありません。それでは他のどんな燃料よりも高いものについてしまいます。

しかしながら量はともかくとしても、家具や木製小物を製作すると不要な端材がかならず出ます。ただ捨てるのはさすがにもったいないので、薪ストーブを使用しているよその家に随時無料でひきとってもらっています。みな乾燥材ですから、メインの燃料にはならなくとも最初の焚き付けにはうってつけです。もっとも不要になった木材や端材はサイズがまちまちで、そのままではたいへんかさばり扱いにくいです。

それでこちらであらかじめ一定の長さに切って、農業用の野菜コンテナに納めるようにしました。コンテナは内寸が32×48センチくらいなので、ストーブに入れやすいようにという意味も加味しておよそ30センチの長さに切断。それをコンテナに収容すれば非常にコンパクトになります。コンテナは安定的に何段にも積み上げることもできるので場所もとりませんし、車で持っていく際も持ちやすく荷くずれせず安心です。

10年くらい前までは薪を空いた段ボール箱に入れていたのですが、大きさもばらばらですし、すぐに痛んできて底が抜けたりするなど、非常に不便でした。薪の入れ物なんぞにお金をかけてはいられないという思いがあったのかもしれませんが、かえって逆効果だったわけです。一を惜しんで十を失うというような。それであるとき試しにホームセンターで1個数百円の野菜コンテナを買って使ってみたら、これが大正解でした。

薪ストーブはせいぜい冬場の半年弱しか使いませんから、それ以外の時期に出た不要木材をぜんぶ貯めておくには、けっこうな数のコンテナが必要です。結果としてこれまで50個ほどのコンテナを購入し、その多くを他家に貸与するような具合になってしまいました。それでも金額にして25000円程度。段ボール箱とちがって長く使用できます。また薪を入れる以外に、外仕事の際の工具入れや臨時の架台・踏台などにも使えるので重宝しています。

 

1/25の胴腹ノ滝

 

1月25日朝8時半頃の胴腹ノ滝です。水量は前回(1/18)とほぼ同じで、水温も右・左とも8.6℃で前回と変わらず。ただ気温のほうはぐっと冷え込んでマイナス6.4℃だったので、湧水とはなんと15℃も違いました。水を汲んでいてもしみじみと温かさを感じます。一方、鳥居の前の渓流表流水のほうはさすがに外気に冷やされて3.3℃と、今冬ではいちばん低くなりました。

下の写真は胴腹ノ滝の背後の山の斜面で、稜線まではいくらも距離がありません。全体的には斜度35度くらいで、ほぼ全面スギ林です。滝の直近の太いスギはもともとそこに自然に生えていたものかもしれませんが、他はみな用材目的で植林したものですね。鳥海山では顕著な湧泉の場合、水源や景観の保護あるいは信仰などのために周囲は自然林のままであることが多いのですが、胴腹ノ滝はその点ではちょっと残念です。もし背後の山肌をふくめ周辺一帯がうっそうとした自然林ならもっとずっとすばらしいのにと思います。

 

真冬の高瀬峡 5

1月21日の高瀬峡探訪の最終回。遊歩道の終点には落差20数mの大滝があります。柱状節理の垂直またはハングした壁からまっすぐに落ちるすばらしい滝です。じつは厳冬期の凍結した大滝を間近にみたのは私もこれが初めて。今回の山行の白眉といっていいと思います。

なぜこれまで接する機会がなかったかというと雪崩の心配があったからです。剣龍ノ滝まではなんとか行けても、その先300mは雪崩の巣。雪のない時期に大滝に行くと分かりますが、大滝までのカラ沢左岸は尾根の上から谷底近くまで樹木がろくに生えていないつるんとした急斜面がいたるところにあります。頻発する雪崩に磨かれて木が生える暇がないのでしょう。新雪がたくさん降った後や、気温が急に上がって積雪が緩んだ場合は一気になだれるおそれがあり、そんなものに巻き込まれたらまず命がありません。

今回もなだれた跡(デブリ)がたくさんありましたが、このところしばらく雪が降っていませんし、崩れるものはすでにみな崩れてしまったようなので、意を決して大滝まで行ってみることにしました。デブリが川の中まで達しているところは右岸側にルートを替えたりしながら、です。渇水期で沢の流量・水深が下がっていることと、そういうこともあろうかと膝まであるしっかりした長靴をはいて来たので、水の中もカンジキをはいたままじゃぶじゃぶ歩いて横断することができました。今回用意したカンジキは本体およびバンドがナイロン製、バンドの金具等がステンレス製なので水に濡れても平気です。

しばらく行くと向こうに大滝が姿をあらわしました。いや、びっくりしました。滝は2列の青い氷の柱となってそびえたっています。回りは白い雪面ですが、滝の左右の崖はあまりに傾斜がありすぎるために雪が付かず黒々としており、その黒い岩壁を背に滝と滝壷のあたりがきれいな青色に彩られています。水は完全には凍結しておらず、氷の表面をかすめるようにしてさかんに落下しています。それがさらに冷気で氷結してレース状の氷細工を形作っています。これほど美しい滝に出会うとは予想していなかったので、ちょっと感激しました。思わず踊ってしまうほどに。写真も30枚ほど撮りましたので、その中からいくつか披露します。