真冬の高瀬峡 5

1月21日の高瀬峡探訪の最終回。遊歩道の終点には落差20数mの大滝があります。柱状節理の垂直またはハングした壁からまっすぐに落ちるすばらしい滝です。じつは厳冬期の凍結した大滝を間近にみたのは私もこれが初めて。今回の山行の白眉といっていいと思います。

なぜこれまで接する機会がなかったかというと雪崩の心配があったからです。剣龍ノ滝まではなんとか行けても、その先300mは雪崩の巣。雪のない時期に大滝に行くと分かりますが、大滝までのカラ沢左岸は尾根の上から谷底近くまで樹木がろくに生えていないつるんとした急斜面がいたるところにあります。頻発する雪崩に磨かれて木が生える暇がないのでしょう。新雪がたくさん降った後や、気温が急に上がって積雪が緩んだ場合は一気になだれるおそれがあり、そんなものに巻き込まれたらまず命がありません。

今回もなだれた跡(デブリ)がたくさんありましたが、このところしばらく雪が降っていませんし、崩れるものはすでにみな崩れてしまったようなので、意を決して大滝まで行ってみることにしました。デブリが川の中まで達しているところは右岸側にルートを替えたりしながら、です。渇水期で沢の流量・水深が下がっていることと、そういうこともあろうかと膝まであるしっかりした長靴をはいて来たので、水の中もカンジキをはいたままじゃぶじゃぶ歩いて横断することができました。今回用意したカンジキは本体およびバンドがナイロン製、バンドの金具等がステンレス製なので水に濡れても平気です。

しばらく行くと向こうに大滝が姿をあらわしました。いや、びっくりしました。滝は2列の青い氷の柱となってそびえたっています。回りは白い雪面ですが、滝の左右の崖はあまりに傾斜がありすぎるために雪が付かず黒々としており、その黒い岩壁を背に滝と滝壷のあたりがきれいな青色に彩られています。水は完全には凍結しておらず、氷の表面をかすめるようにしてさかんに落下しています。それがさらに冷気で氷結してレース状の氷細工を形作っています。これほど美しい滝に出会うとは予想していなかったので、ちょっと感激しました。思わず踊ってしまうほどに。写真も30枚ほど撮りましたので、その中からいくつか披露します。

 

 

 

 

 

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