「薪」という字は「たきぎ」とも「まき」とも読みますが、当工房には木材を燃やせるような薪ストーブはありません。火事の心配もありますし、きちんとした薪ストーブと専用煙突を購入設置するだけの経済的余裕もありません。そもそも当工房では常時燃料にするほど多量の不要木材は出ませんから、もし薪ストーブを使うなら結局薪を別途購入するしかありません。それでは他のどんな燃料よりも高いものについてしまいます。
しかしながら量はともかくとしても、家具や木製小物を製作すると不要な端材がかならず出ます。ただ捨てるのはさすがにもったいないので、薪ストーブを使用しているよその家に随時無料でひきとってもらっています。みな乾燥材ですから、メインの燃料にはならなくとも最初の焚き付けにはうってつけです。もっとも不要になった木材や端材はサイズがまちまちで、そのままではたいへんかさばり扱いにくいです。
それでこちらであらかじめ一定の長さに切って、農業用の野菜コンテナに納めるようにしました。コンテナは内寸が32×48センチくらいなので、ストーブに入れやすいようにという意味も加味しておよそ30センチの長さに切断。それをコンテナに収容すれば非常にコンパクトになります。コンテナは安定的に何段にも積み上げることもできるので場所もとりませんし、車で持っていく際も持ちやすく荷くずれせず安心です。
10年くらい前までは薪を空いた段ボール箱に入れていたのですが、大きさもばらばらですし、すぐに痛んできて底が抜けたりするなど、非常に不便でした。薪の入れ物なんぞにお金をかけてはいられないという思いがあったのかもしれませんが、かえって逆効果だったわけです。一を惜しんで十を失うというような。それであるとき試しにホームセンターで1個数百円の野菜コンテナを買って使ってみたら、これが大正解でした。
薪ストーブはせいぜい冬場の半年弱しか使いませんから、それ以外の時期に出た不要木材をぜんぶ貯めておくには、けっこうな数のコンテナが必要です。結果としてこれまで50個ほどのコンテナを購入し、その多くを他家に貸与するような具合になってしまいました。それでも金額にして25000円程度。段ボール箱とちがって長く使用できます。また薪を入れる以外に、外仕事の際の工具入れや臨時の架台・踏台などにも使えるので重宝しています。