しつこく黒柿の話題です。先日完成した黒柿の丸形の蓋物ですが、蓋の側面にきれいな孔雀杢が出ていたので、マクロモードで撮ってみました。孔雀杢というのは樹の芯から外側に向けて放射状に広がる黒い杢のことで、細かな波・羽根模様が「孔雀が羽根を広げたようす」を想わせるからということで名付けられた杢の名前です。
カキノキ以外にも似たような具合の杢が生ずることはあるのかもしれませんが、寡聞にして私は黒柿の例しか知りません。もちろん孔雀の名称をわざわざもってきたのは、黒柿自体が古来からたいへん貴重な材であることに加え、孔雀は鳥のなかでもとりわけ豪華絢爛たる鳥なので、それをさらに加味したものでしょう。そのため孔雀杢=黒柿の特別な高級な杢、というのが通り相場になっています。
名前はきくものの実際それを素材にした木工品にはめったにお目にかかることはできないので、今回あらためて紹介するしだいです。10月に地元酒田市で開催予定の個展には、こうした孔雀杢を有する一品もの(角形・丸形・変形)も何点か展示販売するつもりでいます。