日別アーカイブ: 2016年2月10日

黒柿の箱物の木取

 

今年10月に地元のデパート内の画廊で、個展を開く予定です。とはいうもののできている製品は、定番的な小物類若干以外あまりないので、大部分は個展向けに新しく作らないといけません。

昨年11月下旬くらいからそのつもりで作り始めてはいるのですが、今回の第三弾はクロガキ(黒柿)を材料とした「挽き物(旋盤で削って作るもの)」と「くり物」です。くり物の「くる」は掘るという意味ですが、厚目の板を掘り込んで器などを作ります。個展は蓋付きの箱ものを中心とするつもりなので、挽き物&くり物による箱物ということになります。

下の写真は黒柿の板をためつすがめつしながら、どこからどういうふうに木取をしてなにを作ったらいちばん材料が活きるかを思案しているところです。杢の良し悪しやバランスという点はもちろん最重要ですが、黒柿は生木からの乾燥過程で割れなどが発生しやすく、そうした割れや歪みや虫食・変色・腐れなどを除けながらの木取なので、頭がパンクしそうになります。ああいい杢だなあと思う部分にかぎって割れなどが入っていることが多いと感じるのは、マーフィーの法則でしょうかね。

また、これは何度も言及していることですが、黒柿は非常に貴重かつ値段の高い材料で、写真のような孔雀の羽根やさざ波を想わせる微細な杢板となると、おおよそm^3あたり2000〜3000万円(!)はするので、単価的に世界で最も高価な材料のひとつとなります。家具材で国内外で最近たいへん人気の高いアメリカン-ブラック-ウォールナットの幅広で無地の板でもm^3あたり100万くらいなので、黒柿がいかに頭抜けているかご理解いただけるかと思います。加工にも細心の注意が必要です。

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