月別アーカイブ: 5月 2012

根開き

 

 

昨日の午後から鳥海山の観光山岳道路=ブルーラインにドライブに行ってきました。残雪と新緑を楽しむつもりでいたのですが、午前中は路面の降雪で、上部標高900m付近より上は一時通行止めだったようです。午後2時半頃に私が行ったときはすでに開通していましたが、連休前からの雪の回廊とは別に道路脇には除雪したばかりの雪が小山をなしていました。

ブナをはじめとする新緑がとてもきれいです。標高1000mの大平あたりから上は霧でよく見えませんでしたが、晴れたときの景観とはまたちがった情趣があって、私はこういうのもとても好きです。下の写真ではブナの樹の根元がぽっかりとそこだけ丸く雪が溶けて地面がのぞいていますが、これは「根開き(ねびらき)」と呼ばれています。もっともこの呼称が一般的になってきたのはおそらくここ10〜15年くらい前からで、俳句で春の季語として用いられるなどしてからでしょう。それまでは雪国の人にとってはよく見かける光景ながら、とくに決まった名前はなかったと思います。

根開きができる原因は諸説あります。なかには春先の活発化した樹木の体温のせいだという人もいますが、動物ではないのだからさすがにそれはないでしょう。実際は降雨のせいですね。とくにブナは竹ぼうきをさかさに立てたような形に枝が上に広がっているので、降った雨は枝や幹を伝って根元に集中します。それが雪を溶かすのですね。いったん穴が開き黒っぽい地面がのぞいたところは雪面とちがって日射熱を吸収するので、以後はさらに急速に雪解けがすすむようです。ときに穴の深さは1.5mほどに達することがあり、まるでこれは塹壕です。

 

サクラチル

 

写真は今年のものではありませんが、地面を埋め尽くす桜の花びら。たぶんソメイヨシノだと思います。滅びの美学などとおおげさなことを言う気はありませんが、これはこれでとてもきれいだと私は感じます。

桜の花自体には特別な思い入れはなく、私にとっては春に咲く「たくさんの花のうちのひとつ」以上のものではありません。ワン・オブ・ゼムですね。桜の花が咲いている光景はもちろん悪くはないのですが、それを言うなら春は、非常に美しい花がほとんど無数といっていいくらいさまざま咲いており、それぞれにとてもみごとでです。頭上にも、足元にも。

桜なら園芸的な品種よりも、野山に咲くオオヤマザクラなどの自然の樹木のほうが好きです。それらを愛でるだけでじゅうぶんで、したがって私には一般的な意味での「花見」の習慣も興味関心もとくにありません。

 

5/8の胴腹ノ滝

 

上の写真は5月8日午前9時の胴腹ノ滝ですが、やはり予想していたとおりで、前回の4月29日より明らかにまた水量が増えています。すごい!としか言いようがないくらいのみごとな湧水ですね。予備知識なしにこの光景に初めて出会った人はこれがぜんぶ湧き水だとはとても信じられないかもしれません。下の2枚の写真は、初めが向かって右側の滝、次が向かって左の滝ですが、アップで見ると水の勢いがさらによく分かります。雪のある3月頃の時期とはまるで様子が違います。

水温は依然として変わらず右が8.9℃、左が8.8℃、気温は13.8℃でした。水量はどんどん増えても水温はここ1ヶ月以上(4月3日〜)同じことから考えても、近場での雪解水や雨水が直接的短期間に流入しているのではないことが分かります。

 

 

壁紙

壁紙といっても建物の内装の話ではありません。コンピューターのディスプレイの背景画像のことです。下の写真は現在使っている壁紙で、経ケ蔵山北面のニリンソウの群落です。白い花が斜面いっぱいに咲き乱れる中を、細い山道がのびている様子はとてもすてきです。

壁紙はもちろん既存のものも初めに付いてくるわけですが、私は自分で撮影した風景写真の中から適宜えらんで設定しています。ただあまり明暗差があったり、色彩が強烈すぎる写真の場合は、肝心の本来のテキストや画像などを見る際に支障をきたします。背景としてじゃまにならず、それでいて見て心地よい写真となると、実際にはかなり限られてしまいます。

いま使用しているコンピューターはアップル社のiMac 27インチです。ディスプレイはほんとうは長方形のごくシンプルな形なのに、簡易な私のカメラで撮るとごらんのように樽型の歪みがかなり出てしまいます。もっとまともなカメラが欲しいでござる。

 

くつろぐ

 

昨日は日中でも気温が12〜14℃しかなく肌寒かったので、ひさしぶりに石油ストーブを点けました。するとすかさずトントがやってきて手足をのばしてくつろぎ始めます。手足を横向きにだら〜んとのばしてリラックス。写真を撮ろうと思ってiPhoneを向けると、なんだ?という顔でこちらを見ています。

携帯電話(スマートフォンの一種ですが)に搭載のカメラとしては性能はかなり高く、悪条件下でも露出・シャッタースピードはまったくお任せとはいえそれなりにちゃんときれいな写真が撮れてしまうところがすごいです。8メガピクセル、2.4fのレンズ、LEDフラッシュやHDR(ハイダイナミックレンジ)機能もあるなど、ちょっとしたコンパクトデジカメを上回る性能を有しているといっていいでしょう。また写した写真はパソコンに取り込む前にiPhone上で相当程度まで編集することが可能です。

 

オオバクロモジ

 

 

鳥海山麓では雪もだいたい溶けて、樹々も葉を展開しはじめています。いま低山域の高木林中で目立つのがオオバクロモジ(大葉黒文字)の若葉と黄緑色の花。なぜか植林されたスギの林の下生えとしても非常に多く、逆光に浮かぶオオバクロモジの半透明の若葉がとても美しいです。私の簡易なコンパクトデジタルカメラではその美しさがぜんぜん捉えられていませんが。

オオバクロモジはクスノキ科クロモジ属の落葉低木で(Lindera  umbellata  var. membranacea)、クロモジの変種。北海道渡島半島と本州の主に日本海側に分布しています。クスノキの仲間なので良い香りをもっています。この樹はごくふつうに見られる普通種で成長も早いので、見かけたら若葉をすこしちぎって嗅いでみるといいでしょう。独特のさわやかな香りを活かして爪楊枝や細工物に用いられるほか、雪折れしにくいその柔軟な若い枝を利用して山仕事でものをくくるのにもよく用いられたそうです。

名前のクロモジの「黒文字」は、新しい枝の緑色の地に黒い斑点模様の樹皮を文字に見立てたものとされていますが、異論もあります。クロモジまたはオオバクロモジは春の新緑もきれいですが、秋の黄葉と光沢のある黒い実の取り合わせもなかなか風情があっていいです。

 

五百円札

先日、地元の神社の春祭で神輿をくり出したのですが、そのときのご祝儀のお金を整理していたら、見なれない紙幣が一枚出てきました。なんと五百円紙幣です。こんなお札があったことをまったく忘れていました。で、手持ちの五百円硬貨と交換してもらいました。

現行の千円紙幣に比べ横幅は10mm長く、縦は逆に4mm短いのですが、色合いはどちらも紺色を基調としているので、うっかりすると間違えてしまいそうです。むろん今回の五百円札は折り目もついていないきれいな紙幣なので、記念かなにかにとっておいたものをご祝儀にちょうどおあつらえ向きだということで誰かが包んだものでしょう。肖像は岩倉具視ですが、すでに多くの人にとって「いったいそれは誰?」という存在かと思います。

私も名前こそすぐに思い出しましたが、どんな人だったのかはすっかり忘れてしまいました。それですこし調べてみると、1825年に生まれ1883年に没ですから、幕末から明治初期に活躍した人ですね。公家出身で、明治政府では外務卿(外務省の長官)および太政大臣の補佐である右大臣を兼務し、明治維新の十傑の一人とされています。岩倉使節団などで欧米に足を運ぶなどして、大日本帝国憲法の制定に尽力したようです。

この五百円紙幣は1951年(昭和26年)に登場し1985年(昭和57年)まで製造されました。ちなみに裏面(?)は富士山、透かしは桜の花です。

※紙幣偽造などとケチをつけられてはかなわないので、透明なカバーをかけて赤いマジックインキでそのカバーに「みほん」という文字と斜線を描いて撮影しました。もっとも、いまどき500円だの1000円だのでは仮に偽造してもぜんぜん割に合わないと思いますが。

 

 

 

丁岳山頂からの展望

4月28日の「山歩きの雑記帳 13号」の記事中に、私が撮影した丁岳山頂からの写真を別途掲載しましたが、読者からのリクエストに応えて他の写真もいくつかご紹介します。

いずれも同じ2004年5月2日に、秋田県側からの登山道をたどって丁岳の頂上まで一人で登ったときのものです。1146mの頂上から、もしくはほんのすこしだけ東よりに行ったところからの撮影です。標高800mあたりから上はまだほとんど雪面だったので、観音岩の手前からは夏道づたいではなく地形図で判断してそのまま直登して頂上に達しました。

中景左の三角が観音森、右寄りの三角が庄屋森、それよりやや低く右側の黒い鋭角が茅森。これらには丁岳山頂から周回する登山道が通じているが、楽なコースではない。

中景中央に萱森、その右肩ごしに紺色に甑山の双耳峰(左が女甑、右が男甑)。甑岳にはわりあいしっかりした登山道がある。

中景の左端が甑山の男甑、中央のふたつ並んだ紺色の二等辺三角が加無山(左が男加無、右が女加無)。加無山には昔一回だけ八敷代から登ったことがある。いちばん遠くにかすんでいるのは神室山地。

中央が雁唐山、その右の三角が有沢山。どちらも登山道はないと思う。

ところどころに雪が残る弁慶山〜八森の馬蹄形障壁。弁慶山には二度、八森には一度注連石から登ったことがある。

左端の黒いところがキレットのある垂壁、中央三角の岩山が影丁岳、その右後方の緑がかった三角が石蓋狩山。遠景の雪をかぶった連なりは二ツ山〜納屋森あたりか。

ほとんどまだ雪の鳥海山。東から眺めると富士山のようだ。

中景右側が水無大森。遠くに日本海がかすんで見える。

4/29の胴腹ノ滝

 

 

4月29日午前9時前の胴腹ノ滝ですが、水量が目にみえて増えています。昨年の例からいえばピークにはまだ間がすこしあるかと思いますが、1週間から10日くらいの間隔で訪問するたびに一目見てはっきりと分かるほどに水量が増えているというのはすごいことです。河川の水量ではなく100%湧水でそれですからね。滝のまわりの緑もずいぶん濃くなってきました。

水温は4月3日以来、11日、20日とずっと変わらずで、右が8.9℃、左が8.8℃です。気温は15.7℃でした。朝わりあい早い時刻でしたが、ゴールデンウィークに入っておりさらに好天続きのためか県外ナンバーの車も含め来訪者がいつもよりは多かったです。もっと遅い時間だとけっこう混雑したかもしれません。