オオバクロモジ

 

 

鳥海山麓では雪もだいたい溶けて、樹々も葉を展開しはじめています。いま低山域の高木林中で目立つのがオオバクロモジ(大葉黒文字)の若葉と黄緑色の花。なぜか植林されたスギの林の下生えとしても非常に多く、逆光に浮かぶオオバクロモジの半透明の若葉がとても美しいです。私の簡易なコンパクトデジタルカメラではその美しさがぜんぜん捉えられていませんが。

オオバクロモジはクスノキ科クロモジ属の落葉低木で(Lindera  umbellata  var. membranacea)、クロモジの変種。北海道渡島半島と本州の主に日本海側に分布しています。クスノキの仲間なので良い香りをもっています。この樹はごくふつうに見られる普通種で成長も早いので、見かけたら若葉をすこしちぎって嗅いでみるといいでしょう。独特のさわやかな香りを活かして爪楊枝や細工物に用いられるほか、雪折れしにくいその柔軟な若い枝を利用して山仕事でものをくくるのにもよく用いられたそうです。

名前のクロモジの「黒文字」は、新しい枝の緑色の地に黒い斑点模様の樹皮を文字に見立てたものとされていますが、異論もあります。クロモジまたはオオバクロモジは春の新緑もきれいですが、秋の黄葉と光沢のある黒い実の取り合わせもなかなか風情があっていいです。

 

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