昨日の午後から鳥海山の観光山岳道路=ブルーラインにドライブに行ってきました。残雪と新緑を楽しむつもりでいたのですが、午前中は路面の降雪で、上部標高900m付近より上は一時通行止めだったようです。午後2時半頃に私が行ったときはすでに開通していましたが、連休前からの雪の回廊とは別に道路脇には除雪したばかりの雪が小山をなしていました。
ブナをはじめとする新緑がとてもきれいです。標高1000mの大平あたりから上は霧でよく見えませんでしたが、晴れたときの景観とはまたちがった情趣があって、私はこういうのもとても好きです。下の写真ではブナの樹の根元がぽっかりとそこだけ丸く雪が溶けて地面がのぞいていますが、これは「根開き(ねびらき)」と呼ばれています。もっともこの呼称が一般的になってきたのはおそらくここ10〜15年くらい前からで、俳句で春の季語として用いられるなどしてからでしょう。それまでは雪国の人にとってはよく見かける光景ながら、とくに決まった名前はなかったと思います。
根開きができる原因は諸説あります。なかには春先の活発化した樹木の体温のせいだという人もいますが、動物ではないのだからさすがにそれはないでしょう。実際は降雨のせいですね。とくにブナは竹ぼうきをさかさに立てたような形に枝が上に広がっているので、降った雨は枝や幹を伝って根元に集中します。それが雪を溶かすのですね。いったん穴が開き黒っぽい地面がのぞいたところは雪面とちがって日射熱を吸収するので、以後はさらに急速に雪解けがすすむようです。ときに穴の深さは1.5mほどに達することがあり、まるでこれは塹壕です。