月別アーカイブ: 2月 2012

2/10の胴腹ノ滝

2月10日朝の胴腹ノ滝です。例によって雪が付いた樹木などがじゃまになって水汲み場あたりからは滝のようすがよく分かりません。しかし、社の前まで行って撮った写真を比較してみればあきらかですが、水量は前回の2/2よりさらに減っています。水温は右・左ともに8.6℃と変化がありません。気温はマイナス4.6℃でした。鳥居の前の渓流表流水は3.1℃、気温マイナス4.3℃。

今回は水汲みの先客が二人いました。除雪車による車道の除雪はそれほどきちんとていねいに行われているわけではないので、道幅が雪の壁で通常より狭くなっています。とくに胴腹ノ滝への歩道入口あたりにいいかげんに止めてある車があると他の車が非常に通りにくくなります。危険でもあるので、私はほぼ毎回スコップで路肩の雪を車3〜4台ぶんくらいはどけて、道幅を確保するようにしています。ただで水を汲ませてもらっているので、せめてものお返しです。

先客の二人にも「スコップもうひとつあるからあんたらも雪かきしないか?」と誘ったのですが無視されてしまいました。まあいつものことですけどね。

 

クルミ板

10年以上も前に仕入れたオニグルミの板です。直径65cmほどの大きな丸太を指定の厚さで挽いてもらったのですが、厚さ30〜40mm強の板が十余枚取れました。薄い材や芯割れのある材はあらかた使ってしまいましたが、いちばん上等な板が4枚残っています。写真はそのうちの1枚です。

小さな節や入皮が若干ありますが、4枚ともほぼ無地にちかいAAグレードの板です。2枚矧ぎ合わせれば幅80cm長さ180cmくらいの甲板のテーブルや座卓などが2卓作れるでしょう。白太の変色もほとんどないので、その部分も使えば奥行60cm程度の一枚板のデスクもできそうです。

 

オニグルミ(以下クルミ)Juglans mandshurica subsp.sieboldiana はクルミ科クルミ属の落葉高木で樹高は最大25mほどにもなりますが、太さは胸高直径でせいぜい70〜80cm程度にしかなりません。つまり食卓のような対面使いのテーブルなどの一枚板として使用するにはちょっと幅が足りないわけです。仮に径70cmの丸太でも芯割れをよけ、変色・虫が付きやすい樹皮側の白太も含めないとすると、板幅としては50cmくらいが取れる寸法の最大ということになります。

クルミは日本と樺太に産しますが、日本では全国に分布し、主に山地の谷筋や川沿いなどに生えています。材木としては導管の目立たない散孔材で、絶乾比重は0.53前後と広葉樹としては中位ですが、そのわりに強度が高く粘りがあり狂いにくいのでほとんどすべての家具・木工品に適応します。硬さはケヤキやナラやカエデ等の他の広葉樹ほどには硬くなく、また色合いも写真のようにそれほど濃くも淡くもない、ミルクたっぷりの紅茶色といった感じです。

硬さや色艶がほどよく、丈夫で加工もしやすい。強く主張しすぎない、といった理由で私は個人的にもっとも気に入っている材料のひとつです。事実、当工房では広葉樹のなかではいちばん使用量が多い材料です。お客さんに説明するときも少なくとも名前くらいはすぐに通じますし。

これだけすぐれた材料なのに、巷の家具店などでクルミでできた家具・木工品をあまり見かけないのは、用材の産出量が少ないからです。樹種としては特別珍しいわけではありませんが、まとまって生えているとか群落を成していることはなく、山野にぽつんぽつんとまばらに生えている程度。人為的な育成もほとんどされていないので、流通経路にのるクルミ材はわずかですし、供給が非常に不安定です。これではとても大手の家具メーカーがメインの材料として採用するのは無理です。

しかしそれは裏をかえせば、当工房のような零細木工房にとってはひとつの魅力に転化しうるということでもあります。とくに特注品の場合は、どうせならふつうの家具屋さんなどでは売っていない材料で特別にあつらえることができるのも、いわゆる「手作り」の魅力であり訴求ポイントでしょうから。ただし今回ご紹介したような大径木からの通直な幅広材はきわめて品薄・貴重で、今後ますます入手が困難になると思います。

 

アイスフォール再訪

1月21日に鳥海山の高瀬峡に行ったときのことは当ブログの1/22〜26にレポートしましたが、2月5日に再度訪れました。前日くらいまで連日雪が降り積もっていたことや風が吹き荒れていたのですが、その隙間をぬうようにしての訪問です。

前回より雪が多く、カンジキをはいての歩行も容易ではありませんでしたが、最後のカラ沢の谷は雪崩れるものはすでに雪崩れてしまったようです。目前の積雪の状態や気温など、全体的な状況をみて大丈夫と判断して大滝に向かいました。滝が木立の向こうに見えたあたりで、左岸の急すぎる斜面をさけて長靴でカラ沢を徒渉。ただ雪が深くて対岸に乗り越すのに一苦労です。

大滝はすばらしかったです。このところ寒波が続いたせいかアイスフォールと化した滝は、前回の倍くらいの太さに成長しており、思わず歓声をあげてしまいました。大滝のすぐ前に立つと水のにおいがしてきましたが、高瀬峡の各河川でもヒノソと、バンバ沢・カラ沢とでは流域や水源域の地質がかなり異なります。やはり大滝の水はヒノソや胴腹ノ滝などとは水質が違うように思います(比較的硬度が高い、不純物が多め、等々)。

追記 この山行の翌日は日中気温が上がり、平地で7℃くらいになりました。翌々日は雨。おそらく大滝の氷も一部落下崩壊、そこに至るまでのカラ沢左岸の急斜面も雪崩が発生した可能性が大きいです。アイスフォールは厳寒期でなければ見ることができませんが、鳥海山の厳寒期は雪崩が頻発する時期でもあります。そういう意味では今回のような大滝の姿に出会えたのは、ほんとうに千載一遇の僥倖といっていいかもしれません。

 

 

ソフトブロックのロボット

わが家の5歳児がソフトブロックでこしらえたロボット(だそうです)。高さ41cm。上下が分離するし、さまざまな武器をたずさえ変換し、空を飛んだりもするらしいので、これは一種の変身ロボットです。ソフトブロック使いにかけてはもう私はかないませんね。

威圧感が出るようにちょっと撮影に気を使ってみましたが、手持ちで0.8秒というのはきついです。

 

雪布団

 

 

一昨日(2/3)は民家の納屋や土蔵の屋根から幕のように垂れ下がる雪を紹介しましたが、今回は当工房の屋根の雪です。撮影したのは同じ日ですが、こちらはトタン屋根の上から下まで、まるで一枚の布団のようにつながっている雪です。ベッドから掛け布団がずるずるとずり落ちつつあるといった状態。

軒から垂れている部分は2mほどありますが、これも今まで見た中では最大です。どうして雪がこれほどの「粘性」をもっているのか不思議です。イメージ的には雪というのはもっとさらさらした、もろい感じで、実際いつもだとせいぜい軒から50cmも出ると自然に自重で折れて落ちてしまうのですが。

 

 

2/2の胴腹ノ滝

 

2月2日朝の胴腹ノ滝ですが、回りがすっかり雪におおわれてしまい、そのうえ雪の重みで垂れ下がった木の枝にさえぎられて、この写真では滝のようすがよく分かりません。ここ1週間くらいとても寒い日が続いており、気温も一日の最高気温が0℃未満という真冬日もありました。

滝の湧水量は今回はあきらかに落ちています。それでももともとが豊富な水量なので、ちょろちょろというわけではなく、鳥居をくぐったあたりから、すなわち50mくらい手前からざーっという滝の水音が聞こえるくらいの水量はあります。湧水の温度は右・左ともに8.6℃と変わらず(気温はマイナス4.8℃)。雪が積もり始めた12月10日以来、約2ヶ月にわたってほぼ温度はほぼ一定しています。

上の写真だけでは分かりにくいので右側のアップ、次いで左側のアップの写真を下に載せます。

 

 

雪の垂幕

記録的な大雪が続く毎日ですが、そうした厳しい気候ならではの工房近辺の光景をいくつかご紹介します。

まずは切妻屋根の風下側の破風から、まるで幕のように垂れ下がる雪です。一日の最高気温が0℃前後のために、日中などにいくらかは緩んで氷柱などを形成しつつ徐々に屋根の雪がずり下がる。しかし全部が溶けて落ちるほどの高い気温にはならないので夜間などにまたそのままの形で凍ってしまう、といった過程をくりかえしてこういった奇妙な形になるのではないかと思います。絶対に溶けないほどにもっと低い気温なら、逆にこういうふうにはならないのではないでしょうか。これまでも寒さと降雪が顕著な年は同じような雪の垂れ幕ができることがありましたが、今年の冬はこれまで見た中で最大です。いちばん大きい(長い)ところで2m近くありそうです。

気温が上がると溶けて一気に落下し、下にいる人や車などが被害を被るおそれがあるため、ふつうはこれほど大きくならないうちに人為的に叩いて落とすのですが、今回は他に除雪するところが多すぎるために手が回らないのかもしれません。それにしても奇妙な光景ではあります。

 

 

石油ストーブの台

工房の作業場に大型の石油ストーブを導入したことは以前(1/1)書きましたが、作業の内容如何によってはストーブがじゃまになることがあります。サイズの大きな材料や家具だと当たってしまうとか、加工の際に出る木屑や木粉が下手すると燃えるおそれがあるといったことです。

そうした場合はとうぜんストーブを支障のないところに移動しなければなりませんが、なにしろ本体だけで19kg、それに燃料の灯油を満タン(19リットル)にすると36kgほどにもなります。重いだけでなく移動することは想定していないので、どこを持ったらいいのか、へたなところを持つと壊れるのではないかという心配もあります。それで移動用の台を自作しました。

工房内で用いるだけなので基本的には用が足りればいいだけですし、よけいな出費は避けたいのでありあわせの材料で作ることにしました。20mm厚、幅90mmのカラマツの板を 6枚合わせ、それを3枚の横板で締結。キャスターは径40mmストッパー付きのものを4個取り付けました。材料費はしめて2000円余ですが、手間はこの程度の簡単な作業でも2時間くらいはかかりましたので、メーカーのオプションの専用移動用キャスターよりも高くついたかもしれません。しかしすこぶる頑丈で、おそらくストーブの寿命以上に保つと思います。