日別アーカイブ: 2016年11月18日

猿穴はひとつではなかった

 

鳥海山の西面にある有名な噴火口跡の猿穴ですが、じつは通常の地図に出ているひとつだけでなく、他にも周辺にいくつかの噴火口跡があるらしいという話はきいていました。最初にきいたのは十年くらい前のことだったように思いますが、そのときは単にうわさ話のなかの一こまで、また根拠もなにもなかったので聞き流してしまい、そのうち忘れてしまいました。

ところが今年になって鳥海山・飛島ジオパークのガイド仲間から、グーグルの航空写真と国土地理院の地形図をもとにしたかなり信憑性の高い話が流れてきました。それらを仔細に眺めるとたしかに少なくともあと二つくらいは噴火口の跡がありそうにみえます。ぜひとも実地調査をして確かめたい。

とはいうものの、ただでさえ薮(低灌木が主)ぼうぼうなので、夏場は見通しがきかず+暑くて+虫も多いという三重苦。加えて今年は春からお盆過ぎまで鳥海山・飛島ジオパークの認定に向けての準備、さらに11月上旬に木工の個展というわけで、まったく時間的に無理でした。それらが一段落して、やっと一息ついたのですが、こんどはぐずぐずしていると雪が降ってきてアプローチがたいへん難しくなってしまいます。

それで思い立ってまず一人で偵察に行ったのが11月12日。薮こぎは多少は慣れているはずの私も、これ以上に密生し曲がりくねった猛烈な薮はないだろうなと思うような薮をかきわけての探索でした。その調査・確認のもとにジオパークのガイド仲間などといっしょに4名で再度訪れたのが11月16日です。16日には噴火口跡の探索だけでなく、林道から猿穴への登り口の標識の取り付けと刈払もしました。夏場にブルーラインの側から猿穴を訪れるぶんにはかなり楽になったと思います。(※ 写真はいずれも11/12のもの)

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はじめに一人で行った際のGPSの軌跡。誤差が数メートルあるものの、見通しのあまりきかない場所での地形図+コンパスでの探索を強力に助けてくれるすぐれもの。重要なポイントは地図に記憶させることができるが、左の085は観音森林道からの猿穴の登り口。中央の赤丸の等高線が猿穴で、その北東側の086(087は軌跡に隠れていてこの図では見えない)と、東側の088が今回確認した噴火口跡。o85から088までは水平直緯線距離で約200m。

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グーグルのマップで航空写真を検索。上のGPSの軌跡図とほぼ大きさを合わせてトリミングしている。この写真ではさらにもっと噴火口跡があるようにも見えるし、単なる樹木や噴火口ではない地形の凹凸のようにも見える。やはり現地に実際に行ってみないとわからない。

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猿穴の噴火口跡の北西側の縁に三角点(標高点)がある。これも草木に半ば埋もれていた。標高763.3m

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猿穴の三角点から眺めた観音森。古い絵地図には桑ノ森とある。高木が生えていないのは戦後の昭和30年代前半頃までは農家の牛馬のための採草地だったことによる。強風のためではない。標高685.2m

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以上4枚は、猿穴から北東方にある噴火口跡の底。猿穴と同様にすり鉢の底には水たまりはなく、大きな岩がごろごろしている。風穴らしき穴も多数あるが、詳細は未確認。同様な小さな噴火口跡は並んで数カ所ある。

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以上2枚は、猿穴から東方にある噴火口跡。猿穴よりはだいぶ規模が小さいものの同形のすりばち状の地形。最後の写真は北側の縁から眺めたもので、樹木の陰影と傾きででなんとなく凹みがわかるだろうか。