工事現場へ行く道すがら、稲田の向こうに酒造会社の醸造所や酒蔵など一群の建物が目にとまります。やや傾斜の強い黒い屋根と、窓が整然とうがたれた白い壁。なんど見ても美しいと思います。 奇をてらったり権勢を誇ったりするのではない、酒をつくり保管するという明確な目的にかなうように、精緻な道具のように作られた建物。これは建築物というものの一種の原点であり頂点といっていいでしょう。建築家の趣味の発露であるような「名建築」とは対極にあるものです。
工事現場へ行く道すがら、稲田の向こうに酒造会社の醸造所や酒蔵など一群の建物が目にとまります。やや傾斜の強い黒い屋根と、窓が整然とうがたれた白い壁。なんど見ても美しいと思います。 奇をてらったり権勢を誇ったりするのではない、酒をつくり保管するという明確な目的にかなうように、精緻な道具のように作られた建物。これは建築物というものの一種の原点であり頂点といっていいでしょう。建築家の趣味の発露であるような「名建築」とは対極にあるものです。
建築リフォーム工事と併行して注文家具の戸棚を作っているのですが、材料はアメリカン-ブラック-ウォールナットです。名前のとおり北米産の濃色のクルミの仲間ですが、略してふつうウォールナットとよばれています。その材料を木取していたところ、木端の切断面になにやら光るものが。直径1.5mmほどの鈍い銀色。よく見ると他にもいくつ同様のくぼみがあるし、切断したノコ刃のほうにはとくに刃こぼれなどはないようなので、材質的には鉄ではなく鉛のように思います。つまりこれは散弾銃の弾が樹肌に食い込んだものでしょうね。
材料の表面や白太の部分ではなく、赤味の部分の所に入っていたので、散弾銃の弾を巻き込んだままその後も長く成長したと思われます。大部分は弾は脱落してしまい傷跡だけを残したようですが、その食い込んだ弾のまわりは若干変色しています。
ウォールナットはわりあい人里に近いところに生えているか、用材目的で人為的に植栽されているものなので、猟銃で鳥などを撃った際にその弾が木肌に突き刺さることがたまにあるようです。小さな鉛の粒だからまだいいのですが、まれに太い釘などが残っていることがあり、その場合は製材などのノコ刃が一発でだめになってしまいます。
ウォールナットではありませんが、ずっと昔に国産のオニグルミかクリだったかを丸太で購入し製材に立ち会ったときに、運悪く太い釘を挽いてしまい、すぐに機械を止めて刃を新しいのに交換したことがありました。オペレーターは「これでもう赤字だな〜」とぼやくことしきり。そうでなくとも、どんな樹であっても立ち木にじかに釘などを打ち込むのは厳禁です。
蝉の抜け殻はべつに珍しくもないが、よく見るとじつによくできていると感心する。細い触覚や脚先まできれいに脱いでその蝉は飛んでいったのだろう。どこか一カ所でも脱皮に失敗すればおそらく死んでしまうか、スムーズにいかずにもたついておれば夜が明けてめざとく見つけた蟻その他の昆虫や鳥などに食われてしまうにちがいない。また幼虫が木肌や草の茎や板塀などに食い込ませた脚が、羽化の途中で万一にもすっぽ抜けてしまえば 、もちろんアウトである。
黒っぽい大型の蝶といえばまずクロアゲハ(黒揚羽)だが、全体的には黒色ながら青や緑の金属光沢のあるカラスアゲハ(鴉揚羽)、ミヤマカラスアゲハ(深山鴉揚羽)もいる。いつだったかハイキングの山中で、若いカップルのハイカーがいて、飛んできた黒い揚羽蝶をみて彼氏が「クロアゲハだな」とのたまうと、彼女「すごい。そんなことがすぐわかるんだぁ」、で彼「まあね」とちょっと得意顔。しかし私は心の中で「それはクロアゲハではなくてミヤマカラスアゲハだよ」と訂正する。/小学生の頃に蝶採集と標本作りに熱中したことがある。子どもの足では実際に採取できたのはせいぜい40〜50種くらいだが、図鑑に載っている日本産蝶の220種あまりはいちおう全部頭にたたきこんだ。その後蝶採集は止めてしまったものの、今でも飛んでいる蝶を見るだけでそれがなんという種類の蝶であるかはだいたいわかる。かように自分が興味関心を持って自発的に学んだことは身体に強くしみつくものだなと思う。
箱庭は庭園のミニチュアまたはジオラマである。大人が一人で抱えることのできる程度の大きさの浅箱などに土・砂を盛り、小さな草木や建物や庭石、または人や動物の人形等を配して夏の景観を作る。現実の名高い名勝・名園を模写する場合もあるようだが、ともあれこういう遊びが大人のまじめな遊びとしてまあ普通に行われ、俳句の季語にもなっていることにおかしみを感じる。旦那衆のものすごく凝ったお金をかけた箱庭もあり、そのできばえを互いに競ったことさえもあったらしく、もうこうなると現代でいえば鉄道模型や艦船模型に血道をあげるマニアみたいですね。/もっともそのミニチュアの対象がほかならぬ庭園であるというのは興味深いことで、海外にもそうした風習はあるのだろうか。そしてまたどうして春・秋・冬の景ではなく夏なのだろうか? 箱庭を眺めて涼しさを感ずる? ん、そうか、夏の暑い日は家屋の戸を開け放しているから、庭先なり縁側なりに置いた箱庭が観賞しやすいし、その周囲に実際の庭があり、さらには遠くに海山の自然景観が借景としてあるという三重の入れ子構造になっているのかもしれない。
山形県庄内町のリフォーム工事ですが、8月中には工事を終了させるべくいま内部の追い込みの最中なので、お披露目できるような写真がなかなか撮れません。そこでとりあえずケリのついた外回りのうちで、換気扇ならびに自然換気口の外部フードを紹介します。
今回の工事対象は約12坪ですが、水回りのほとんどすべてなので、換気は重要項目のひとつです、昔の住宅とちがって密閉度が格段に高いので、外気との吸気・排気をじゅうぶんに行わないと匂いや湿気が室内にこもりがちで、建物の寿命にも影響します。トイレとお風呂は24時間排気用の換気扇、洗面脱衣室とキッチンは随時任意の排気用換気扇、それにダイニングルーム&寝室に自然吸気口がふたつです。
室内側のパネルは換気のモーターを一体で組み込んだものと、モーターなしの開閉パネルのみものとがあります。天井付けが2台ありますが、あとの3つは壁付けです。室内側にパネルがあれば当然外側にも相応のものがあるわけですが、外側のほうは単純に壁に穴があいたままでは雨や虫などが侵入してきます。したがってそれらを避けつつ、また見栄えもよいものにしなければなりません。それが換気用のフードです。
換気用のフードは外壁にむきだしで取り付くものなので、けっこう目立ちます。それも一個二個ではなくひとつの壁面にいくつものフードがつけばなおさらです。一番安価で設置も簡単なのがステンレスの半球形または逆U字形のもので、ホームセンターでもすぐに入手できますが、私としてはきらきら光るあれはデザイン的にはバツですね。外壁全体や建物全体とのバランスがよくありません。
そこで自宅の場合もそうだったのですが、角形でステンレスベースに粉体塗装をしたフードを選びました。キッチンのはダクト径150mm用のもの、トイレ・お風呂・洗面脱衣室は径100mmパイプまたはダクト用のもので標準的な奥行のもの、ダイニングルーム&寝室の自然換気用には径100mmパイプ用のの浅型のものです。同じメーカーの同じシリーズの製品なので、サイズは違っても統一感があります(予算的に許せば外壁の色にあわせてさらに特注で塗装屋さんに吹付塗装してもらうこともあります)。