月別アーカイブ: 10月 2013

鳥海山初冠雪

10月14日、鳥海山に初冠雪がありました。ちょうどこの日は当工房のお得意先の方といっしょに鉾立〜御浜・御田ケ原までを往復したのですが、新山(頂上)と外輪山一帯が白く雪化粧をほどこされているのを見て歓声をあげました。

3連休最後の日でしかも待ちに待った快晴とあって、大勢の登山客や紅葉見物の人が来ていました。賽ノ河原手前ですでに水たまりには氷が張り日陰には霜柱が立っていて、もう冬間近かです。

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御田ケ原の風衝地形の横縞模様と、雪をかぶった新山・外輪山。

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ウラジロナナカマドの赤い実と、向こうに稲倉岳。

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御浜からの鳥海湖。右側ドームは鍋森、左の三角峰は月山森。遠景の左は葉山、中央は月山、その右の連峰は朝日連峰。近景から中景のヌマガヤの草紅葉も美しい。

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鉾立と賽ノ河原の中間地点からのぞむ新山(右)と七高山(左)。

 

15杯の抽斗

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23年前に製作した15段のトールチェストをリメークします。お客様がご自宅の大がかりなリフォームをされているところで、それにともなってダイニングテーブルの甲板塗り直しや、このチェストを上下に三分してデスクキャビネットと玄関の飾台などに作り替えるというものです。小さめのデスクも作ります。

15杯ある抽斗は幅330mm高さ110mmの大きさですが、前板の材種はすべて異なります。上段左から下段右に向かって順に、ホオ・ヤマザクラ・キハダ/トチ・イタヤカエデ・オニグルミ/セン・ドロヤナギ・エンジュ/カツラ・サワグルミ・ケヤキ/クリ・ブナ・ミズナラ。製作時は色の濃い順に下から上に配置したのですが、23年も経つとすっかりやけてあまり色の差がなくなっています。いわゆる「飴色」ですね。

15種類の材は、いずれも当工房で他の家具にもわりあいよく使っているものなので、色は変わってもなんの木か分かりますが、一般の方にはほとんど区別がつかないかもしれません。種類の見分けは自分が実際に使っていてこそであって、ちょっとよそで見たことがあるとか写真でしか知らない場合はやはり難しいです。とくに大きな板等であればまだしも、小さな木片になってしまうときわめて困難。

色合いの変化の仕方は一様ではなく、色が濃くなる速度とパターンは異なるし、最初と後とでそれほど大きな差がないものとまったく別の材と見間違えるほど変わるものがあります。だいたいの材料は年月が経つにつれ色が濃くなるのですが、なかには逆に淡くなってくるものもあります。上の例ではエンジュがそうですし、最近家具材として人気のあるアメリカン-ブラック-ウォールナットなどがそれです。

このことから思うのは、ひとつの家具で色あいや濃度の異なる材種を組み合わせるというデザイン的手法は、あまり効果がないし難しいということです。よほどうまくやらないと逆に作為が鼻につくでしょう。とはいえ上の写真でも明らかなように数十年経ってもそれでもまったく同じにはならないという微妙な差異を、あらかじめ計算して使うという高度な手法はあるかな、です。

 

鳥海山紅葉

10月10日の午後4時すぎ。南面にある鳥海高原ラインという山岳観光道路の終点(第一駐車場)付近から眺めた紅葉です。鳥海山は黄葉する樹々のわりあいが高いので、全体としてはオレンジ色に染まるという感じです。

じつに美しく、また万年雪(貝型雪渓)と雲との競演もみごと。

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胴腹ノ滝に光が

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きのう胴腹ノ滝に恒例の水汲みと調査に行きました。午前9時頃ですが、杉林の中は人の目で感じているより実際はかなり暗いです。カメラはそれを客観的に計測するわけですが、写真を撮っているとちょうど木漏れ日がスポットライトのように右側の滝の滝壺近くにさしてきました。

9月は6日・13日・22日・30日と計4回調査を行っていますが、10月10日の分も加えたその結果は以下の通り。

胴腹ノ滝の右側(湧水) 8.8  8.9  8.9  8.8  8.9
胴腹ノ滝の左側(湧水) 8.8  8.9  8.9  8.8  8.9
鳥居の前の表流水   12.3 12.1 11.3 11.1 11.6
胴腹ノ滝の前の気温  18.3 21.9 14.7 17.6 17.1
鳥居の前の気温    19.9 23.8 18.9 18.0 16.9

滝の水量のほうは9月6日は前回の8月29日にくらべいくらか増えていましたが、その後はずっとすこしずつ減ってきています。滝の水温はこの2ヶ月間、8.8〜8.9℃で安定的に推移。昨年度の同時期とほぼ同じ数値です。

DSCN1090_2さて車道から胴腹ノ滝に至るおよそ150mの歩道沿いには、たくさんの種類の草木が生い茂っていますが、そのうちの十数種類ほどに左の写真のような科名+種名の立て札がそえてあります。ただ、その多くが今では朽ちて倒れたり、あったはずの肝心の草木がそこに見当たらない状態になってしまっています。とても残念です。

先日の鳥海山吹浦口の登山道の標識設置の際にも触れたことですが(9/27)、立派な標識を立てたり取り付けようとするとお金も手間もそうとうかかります。したがってなかなか設置されないし、いったん設置されてもやがて破損・摩滅・倒伏してほとんど標識の用をなさなくなっても、こんどは容易に修復・交換されません。

それよりは一般人のグループなり個人なりが、簡易なものでぜんぜんかまわないので手軽に設置または更新できる標識のほうがずっと役に立ちます。いやむしろあまり派手で目立ちすぎる名札は、自然の草木には似つかわしくありません。もちろん間違った名前をつけたのでは非常にまずいので、設置する前に専門家にチェックを入れてもらう必要はあります。植物の研究者や愛好家はたくさんいますよね。

こんなことを書くと「それならまず言い出しっぺがやれば」と言われてしまいそうです。それはたしかにまったくその通りなので、なんとか実現するべく動いてみますかね。賛同し手伝ってくださる方がいればうれしいです。

 

 

ナギナタコウジュ

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写真は別々の日に撮ったものなので色あいがずいぶんことなりますが、淡紅紫色の花が一方の側だけに片寄って咲くナギナタコウジュの特徴はおわかりいただけると思います。

ナギナタコウジュ(薙刀香蕾)はシソ科ナギナタコウジュ属の一年草で、名前はやや反り気味に片寄って咲く花のようすが薙刀のようだからとか(Elsholtzia  ciliata)。花は枝先につき花穂の長さ4〜9cmくらい。茎は四角形で有毛。葉は対生で長さ3〜9cm幅1〜5cmの卵形から狭卵形。全草に強い香りがあり、漢方では利尿薬に用いられます。

山野の道ばたや林縁などにそって生えていることが多くふつうに見られる植物ですが、たいへん特徴のある花にもかかわらず一般的にはあまり知られていない、関心がもたれないように思います。残念なことです。

 

鉋刃の交換

手押鉋盤ならびに自動鉋盤の刃が切れなくなってきたので、各2枚計4枚のハイス(高速度鋼)製の刃を交換しました。外した刃はとうぜんながら専業の研磨屋さんに出して研いでもらうのですが、写真はそのための通函です。

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6年ほど前に自作したものですが、刃は「使用中」「予備」「研磨中」と3組ずつあるので、ケースは合わせて6つあります。手押用の305mmの刃と、自動用の465mmの刃ですが、1枚の重さが1.1〜1.8kgもあるので、せっかく再研磨した刃が保管・運搬時に痛まないようにベイヒバの40mmくらいの厚板を刃に合わせて彫り込んでいます。以前は購入した際に刃が納められていた段ボール製のケースをそのまま使っていたのですが、しだいににぼろぼろになってきて見た目にも恥ずかしいくらいになっていました。

さて肝心の刃の交換ですが、使用中にゆるまないようにしっかり固定するのはむろんのこと、回転する鉋胴から刃先がきっちり同じ寸法だけそろって出ていることが絶対条件です。すこしでも不揃いだと材料が平滑・均一に削れません。刃は鉋胴に多数のボルトで締め付けるのですが、それだけでは刃先の出がばらばらになってしまうので、専用の刃先ゲージを併用して微調整します。許容誤差は0.05mm以下です。

この刃の交換は一般的にいうとかなりの慣れが必要で、私も刃の交換→微調整→試し削り→注油・清掃と一連の作業に1時間以上かかることもしばしばでした。しかし最近はコツがのみこめてきたようで30〜40分くらいで終えることができるようになっています。また若干の刃の鈍摩については、刃を機械に装着したまま刃先をオイルストーンを用いて手作業で軽く研磨することによって、交換のスパンを5割程度は延長することもできるようになりました。ただしこのオイルストーンによる手研磨は1回のみで、それ以上無理に行うと刃先の直線が崩れてしまいます。

 

土田牧場

昨日は午後から秋田県にかほ市の仁賀保高原にある土田牧場(☎0184−36−2348)に子どもと行ってきました。夏場のピークはすぎたのか駐車場は半分くらいの入りですが、家族連れなどでなかなかのにぎわい。

さっそくまず動物のいる建物へ直行しました。犬(セントバーナード、シベリアンハスキー)、ウサギ、ヒツジがいて、自由に触ることができます。動物のほうもずいぶん人慣れしていて悠然としています。セントバーナードは5頭ほどもいるのですが、やっぱりとても大きい。並の人間より体重はあるでしょう。こういった牧場でもなければまずふつうの家では飼えませんよね。私も実際に手で触ってみたのは初めてです。戸外にはニュージャージー種のウシがたくさんいて、こちらも柵越しに鼻面をなでることができました。あとはウマが数頭、ヤギが1頭です。

ニュージャージーのミルクで作ったソフトクリームをなめ、大型のペダルこぎのトラクター玩具に乗って遊び、ソーセージ2種類をおみやげに買って、夕方帰りました。入場は無料なので、動物が苦手でなければ家族やペアでけっこう楽しめると思います。

牧場からは鳥海山もよく見えていましたが、山形県の庄内平野から眺めるそれとはずいぶん違った印象です。頂上下方のところどころ白いのは前冬の残雪でしょうね。霞がすこしかかっているので写真ではわかりづらいですが、上半分くらいまで紅葉がすすんでいます。

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スポンジ

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自宅で使っていてとても具合がいいので、工房の台所でも最近使うようになった食器洗い用のスポンジです。

お昼はほとんど工房で自炊しています。外食することはまずありません。圧力式IH炊飯ジャーでご飯を炊いて(特別栽培米のササニシキ+胴腹ノ滝の湧水)、漬け物を数品+みそ汁程度のごく簡単なものですが、それでも食器や鍋釜・カップなどを毎回洗う必要があるので、そのときに使うスポンジは必要不可欠なだいじな道具です。これまではどこにでも売っているごくふつうのスポンジを使っていたのですが、どうもいまいち感がぬぐえません。こんなものかと諦め気分。そのときたまたま農協系列のスーパーマーケット=Aコープで見かけたのがこのスポンジでした。包装の袋には

構造が網状だから、泡立ち・水切れが抜群!!
軟質ポリウレタン製なので、食器など傷つけにくい!!
プロの調理員が選んだサイズなので、フィット感が良い!!

と、これでもかというくらいにアピールの文言が並んでいます。裏面を見ると、サイズは40×90×120mmで、通常の家庭用スポンジより体積的には倍くらいの大きさ。材質は軟質ポリウレタンフォーム。メーカーはエスケー石鹸株式会社です。

さっそく購入して使ってみると、うたい文句どおりに泡立ちが非常によく、比較的網目が大きいのでカスがたまりにくく、使用後のすすぎ洗いが楽にできます。乾燥も早いです。材質に腰があるので、食器や鍋釜の凹みにも力がよく伝わりますし、多少のこびりつきならこのスポンジだけでこすり落とすことができます。

以前に亀の子束子のことを記事にしましたが、わずか二三百円くらいの出費(他の製品よりいくらか高い)で、これほど快適に「家事」ができるというのはじつにすばらしいことです。コストパフォーマンスは抜群ですね。

 

机上の猫

最近「トントちゃんはどうしてますか?」というお声を若干名からいただいたので、ちょうど私がパソコンを操作しているそばで机の上でくつろいでいたトントを写真に撮りました。

3枚目は後脚で耳のあたりを器用にひっかいているところ、4枚目はう〜と伸びをしているところで、前脚と顔の形がちょっとヘン。

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フォトスタンド斜め切り

家具や大工仕事の打ち合わせ、図面・見積書の作成と重なって、なかなか進まないフォトスタンドBタイプの製作ですが、ベース下部の木端の斜め切りをスライド丸ノコを使って行いました。

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このスライド丸ノコは建築現場等にも持ち込める可般型・径216mmの機種ですが、左右にそれぞれ45度余り刃を傾けることができます。またベースも半回転ほど左右に動くので、2方向の斜め切りが可能です。今回のフォトスタンドの場合は一辺を25度切り落とすという作業なのですが、昇降盤や横切盤などと違って切り落とした木片が自分のほうには飛んでこないので、安心して作業することができます。刃にはプラスチックの安全カバーがついていますが、それが一種の送風機になって切り落とした材料を横にどけてくれます。

この加工にかぎりませんが、手持ちであれ固定であれ丸ノコの機械で切り落とした材料が、まだ回転中の刃に接触して反発したり、刃口板と刃の間にはさまったりすることがありますが、これは非常に危険であるだけでなく機械にも大きなダメージを与えます。したがって加工材と切落材の双方を最後までしっかり保持しておかなければなりません。

それができない場合は、めんどうでも「二度切り」します。例えば30mm厚×100mm幅の板の片木端を10mm落とすとします。もし長さが2mなら1mほど切ったらいったん機械を止め、次に材料の前後をひっくり返して残り1mを切ります。刃の回転が止まるまで加工材と切落材と両方をしっかり支えて持ちます。ただし、つかんで保持するだけの長さがない場合や、角度のある切断の場合は上のように前後をひっくり返して切るようなことはできませんので、そのときは刃の出を29mmくらいにして一度切り抜け、手または手ノコでその余分を折り取り・切り離します。それから刃の出を通常のように30mmよりすこし出して残ったバリをきれいにカットします。

スライド丸ノコを使えば上記のような手間なしで一度で所定の斜め切りができるので効率的かつ安全です。ただ当然のことながら加工できる材料の幅や厚みには制約があり、あまり大きなものの切断はできません。