月別アーカイブ: 6月 2012

ヤグルマソウ

 

 

 

ヤグルマソウ(矢車草)の群落です。葉の感じがちょうど鯉のぼりの竿先で回るあの矢車そっくりですね。じつは私もきれいに開花した最盛期の状態のヤグルマソウを見るのはこれがはじめてで、その巨大な葉(小葉5個からなる掌状複葉)と、真っ白でやはり大振りの円錐花序はたいへんみごとです(撮影は20120608)。

写真は杉林の林床に点々と咲くヤグルマソウですが、根生葉一個の小葉だけで長さ30〜40cmもあり、花も同様に長さ20〜40cmもある円錐花序、そして花茎は1mを越えており、なにもかもが草本としては巨大といっていいと思います。山地の湿った林の中に群生する多年草で、ユキノシタ科ヤグルマソウ属。北海道と本州に分布します。それほど珍しい植物ではないようですが、群れて咲いているようすを見るのはあんがい難しいかもしれません(Rodgersia  podophylla)。

 

烈雲

烈雲なんてことばがあるのかどうか知りませんが、昨日ものすごい雲に出会いました。午後3時半くらいにかなり強い雨が降ったかと思うとほどなく止んだのですが、その1〜2時間後くらいの空です。見とれていると事故をおこしそうなので、他の車が来ない測道に入って自分の車を停め、ゆっくりと観賞しました。

1枚目がほぼ北側、2枚目と3枚目は山頂を含む鳥海山ですが3枚目には秋田市方面に向かう特急いなほも写っています。4枚目は東側、5枚目は南東側で右端に月山が見えています。これでだいたい180度の展望ですが、残る180度は電信柱などがじゃまで撮影できませんでした。西側はすでにすこし夕焼けがかっていて、ぐるり360度撮影できればもっと良かったのですが。

青空に雲の光景は珍しくもなんともありませんが、こういう変化に富んだ躍動的な青空はやはりとても心が浮き立ちます。

 

 

 

 

 

端材の行方

家具や木の小物を作るときに、多かれ少なかれ端材が出ます。素材はほとんどの場合、製材工場で丸太などを挽き割っただけの板や角材で表面はざらざらに荒れています。またすぐに製品には使えないので長期間乾燥をしますが、その過程でひびが入ったり反ったり捩じれたりします。その程度はさまざまですが、実用的な意味においてですら「まったく狂わない」ということは無垢の木ではありえません。

乾燥が終わり、あばれるだけあばれて落ち着いた材料を、設計・図面にしたがって長さを切り出し、昇降盤丸鋸盤やバンドソー、パネルソーなどで幅を落とし、手押鉋盤や自動鉋盤で厚さと幅を正確に決めます。ここまでが下拵え(または木作り)です。それぞれの部材は必ず若干の長さの余裕をみますし、下拵えを行う最中に寸足らずや変色や虫食いなどで、結局不使用になってしまう材料が出ることもよくあります。こうして生じた中途半端な材料が「端材」です。

素材から幅と厚みをきっちり決めるまでだけでもけっこうな手間がかかっており、あとでちょっとだけほしいというときにまったくの荒材からまた木取りをするのはたいへんです。それで端材もたいていは保管しておくのですが、実際にあとで活用されるものは少なく、だんだん工房に端材がたまってきます。

使うあてのない端材がたまりすぎると場所ふさぎで邪魔になるし、目当ての端材を探し出すのが逆に難しくなってしまいます。そのため定期的に端材を処分していたのですが、これまではほとんどが薪ストーブの燃料になっていました。当工房では薪ストーブは使っていませんので、ほかの人に進呈していたわけです。量はたかが知れていますが、家具材でよく乾いているので最初の「焚き付け」にはうってつけなのです。

その端材を今回は市内の幼稚園の方に一山もらっていただきました。園児の工作に使われるとのこと。写真の端材がそれですが、ウォールナットやクルミ、タモ、クリ、スプルス、ピーラーといった種類の木です。大きさはまちまちですが、子どもたちが怪我などしないようにあまり尖っているものや木口ががさがさになっているものは横切丸鋸盤でみなきれいに再カットしてあります。子どもたちの工作用にというのは、端材の非常にいい有効活用ですね。

 

追加記事(2012.6.20)

上記の端材でこしらえた子どもたちの「作品」の写真がメールで送られてきました。ほほえましいです。ストーブの燃料として燃やされる運命だった端材がこうして活かされるとうれしいですね。

 

 

6/8の胴腹ノ滝

 

6月8日午前11時頃の胴腹ノ滝です。すこしづつですがやはり水量は減ってきています。水温は右は前回と同じ8.6℃、左は前々回とは同じで前回よりは0.1℃高い8.6℃です。水温は春先3月以来上がってきていたのですが、ここでいったん底を打ったのかもしれません。ただ昨年の同時期と比べると全般的に0.1〜0.2℃低いです。

下の写真はこれまでずっと掲載してきたものとは違うアングルからの胴腹ノ滝です。左の滝のほうはスギの木や社に隠れてよく見えませんが。

 

学校給食

 

今日は子どもが通う小学校で、保護者向けの給食試食会がありました。事前に1校時、栄養指導の先生(学校の栄養士の方かな)から食べ物についての授業があったようですが、そちらは基本的に子ども向けなのでパス。その後の給食を、校内のランチルームで子どもたちと一緒に食べました。

写真はその給食ですが、大人用なのでこどもたちのものより量は多めです。で、食べてみるとたいへんおいしいです。右上のサバの味噌煮も含めてすべて素材段階から校内で調理したものです。ご飯は麦ご飯。参加した保護者は「給食代」として各自240円を支払いしましたが、公立の小学校の給食ですからおそらくは材料実費分だけとはいえ、よくその値段でこれだけの料理を作れるものだと感心します。

さて給食とは関係ありませんが、子どもたちが給食の用意をしている間に、教室内やそのまわりの建物のようすを観察していたら、下の写真のようなひどいしろものが。非常灯かなにかとスイッチプレートですが、ちょっと眺めただけでもかなり傾いているのがわかります。手は届かない上のほうにありますし、ネジがゆるんでいるようすもないので、明らかに最初の設置工事が粗雑だったのでしょう。もちろんこうしたものの水平垂直の精度を1mm以下でなんてことは言いませんが、一目見て曲がっているようないいかげんな工事をプロがしてはいけませんよね。

 

決戦イロハかるた

 

『アサヒグラフ』1942年正月号に掲載されたという「決戦イロハかるた」だそうです。いやいや、これはものすごいです。イロハ順に書き出してみましょうかね(旧漢字は現行の漢字に変えました。また、写真をクリックすると拡大表示されますので、ためしてみてください)。

イ 一億火の玉」「ロ 論より実行」「ハ 花嫁のもんぺ」「 二年目も勝抜くぞ」「 豊年ぢゃ満作ぢゃ」「 ヘイタイサンアリガタウ」「 とんで火に入る敵機ども」「 地図は変る」「 利己心は敵だッ」「 ぬかるな女房」「 ルーズベルトそはそは」「 女なりやこそ千人針」「 笑って売り買ひ」「 買はう債券」「 よろこんで転業」「 足らぬ足らぬと米と英」「 歴史は今作られてゐる」「 そっくりやられた真珠湾」「 つとめて倹約」「 ねらって必中」「 なにがなんでも五人産む」「 ラジオは叫ぶ大戦果」「 胸を張って歩け」「 産めよ育てよ」「 ゐもん袋にコドモの絵」「 のるな デマ」「 奥様にくわ」「 くらやみで待機」「 大和魂世界一」「 毎日決戦」「 今日も献金」

まるでなにかのブラックジョークみたいですが、むろん当時は大真面目にこういう言葉と調子で戦争が鼓舞されていたのでしょう。それから70年経つわけですが、精神のありようとしてはほとんど今も変わっていませんね。

 

ビオトープ

昨日は地元の小学校で「地区住民大運動会」でした。小学生だけでなく中学生や大人たちもいっしょの合同の運動会です。わが家の小学生も出るので私もいっしょに会場に向かったのですが、基本的に私は大勢でわーわー騒ぐのはあまり好きではないので、手持ちぶさた。

 

それでわが母校でもある小学校の庭をみて回りました。校舎は10年くらい前だったかに建て替えられた新しいものですが、わりあい広い前庭と中庭があります。中庭のほうにはいちおうビオトープらしきものが設置され、井戸水が流れる浅い池がありました。水中にはメダカと、絶滅危惧種であるイバラトミヨが泳いでいます。イバラトミヨはおもいのほかたくさんいて、生息密度としてはひょっとすると町内有数かもしれません。雄には黒い婚姻色が出ており、巣作りの最中のようです。

 

また前庭の一画にはコンクリート製の鳥海山の大きな模型がありました。1坪ほどもあるでしょうか。かなり古いものらしく、一部欠けたり汚れていましたが、なかなか立派なものです。青色が標高1000m以下、赤茶色が1500m以下、白色がそれより上(頂上は2236.4m)でしょうかね。

 

チゴユリ

そろそろ時期的に終わりかけていますが、いま低山域の林床によく咲いているのがチゴユリです(Disporum  smilacinum)。漢字で書くと稚児百合で、お稚児さん(幼児)のように小さくて愛らしい百合の花ということですね。草丈は15〜30cmくらい、花びら(花被片)は6枚で15〜20mmの長さ。サイズはみな小ぶりながらも、よくみると全体の立ち姿も葉も花もたしかにこれは百合の仲間です。果実は直径10mmほどの球形で黒く熟します。

やや薄暗い感じの、あまり薮っぽくない林というと植林された杉林などが代表的ですが、まさにその林床にほぼ一面に咲いていることが多いです。人工林だから必ずしも草花が少ないわけではなく、種類によってはこのチゴユリのように自然の林よりも繁茂していることがあります。ほかにもミヤマナルコユリ、ホウチャクソウ、ヤマユリなどの百合の仲間は杉林ではおなじみです。落葉広葉樹主体の雑木林の林床、つまり自然林もしくは二次林の場合は春先は陽が当たるためかチゴユリなどはそれほどみかけません。他の草本の勢いに負けてしまう感じですね。

ただ一部で唱えられている「植林地は自然が豊かで動植物の種類数も多い」という主張は私は疑問に思っています。植林はもともと自然状態でいろいろな植物が生えている自然林を伐採し、杉や檜や松などを植え、作業道を通し、苗が育つとまた木材として切り出すわけですが、人為的に比較的短いスパンで自然環境が撹乱・改変されることによって、結果的にさまざまな自然環境が同時的同所的に出現します。それによってその小規模かつ多様な環境のそれぞれに適応した生き物が残存し、または他から進出してくると考えられます。

原生的な自然林の場合は、天変地異が起こればがらりと変わるものの、そうした大きな圧力と圧力の間はわりあい穏やかな環境なので、その環境に最も適した動植物がしだいに優先してくるということがあるでしょう。したがってそうした長期にわたり安定した林のごく一部分だけを、例えば数ヘクタールを切り取って同規模の植林地と比較すれば、かえって自然林のほうが動植物の種類は少ないという場合もあるかもしれません。しかしそのことをもってして植林地や人工林のほうが自然が豊かというのはほとんど詭弁に近く、かなり無理がある主張です。