月別アーカイブ: 3月 2012

観音森・猿穴・大平など

 

上の写真は遊佐町小原田地区から眺めた鳥海山です。山の中腹以上はまだ完全に冬山ですが、低山域や麓・平地は急速に春めいてきました。水田の雪もだいぶ溶けてきて畦道などが顔をのぞかせています。萌え出した草の芽を白鳥がつばんでいたりします。撮影は3月8日の午前10時すぎ。

さて下の写真はその鳥海山の左側の一部をアップしたものですが、スカイラインのいちばん左の真っ白の三角形が観音森(685m)、中央の白い小さな平坦部分が猿穴(763m)、そしていちばん右端の水平に近い台地状の部分が大平(おおだいら、約1000m)です。その左にほんの少しだけ白く見えている緩傾斜地は、地図の標高点906m付近の北大平。当ブログの3月5日「観音森登頂」で紹介したように、観音森は溶岩ドーム、猿穴と大平・北大平は噴火口跡です。大平のすぐ右側の急斜面が伝石坂(つたいしざか)ですね。

山に実際に登ればもちろんそれは美しく楽しいことがたくさんありますが、自分が登ったことのある山をあらためて下から眺めて「あれは○○、その向こうは□□」と再確認していくのもたいへん魅惑的であると思っています。ことに鳥海山のような火山の場合は、そうすることで大地の活動のようすをまざまざと想像することができますから。

 

3/8の胴腹ノ滝

3月8日午前11時頃の胴腹ノ滝です。一目見てわかるくらいに水量が増えています。温度も一転して上がり、右が8.8℃、左が8.6℃と、前回(2/29)より左右とも0.2℃上昇です。気温も、これまでは12月21日以来ずっとマイナスだったのですが、この日は正午前とはいえ5.2℃もあり、とても温かく感じました。

これは5日にまとまった雨が降り、その後も比較的温暖な日が続き、平地だけでなく胴腹ノ滝上部あたりの雪もすこし溶けてきたので、雨水の新たな地下浸透があり地下水圧が高まったせいかと思います。鳥居の前の渓流も流量が明らかに増えており、水温も前回(2/29)より1.7℃上がって4.7℃です。

天気がよく温かくなってきたせいか、今回は3組計5人の水汲みの方に出会いました。ようやく駐車スペースや歩道の雪かきをしなくてもすむようにはなりましたが、私としては観測時にはあまり他の人に会いたくないので(わずらわしいので)、胴腹ノ滝を訪ねるのはやはり朝早い時間のほうがいいかなと思っています。

 

マンガ皿

これは今、フェイスブック等で話題になっているという「マンガ皿」です。漫画でよく使われる擬音やカットの一部を平角の陶器にプリントしたもののようです。下の写真は、そのサイト(http://www.comicalu.com/)を開いて私がデジカメで写したものをMacに取り込んでコピーしているので不鮮明ですが、おおよその感じは分かるでしょう。

皆さんはどう感じられますか? 私は正直いってまったくだめです。遊びでちょっと作ってみる分には「勝手にやれば〜」という印象ですが、おおまじめにこれを製品化し販売を開始。絶賛する声も多いようですが、私はあきれかえってしまいました。こういったものはしょせんは好みの問題で、良いとか悪いとか言うことはできませんが、私は嫌いだしかっこわるいと感じます。むろん漫画だからだめというのではありません。実際に出てきた結果がものすごくつまらない。食べものがちっともおいしそうではありません。万が一レストランなどでこのマンガ皿で料理を提供されたら、私は二度とその店には行かないと思います。

私が自宅で使用している食器の多くはいわゆる作家物で、それも現役の陶芸作家の手になるものがほとんどです。伝統的な古い陶磁器よりも現代の品のほうが基本的に好ましいと思っていますし、実用的な器ではないものもあります。その私でもこのマンガ皿は心底嫌だな。

 

トン&マル

めずらしく布団の上でトンとマルがいっしょに寝ていました。もっと小さい頃はいつも二匹くっついていたのですが、長ずるにつれて一匹ずつ離れてすごすことが多かったのです。トンがいま8歳、マルが7歳。ただし例外は冬期間のストーブの前。ふだんはうるさい、わずらわしいとお互いに思っているようですが、ひどく寒いときは背に腹は代えられませんものね。

あ、トンの正式名はトント、マルはマーブルです。トントは映画『ハリーとトント』にちなんだもの、マーブルは白黒の大理石模様(?)ということで。

 

観音森登頂

昨日観音森に登ってきました。鳥海山は西側の裾が日本海に没していますが、庄内平野のほうから見て西鳥海(笙ケ岳)から左に長くなだらかに続くスカイラインの途中に、きれいな三角錐の小峰が見えます。他のところはすでに森林限界よりずっと下なので樹々に覆われて山肌が黒っぽく見えますが、その三角形だけは冬期間はほぼ真っ白になるで、大きさのわりにたいへん目立ちます。これが観音森です(古文書には桑ノ森とも)。

標高は685.2mで、何万年も前にできた火口丘=溶岩ドームです。西側の急な斜面は標高差300mもあります。比較的粘度の高い溶岩だったらしく、むくむくと盛り上がったまま固まったものとみえます。この観音森の約1.2km東側には猿穴という噴火口の跡があります。直径は100mに満たない小さなものですが、ここから流出した溶岩はかなりの量で、先端は海まで達しています。女鹿から三崎・小砂川沓掛海岸にかけての急崖がそれです。つまりわりあい標高の低い、狭い範囲に凹=猿穴と、凸=観音森という火山性の地形が観察できるわけで、その意味でもたいへんおもしろいところです。

私が観音森の頂まで登ったのはもう40年も前の冬のことで、今回が2回目ということになります。冒頭にのべたように非常に目立つピークなのでぜひまた登りたいとは思っていたのですが、かつての歩道(参詣道の小砂川道)はほぼ完全に廃道になっていて、もし無雪期に登ろうとすれば猛烈な薮こぎを覚悟しなければなりません。一帯は農耕に牛馬を飼っていた時代には採草地だったそうで、そのため大きな樹木こそ生えていませんが逆にそのぶん灌木や竹などが密生しているというわけです。それでもし頂上まで登ろうとするならブッシュが雪に覆われた時期、しかも積雪がある程度しまってきて、天気も猛烈な吹雪などにおそわれる心配のない時期にほぼ限られてしまいます。2〜3月中旬というところですかね。

私が昔観音森に登ったときは小砂川の駅からえんえんと観音森林道を歩いたのでたいへんでしたが、今回は頂から直線で北西約1.5km麓にある観音森の集落までは自家用車で入ることができました。そこからははじめの1/3くらいは林道を歩き、あとの2/3は地図で地形を読みながらの登行です。前は西側斜面からのほとんど直登でしたが、今回は北側からです。もちろんルートはすべて雪上のため、最初から最後までカンジキをはいて行きます。

さいわい天気も晴れて見通しがよく、しかも1週間ばかり前のものと思われる誰かのカンジキの跡もだいぶ残っていたので、迷ったりすることもなくスムーズに頂上まで達することができました。ただし頂上直下の急斜面はクラスト(雪面が低温と強風で凍結状態になること)していたので、ピッケルでステップを切りながらの登行となりました。写真の右側の稜線です。正面からの直登は最後がそうとう急斜面なので難しいと思います。もっともアイゼンやピッケル、ザイルなどのフル装備であえて挑んでみるのもいいかもしれません。

観音森頂上からはさえぎるものがいっさいない360度の絶景。東側には稲倉岳や新山らしい鋭いピークも頭をのぞかせています。日本海や庄内平野ももちろん一望のもとです。頂上一帯はあまりにも風が強いので積雪は30cmくらいでしょうか。標識もちゃんと確認できました。

上りが約2時間半、下りが1時間弱の、たいへん快適な楽しい山行でした。猿穴にも行きたかったのですが、時間的にあまり余裕がなかったので、今回はパス。それに猿穴のほうはすぐ近くまでいちおう林道が通っているので(かなり荒れていて廃道同然ですが)、ここには春から秋まで以前に何度か訪ねたことがありましたから。

 

 

 

 

土産物

親戚筋から「子どもに」といただいたもの。しかしこれはちょっと、呆然とするくらいひどいです。三葉葵の紋と「白虎刀」という文字が記されているので、おそらく福島県会津若松市のお土産品だと思うのですが、さやは接着が切れてばらばらになっているし、つばも外れかけています。角々の面取りもほとんどされていなくて、掌を滑らせたりすると怪我をしてしまいそうです。刀身を握りに止める目釘も頭が2mmくらい飛び出していました。

こんな壊れてしまっているものをくれた、というよりも、私が木工の仕事をしているのを知っていてきっと直してくれるだろうと判断したのだと善意に解釈することにしました。で、さっそく工房に持って行って修繕したのですが、見れば見るほど雑な作り。いくら子ども相手(?)の土産物だからといってこれはないでしょう。

この刀の玩具にかぎりませんが、観光客相手の土産品は程度の低いものが多いですね。旅先での一回かぎりのお客だと思うからでしょうが、しかし今は昔に比べれば情報網が発達しているので悪い話はすぐに広まってしまいます。逆にまともな品物であり良いものならば自分でも、あるいはその土産をもらったほうでも別の機会にまた買ってみようと思うかもしれません。そう感じてもらえるような上質な品物を作り販売するほうが、長い目・広い目でみればほんとうはそのほうが商売上でも得策なはずだと思うのですが。

 

2/29の胴腹ノ滝

2月末日(29日)朝の胴腹ノ滝。上の写真が向かって右側の滝、下の写真が向かって左側の滝です。水量は「前々回vs前回」と同じ傾向があり、右のほうはさらに減り、左は増えています。ただそれも写真をよく見比べてはじめて分かる程度の差で、ぱっと見た目には「まあ変わらず」という印象になるでしょうか。

湧水温度は前回と同様に、右が8.6℃、左が8.4℃(気温マイナス3.6℃)でした。これまでの観察で、左右の滝の温度が微妙ながら異なることが多いこと、水量の増減のしかたが違うパターンを示すこともあることなどから、これまでときおり聞こえていた「左右で水の味が違う」という話は、やはりあながち否定できないかもしれないと私もいまは考えています。もっとも私の舌でははっきりした差は感じられませんが。

さて昨年3月からの温度の計測や定点からの写真撮影もちょうど丸1年経過しましたので、データをまとめて近いうちに公開しようと思っています。乞うご期待。