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鳥海山と黄金田

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晴れた空に白い雲、その下に鎮座するあでやかな姿の鳥海山、足元からずっと向こうまで広がる黄金色に実った稲田。まあ半分は人工的な景観なわけですが、美しいことはたしかです(写真は9月6日午後3時頃の撮影)。

それから傾斜こそ比較的ゆるいですがまぎれもなくこれは棚田。よくいわれる「棚田100選」などの固定観念にとらわれることなくつぶさに観察してみれば、田んぼに水を張るために自然の地形に手を加えて階段状にこしらえたことが分かります。わざわざ他に見物に行かなくとも地元に広大で見事な棚田があるということすら、農家の方以外にはあまり知られていないように思います。もったいないことです。

 

「黒柿」で検索すると

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グーグルで「黒柿」の検索をするとトップに画像検索の結果が表示されますが、その最初に(左端)写っているのは当工房で製作した箱ものです。これは2010年11月にKさんからのご注文があって製作したもので、薄板の部材を接合してこしらえた指物(さしもの)の箱ではなく、実・蓋ともに一枚の厚板を彫り込んでこしらえました。

名付けて「黒柿角形被蓋くり物(くろがきかくがたかぶせぶたくりもの)」。大きさは幅182mm奥行132mm高さ36.5mmで、鏡面塗装で仕上げています。上の写真は、パソコンの画像をさらにデジカメで撮ったものなので不鮮明ですが、孔雀杢に近い最上級の黒柿です。指物ならともかくくり物でこういった品物ははまずめったにないことは間違いありません。

3年ほど経っているにもかかわらず検索トップに表示されるということはそれだけ黒柿という材料や製品が珍しく貴重であることを如実に物語っていると思います。ちなみに写真中の右隣の箱物は将棋の駒箱で、山形県の天童市観光物産協会で販売しているもののようです。

 

ウォールナットのスツール

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ウォールナット(アメリカン-ブラック-ウォールナット)のスツールが3脚完成しました。大きさは幅380mm奥行274mm高さ365mm、重さは2.4kgです。座板は長方形ではなく4辺がR7000のカーブを描いています。

あくまでも補助的な椅子なので簡単に持ち出し移動できるように、可能な限り軽くしました。とはいえ体重のある方が座っても大丈夫なだけの強度は絶対的に必要です。そのため幕板の背(せい)はこれより小さくはできませんし、貫を省くこともできません。脚の太さもスツールであればこそのこの寸法で、背もたれのある通常の椅子の場合は横方向にもかなり力がかかるので、この太さではまず無理でしょう。

貫は脚の長さの中央からいくらか上よりに設けていますが、これは用途によって、例えば玄関で靴を脱ぎ履きする際の一時的腰掛けなども想定しており、その場合に脚を切り詰めても変な形にならないようにするためです。

じつはこのスツールは正式なご注文があって製作したものではなかったのですが、お得意様におみせしたところ即座に2脚お買い求めいただきました。ありがとうございます。価格は税込み33500円です。1脚まだ在庫がありますので、ご希望の方はお早めにどうぞ。

※※※ 残り1脚も販売済みとなりました。製作のコストの関係で、最低でも一度に3〜4脚を作らないといけないのですが、ご希望がさらにあるようでしたら再度の製作を検討したいと思っています。よろしくお願いします。2013/09/14

 

ランボルギーニ&フェラーリ

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日曜日に遊佐町吹浦地区の「遊楽里」特設会場で写したもの。これは「遊佐町クラシックカー愛好会」が企画するイベントで、今回で5回目だそうです。昭和年代の国産乗用車のほか、いわゆるスーパーカーも交えて計80台ほどの自家用車が集いました。オーナーの許可を得ることができれば触ったり座席に座らせてもらえることもあるようなので、自動車大好きの子どもといっしょに見物に行きました。

私は正直いうとクラシックカーにはあまり興味がありません。古いか新しいかはどうでもよくて、車自体として好きかどうかだけが関心事です。それで国産の古い車よりは、上の写真のような欧米のスポーツカーなどのほうに魅かれて、一台一台ゆっくり見て回りました。手前のオレンジ色の車はランボルギーニのムルシエラゴ、向こう隣の赤い車がフェラーリの308GTS。どちらもイタリアの高級スポーツカーです。

ほかにもドイツのポルシェやベンツ、英国のアストンマーチン、米国のダッジチャージャーなどがありましたが、私はやはりフェラーリがいちばん好きですね。デザインがこの上なくエレガントです。

 

水温・水量の変化

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胴腹ノ滝ですが7月17日をピークとして、その後は徐々に水量は減ってきています(写真は8月29日午前8時頃のもの)。計測は基本的に胴腹ノ滝の左右と、鳥居の前の表流水の計3カ所を計測しているのですが、8月2日・8月12日・8月21日・8月29日の温度は以下の通りです。単位は℃です。

胴腹ノ滝の右側(湧水)  8.9   8.9   8.9   8.8
胴腹ノ滝の左側(湧水)  8.8   8.9   8.8   8.8
鳥居の前の表流水    11.1  11.6  12.1  12.6
胴腹ノ滝の前の気温   20.1   ーー   21.6  18.3
鳥居の前の気温     22.4  26.0  21.9  19.4

たったこれだけのデータだけでもいろいろなことが分かります。
1)胴腹ノ滝は左右の温度が同じか、左側が0.1℃低いことが多い。水量の変化のしかたも右と左とでは微妙に異なるので、しばしば言われる「左右で水の味が違う」というのも単なる気のせいではないかもしれない。
2)鳥居の前の表流水は湧水と雨水が混じっているが、一直線に温度が高くなっている。
3)胴腹ノ滝の前の気温と鳥居の前の気温を比べると、いつも前者のほうが低い。とくに湧水量の多かった8月2日は2.3℃も低い。

湧水の温度はせいぜいプラスマイナス0.1度の差しかなく、非常に安定していますが、表流水のほうはきれいに直線的に上昇しています。少し涼しくなってきた8月下旬以降の29日でもさらに水温は上がっているので、気温の変化からはある程度遅れて変化するのだと考えられます。

気温はその日・時刻・天気によって大きく変動しますが、それでも胴腹ノ滝の湧水の温度には少なくとも短期的にはほとんど影響を与えていないようです。地下水ですから表流水よりもさらに変化の度合いは緩慢です。

胴腹ノ滝の周辺の気温がいつも低めなのは、滝が急斜面の裾野に位置しいくらか谷間のような地形となっているので、大量の湧水によって回りの空気が冷やされているからですね。とりわけ無風状態のときは温度計で計る前から明らかにそれまでの道中より気温が低いことがすぐ分かります。もっとも涼しく感じるのはいまの時期だからこそで、冬の場合は逆にほんわか空気が暖かいです。

 

パイライト ノジュール

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パイライト(pyrite)は黄鉄鉱のこと。ノジュール(nodule)は一般用語としては団塊のことですが、鉱物としては堆積岩中にできた、周囲の成分と異なる塊状のものをいいます。中心部に化石や砂粒などを核としてもち、そのまわりにケイ酸分や炭酸塩、鉄酸化物などが凝集したものです。

黄鉄鉱については当ブログの2010年11月27日にも記事を載せていますが、あちらは不定形の塊だったのに対し、こちらは団子状のみごとな塊です。大きさは手の平に収まる6×5×3cmほど、重さは242gです。形状のせいとその大きさのためかと思いますが、実際手にのせてみると見た目よりはずっと重量感があります。比重は5.0。

黄鉄鉱は硫黄と鉄が半々くらいの組成からなる硫化鉱物で、硬度は6〜6.5と鉄より硬く、ハンマーなどで叩くと火花が飛び散ります。ギリシャ語でpyrは火を意味し、それが鉱物名となっています。しかし湿気には弱く脆くなってしまうようで、写真のノジュールももともと入っていたひび割れのところからぱかっと一部がはがれてしまいました。

 

雲、雲、雲

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昨日の午後6時頃、帰宅するのに車を走らせていたら、じつに美しい雲がたくさん空に浮かんでいました。思わず道ばたに車を停めてしばらくの間眺めいってしまいました。

 

スクエアミラー

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オニグルミ製の正方形の鏡です。大きさは27×447×447mmで、5mm厚の鏡を溝にはめこんでいます。写真は撮影用に、工房に残っていた石膏ボードに仮止めして写したものです。作業スペースの壁に立てかけた木材がいろいろ映っています。

通常こういった細い角材を4本組んで作る木枠の場合、できるだけ反りや捻れが出ないように柾目の材料を用い、表側にその平行する木目が出るように組み立てるのが原則です。しかしこの鏡ではあえて向きを90度変えて板目の面が表に来るようにしています。全体のサイズが比較的小さいことと、通直素直な材料であること、また板目面にすこしうねるような杢(キルテッド)が出ていることからそれを活かしたいとの理由です。

鏡はやはり壁に密着していないと納まりがよくありません。見た目にもそうですが、5mm厚のガラスはけっこう重さもあるので、地震などで落下しないように確実に固定する必要があります。ただしその固定の仕方が問題で、頑丈な受け金具などが表に出るのは野暮というもの。

そこでこの鏡の場合は下の写真のように、まず丈夫な裏桟を利用して4カ所壁に木ネジで止めます。この桟は左右の縦枠にあらかじめホゾ組みしてあります。壁面が石膏ボードや薄手の化粧板などの場合は、それ用のアンカー付きのネジや専用プラグを必ず用います。

それから上の桟のスリットから鏡を静かに落とし込み、残った隙間を目板で塞ぎます。目板はぴったりの精度で先に作ってあるので指で押し込めばオーケーです。鏡はふつう顔がちゃんと写るように目線よりやや上方に取り付けるので、この目板部分はあとからは見えません。

この鏡はじつは当ブログで先頃何度か掲載していた酒田市内某宅のトイレ改装工事の際に製作した鏡の兄弟分で、材料は共木です。一枚のクルミの板から4個分の鏡の材料が取れたので、1枚はそのトイレの手洗器の上の壁に取り付け、残り3枚はそれとは若干スタイルを変えて「予備品」としてこしらえました。

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※※ご希望の方に販売します。
価格は税込みで19500円です。

取り付けるには若干のコツといくつか機械・道具が必要です。ご自分で取り付けが無理な場合は、当方で出張にて作業を行いますが、その場合は別途料金が発生します。

 

 

 

 

 

ライフ・オブ・パイ

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「トラと漂流した227日」と副題が付いた映画です。パソコンにDVDを入れて自宅で観たのですが、圧巻でした。すこし前にかなり話題になった映画なので、内容の説明は省きますが、少年とトラとの交流の物語でもなければ、海難→票流譚でもありません。むろん冒険ファンタジーなどではないです。

少年の名前はパイ(Pi)で、それは円周率のあのパイ。3.1415926535897932……とどこまでも続く、割り切れない無限数ですが、そのことが象徴するように全篇にさまざまな寓話に満ちた映画ですね。生と死や、神と人間、破壊と慈愛、喪失と復活、等々……。

猛るベンガルトラの姿や飛翔するトビウオ、荒れ狂う大洋、静謐な凪いだ海など、ほとんどの映像がCGで作られたものだそうですが、それをまったくといっていいほど意識させない非常に美しいみごとな映像です。

陰惨な場面は周到に隠されていますが、遭難に至る前のインドでの生活篇にも伏線と暗喩がいっぱいで、私も2回観てやっとひととおり意味を理解しました。けっして分かりやすい作品ではなく、賛否両論かもしれませんが、私自身はじゅうぶん楽しめましたし、考えさせられることが多かったです。おすすめ。

 

ホゾの頭の仕上

当工房では家具等の組み立てに通しホゾを採用することが多いのですが、ホゾの先端(頭)が接合相手の部材の表面に出てきます。これをきれいに仕上げる方法としていちばんスタンダードな方法を紹介します。

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1枚目の写真はスツールの幕板のホゾが脚の表に出ているのをノコギリでカットしているところです。ホゾの頭を相手部材の表面と同じ高さにそろえる(面一にする)こともありますが、可能であればホゾの先端を少しだけですが出るようにします。これはほとんどの場合、ホゾと相手部材とは繊維方向が90度くらい異なるのが通例で、そのためにたとえ充分に乾燥した材料であっても経年変化や温度・湿度の影響により、段差が生ずることがよくあるからです。面一に仕上げたはずのホゾの頭が、いつの間に突き出すとか逆に凹んだりするわけです。これは見た目にきれいではありませんし、接合強度の低下にもつながります。

そこで最初から数ミリ程度ホゾのほうを長く仕上げておきます。こうしておけば部材の拡張収縮が多少あっても見た目にはまず分かりませんし、強度の低下を防ぐこともできます。ただしその分、また手間が増えてしまいます。

実際どのくらい長くしておくかですが、製品全体のボリュームとか部材の寸法とかによって異なるとはいえ、家具の場合はたいてい1〜3mm程度です。あまり長いと身体や衣類などが引っかかってしまうなど邪魔になることもありますし、見た目にもうるさい感じになることがあります。過ぎたれば及ばざるが如し、ですかね。

上の例では1.5mm出の仕上げです。しかしながらいくつもあるホゾの頭をきっちり同じ長さに仕上げるのは意外に難しいので、厚さ1.6mmのヒノキの薄板をホゾの周囲に「貼ってはがせる」両面テープで貼付け、それをガイドにして目の細かいノコギリでホゾを切り落とします。ノコギリは背金のある替刃式8寸目の薄手のノコギリを、背金だけ寸詰めにして刃のほうを若干反らせるようにして切っています。目の粗い、また切れ味のわるいノコで切るとホゾの角が折れてしまうので要注意です。

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2枚目の写真はノコギリで切り落としたホゾの木口を、やはりヒノキの薄板をガイドにしてノミできれいに整えているところ。材料はアメリカン-ブラック-ウォールナットで比較的刃の通りはいいほうですが、よく切れるノミで慎重にやらないとやはりホゾの角が欠けてしまったりします。基本的には2方向から少しずつ削ったほうが安全でしょう。

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3枚目の写真はヒノキの薄板を外し、さらにホゾの頭の四周をノミで面取りしたところです。面の大きさは見付きで1mm。ホゾの頭は最終的にはサンディングペーパーをかけて完全に平滑になるようにします。ホゾの出が1.5mm仕上なのにガイドの薄板が厚さ1.6mmだったのは、それを見込んでのことでした。