胴腹ノ滝ですが7月17日をピークとして、その後は徐々に水量は減ってきています(写真は8月29日午前8時頃のもの)。計測は基本的に胴腹ノ滝の左右と、鳥居の前の表流水の計3カ所を計測しているのですが、8月2日・8月12日・8月21日・8月29日の温度は以下の通りです。単位は℃です。
胴腹ノ滝の右側(湧水) 8.9 8.9 8.9 8.8
胴腹ノ滝の左側(湧水) 8.8 8.9 8.8 8.8
鳥居の前の表流水 11.1 11.6 12.1 12.6
胴腹ノ滝の前の気温 20.1 ーー 21.6 18.3
鳥居の前の気温 22.4 26.0 21.9 19.4
たったこれだけのデータだけでもいろいろなことが分かります。
1)胴腹ノ滝は左右の温度が同じか、左側が0.1℃低いことが多い。水量の変化のしかたも右と左とでは微妙に異なるので、しばしば言われる「左右で水の味が違う」というのも単なる気のせいではないかもしれない。
2)鳥居の前の表流水は湧水と雨水が混じっているが、一直線に温度が高くなっている。
3)胴腹ノ滝の前の気温と鳥居の前の気温を比べると、いつも前者のほうが低い。とくに湧水量の多かった8月2日は2.3℃も低い。
湧水の温度はせいぜいプラスマイナス0.1度の差しかなく、非常に安定していますが、表流水のほうはきれいに直線的に上昇しています。少し涼しくなってきた8月下旬以降の29日でもさらに水温は上がっているので、気温の変化からはある程度遅れて変化するのだと考えられます。
気温はその日・時刻・天気によって大きく変動しますが、それでも胴腹ノ滝の湧水の温度には少なくとも短期的にはほとんど影響を与えていないようです。地下水ですから表流水よりもさらに変化の度合いは緩慢です。
胴腹ノ滝の周辺の気温がいつも低めなのは、滝が急斜面の裾野に位置しいくらか谷間のような地形となっているので、大量の湧水によって回りの空気が冷やされているからですね。とりわけ無風状態のときは温度計で計る前から明らかにそれまでの道中より気温が低いことがすぐ分かります。もっとも涼しく感じるのはいまの時期だからこそで、冬の場合は逆にほんわか空気が暖かいです。