オニグルミ製の正方形の鏡です。大きさは27×447×447mmで、5mm厚の鏡を溝にはめこんでいます。写真は撮影用に、工房に残っていた石膏ボードに仮止めして写したものです。作業スペースの壁に立てかけた木材がいろいろ映っています。
通常こういった細い角材を4本組んで作る木枠の場合、できるだけ反りや捻れが出ないように柾目の材料を用い、表側にその平行する木目が出るように組み立てるのが原則です。しかしこの鏡ではあえて向きを90度変えて板目の面が表に来るようにしています。全体のサイズが比較的小さいことと、通直素直な材料であること、また板目面にすこしうねるような杢(キルテッド)が出ていることからそれを活かしたいとの理由です。
鏡はやはり壁に密着していないと納まりがよくありません。見た目にもそうですが、5mm厚のガラスはけっこう重さもあるので、地震などで落下しないように確実に固定する必要があります。ただしその固定の仕方が問題で、頑丈な受け金具などが表に出るのは野暮というもの。
そこでこの鏡の場合は下の写真のように、まず丈夫な裏桟を利用して4カ所壁に木ネジで止めます。この桟は左右の縦枠にあらかじめホゾ組みしてあります。壁面が石膏ボードや薄手の化粧板などの場合は、それ用のアンカー付きのネジや専用プラグを必ず用います。
それから上の桟のスリットから鏡を静かに落とし込み、残った隙間を目板で塞ぎます。目板はぴったりの精度で先に作ってあるので指で押し込めばオーケーです。鏡はふつう顔がちゃんと写るように目線よりやや上方に取り付けるので、この目板部分はあとからは見えません。
この鏡はじつは当ブログで先頃何度か掲載していた酒田市内某宅のトイレ改装工事の際に製作した鏡の兄弟分で、材料は共木です。一枚のクルミの板から4個分の鏡の材料が取れたので、1枚はそのトイレの手洗器の上の壁に取り付け、残り3枚はそれとは若干スタイルを変えて「予備品」としてこしらえました。
※※ご希望の方に販売します。
価格は税込みで19500円です。
取り付けるには若干のコツといくつか機械・道具が必要です。ご自分で取り付けが無理な場合は、当方で出張にて作業を行いますが、その場合は別途料金が発生します。