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ゴム長靴交換

 

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この前、工房近くの雪道をカンジキ(樏)を装着して歩いていたら、ゴム長靴が壊れてしまいました。ゴムを接ぎ合わせしたあたりがとくにひどく、ひびが入り裂けてしまっています。この長靴はもう5、6年くらいは履いていると思いますが、雪道だけでなく土方工事や夏場の薮こぎなどにもよく使っているので、明らかに寿命ですね。

穴があいてしまったのでは長靴としての用をなさないので、1月12日に当ブログで取り上げたダンロップ-スポーツ製の長靴にさっそくバトンタッチしましたが、たいへん快適です。あらかじめ買い置きしておいてよかったです。ブーツだのなんだのより、雪道や泥道では断然ゴム長靴。冬用の長靴には空気層のある内張りが施されているので雪の中でも暖かいです。

 

コーヒーブレーク 42 「さかむけ」

 

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さかむけのひとつやふたつ俵雪

木工の仕事で冬期間はできるだけ手袋を着用するように心がけてはいるが、作業内容によっては当然そうもいかないことがある。そのため程度の差はあれど手指の荒れ、あかぎれやさかむけができしまう。その傷口にまた何かが触れてしまうとたいそう痛い。尿素配合のスキンクリームやワセリンをまめに塗ることでだいぶ軽減できるが、皆無というわけにはいかない。毎冬の悩みではある。/俵雪は厳寒期に、一度積もった雪の表面が凍結し、その上に新たに積もった雪が烈風によって一部めくれあがり、それが雪だるまを作るときのように転がっていって、バウムクーヘンのような輪状になったものだ。米俵などの底と口は縄を丸く編んでこしらえるが、ちょうど側面がそれに似ているというので俵雪。気温があまり低すぎても高くても形成されず、風も単に強ければいいというわけではなくその角度や向きがあり、それに地形にも大きく左右されるので、雪国であっても俵雪はいつでもどこでも見ることができるものではない。私自身もたまにしか遭遇したことがない。/俵雪ということで、豊作を想起させるめでたいものとしてとらえられているようだ。豊富な雪は水稲栽培には欠かせない豊富な水の源である。

セーターは闇と身体を着替えたる

セーターは着なくなったなあ。たいてい厚手のシャツ+フリースという格好でいることがほとんどで、一度も冬あいだ出番がないこともある。セーター自体は嫌いなわけではなく、昔はフルオーダーで作ってもらったこともある。しかし風が通るので戸外ではさらに上にコートやジャンパーなどを着ないと寒いし、素材がウールだと保管に気をつけないと虫に食われてしまうことがある。それに洗濯がなかなか面倒だ。フリースであれば他のものといっしょに簡単に洗濯機で洗えるしすぐに乾いてしまうが、セーターだとそういうわけにはいかない。

若菜野へ半壊したる温室の中へ

若菜は正月七日の七草粥に入れる若草のことで、俳句の世界では新年の季語とされているらしい。そりゃ雪が積もらない、もうすこし暖かい地方ならそうかもしれないが、当地では元旦の頃に若草を摘んで粥にするなどということはまずありえないことである。現実の自然に即すなら若菜はせいぜい3月以降にふさわしい言葉(季語)ですね。/住む人が減り、離農するところも珍しくなくなって、なかば壊れてしまった温室やビニールハウスが手入れもされない(できない)ままに放置されている光景をしばしば見かけるようになった。心の痛む光景であるが、壊れているとはいえ完全に倒伏してはいない場合、外に比べればいくらか温度も高く雨雪に直接たたかれることも少ないので、おもいのほか緑が広がっていることがある。

 

窓辺の景

 

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上の写真はわが家の洗面脱衣室の窓辺、下の写真はトイレの窓辺です。トイレは通常の住宅のトイレよりすこし広めに作ってあり、窓も大きめにしているので、さまざまな小物を飾っています(狭いところにあれこれ飾るとますます狭く感じますので)。窓のガラスはペアガラスのうちの戸外側の内面が磨りガラスになっているので、外光がやわらかく拡散します。洗面脱衣室のほうは洗面台とミラーボックスと洗濯機を置いているので、それほど空間的余裕はありませんが、窓台のところにいまシクラメンの鉢を並べています。

他のところにももうちょっと鉢植などがほしい気もしますが、猫が葉っぱや花をかじってぼろぼろにしてしまうことがあるので、残念ながらあまり増やすことはできません。シクラメンはなぜかさほどの被害がなくてすんでいるのですが、匂いか味かなにかが猫にとってはあまり魅力的ではないのか、足場がわるくて思うように葉っぱを齧ることができないのかもしれません。

 

変わり杢 その2

 

2月19日の当ブログでは、ペーパーウェイトDタイプ用に木取りした材料の中でとくに変わった杢のことを取り上げましたが、今回はその第2弾です。

 

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スーヤバール(Thuja burl)です。スーヤ(またはツヤ)はニオイヒバというアフリカはモロッコ産の針葉樹ですが、その香しい匂いもさることながら、バール(瘤材のこと)となるとその赤褐色の地の中に点々と散らばる黒い斑紋・豹柄がたいへん美しく、高級車のダッシュボードなどに使われることもあるそうです。この黒点は葉節の跡かもしれませんが、ぶどうの房のようにある程度はかたまって存在しています。針葉樹といってもかなり硬く重く、計算上は比重0.95もあります。乾燥材でかろうじて水に浮くということ。

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以下3点はケヤキの杢板です。幅50cmほどの一枚の板から順次切り出したものですが、同じ材料ながら切断方向や木表・木裏などの違いによってさまざまな杢が現れています。購入先の材木屋さんはカシノキのような木目ということで「樫目杢」と記していましたが、なるほどそのように見えなくもありません。/最初は白太に近い部分の木表側です。年輪もさざ波のように屈曲していますが、さらに一段濃色の網目のようなものが重なっています。これはいったいなんでしょうかね。

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1枚目に近い箇所の、これは木裏側です。まだ白太部分ですが、雲のような雰囲気です。玉杢というのでもない、とにかく複雑に曲がりくねった年輪です。ただ同心円を描いているところはまずないので単年度ごとの凹凸ということでしょうか? よくわかりません。

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これは2枚目よりいくらか芯側に近い部分の木表側です。2枚目のものにくらべいっそう年輪(導管)の凹凸が明瞭ですが、やはり単発的で、ふつうによく言われる玉杢とは異なります。/というわけで、同じ一枚の板なのに木取していくにつれどんどん模様がかわり、また3cm角ほどの棒状にした材の4面もみな表情が違うという、じつに魅力的な比類のない杢です。

 

変わり杢 その1

 

ペーパーウェイトDタイプの木取を先日集中的に行ったことはすでに記事にしましたが(1/26,27)、その中でもとくに変わった杢の材料について、読者の方から問い合わせもありましたので、あらためて詳しく紹介してみたいと思います。材料の幅(写真の縦方向の材料寸法)はいずれも約3cmで、杢のようすをわかりやすくするためにすこし表面を水で濡らしています。

 

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キハダ(黄檗)です。樹皮の内側がカレー粉のようにまっ黄色をしているので漢字では黄肌・黄膚と書くこともあります。ミカン科の落葉高木で、黄色の部分には薬用成分のベルベリンを含み胃腸剤として重用されています。木材的には年輪が明瞭でクリによく似た感じの木目ですが、やや黄色味をおびています。ベルベリンのせいなのかどうか色やけがしやすいので、家具等に用いる場合は漆などで着色塗装されることが多いようです。/今回の材は年輪が細かく波打っており、さらにキルテッドといっていいような複雑な縮みも生じています。直径1m以上、樹齢も数百年は経っている大木だったようです。

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上と同じくキハダですが、幅90cmほどの板の一部が黒く変色しており、それから切り出したものです。樹木が立ち枯れ状態のときにバクテリアかなにかの作用で黒くなったようですが、基本的には年輪にそってほぼ平行に色がさしているので、黒柿などの紋様の入り方とは原因も色素も異なると思います。通常であれば要するに腐れてしまう途中にあるわけですが、さまざまな幸運が重なってそうはならずに木地はしっかりしています。細かい縮みも見えます。/杢板といってもふつうの玉杢や縮杢などではない、さらに特殊な紋様が生じた杢板のことをスポルトと呼んでいますが、このキハダはまさにそれです。私自身は初めて遭遇する変わり杢で、これまで耳にしたこともありません。鏡面塗装したらどうなるのか非常に楽しみです。

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タモです。正式にはヤチダモといい、モクセイ科の落葉高木で、樹高は最大で35mにもなります。直径も1mほどになることもあり幹が通直なので家具材や器具、建築造作材、建具などに広く用いられています。ただし通常のタモでは素直かつ大味なので、ペーパーウェイトのような小物にはあまり向いていません。/しかし今回のタモはバール(瘤材のこと)です。ケヤキやニレなどであればバールはなくはないのですが、タモのバールというのはきわめて珍しいと思います。

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マスールバーチ(Masur birch)というたいへん希少な材です。バーチはカバノキのことですが、マスールは「銘木材料」としての名前であって、植物学的な樹種そのものの名前ではないようです。ある種のカバノキの成長過程で樹皮に蛾の幼虫がついた食痕跡が上のような独特な模様になるのですが、他の樹木の虫食い跡のような空洞になっていないのは、樹がその傷を新たな侵出物で充填してしまうからとのこと。/当工房で持っている材は直径20cmほどの樹の、芯部分を含む三割り材ですが、喰み跡が不定期に同心円状に幼木段階から入っていることがわかります。結局樹は蛾の幼虫に樹皮をぼこぼこに食い荒らされながらも枯れることはなく成長していっているということですね。一種の「共生」ということなのかもしれません。

 

深窓の令嬢

 

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(アルは雌猫で生後推定9ヶ月くらいなので、いちおう令嬢ということで。)わが家のはめ殺しの二重窓にふりかかる外の雪をじっと眺めているようです。横倒しにした予備の座卓の甲板側面に器用に乗っかっています。

 

黒柿を検索すると

 

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グーグルで「黒柿」を検索するとトップページに画像が4つ表示されますが、そのうちの二つは当工房のものです。順番は入れ替わることもありますが、表示されるものはほとんどいつも同じもの。上の写真はパソコンの画面をデジカメで撮影したものなので鮮明ではありませんが、左側が角形のくり物で、右がペーパーウェイトDタイプです。「くり物」というのは、板や桟を組み合わせて立体化する「指物(さしもの)」にたいして、ある程度の厚みのある材料をそのまま掘り込んでそれだけで器などにしたものをいいます。「くる」は「抉る」と似たような言葉と漢字なのですが、私のパソコンでは変換できません。

全国的には黒柿を素材として器物を製作している所はそれなりに数はあるようなのですが、どうして黒柿の製品となると上の画像しか検索で出てこないのか、ちょっと不思議です。当ブログにはそれほど大量のアクセスがあるわけでもありませんし、他のお店に製品を卸したりもいっさいしていないので、知名度も一般にはたいしてあるようには思えないのですが。

上の角形くり物については当ブログの2010年11月14日の記事に、ペーパーウェイトについては2011年7月1日と12月7日の記事に詳しいことが載っています。

 

コーヒーブレーク 41 「太々と」

 

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車道にぶちまけて狸は礫死体

前回のコーヒーブレーク40では「狸がひとつ落ちている国道七号線」という句をあげたが、そちらは一見したところ落とし物のような、無傷ともみえる狸の礫死体。それに対してこちらは、潰されてめちゃくちゃになった、酸鼻な礫死体である。

 節分や滝の氷の太々と

節分は立春の前日のことで、新暦では2月3日頃にあたる。この日をもって冬と春の境目という意味なのだが、他の地域であればともかく当地では「まったく何をほざいてんだか!」である。例えばだが、上の写真はデータをみると2月19日の撮影とある。鳥海山の中腹にある二ノ滝の凍結した姿であって、これより早くとも遅くともこんなに見事なアイスフォールになることはない。この沢(月山沢)には冬期間でも湧水が流れ込んでいるのだが、二ノ滝があるあたりでの湧水量はそれほど多くはないので、寒気に負けて落水が凍結してしまうのである。すなわち一年でいちばん寒い時期がこの頃ということだ。春到来であるわけがなかろう。/俳句歳時記は結局のところ京都あたりの地方の、特権階級の美意識を根底にしているので、そこから北であれ南であれ遠く離れた地方や、一般庶民の季節の実感とはそうとうかけ離れている。それを理解したうえでひとつの参考にするのはかまわないが、金科玉条のごとく絶対視してはいけない。

豆撒けばあの世に豆は引かれけり

さて、節分の夜に全国各地で行われたであろう豆撒きである。昔は炒った大豆をそのままばらばらと放ったものだったが、すぐに拾って食べないと美味しくない。とりわけ冬は湿度が高いからだろうが、しけてしまった豆は不味いし、箪笥の下などの狭い隙間に転がり込んでしまった豆は、昔ならそのままネズミの餌になってしまっただろうと思う。/昨今では「衛生上の観点」から床に落ちた食べ物を拾って口にすることも忌避されるようになってしまい、今は大豆のかわりに殻付きの落花生であるとか、小袋に入った豆菓子などが撒かれることも普通になってしまった。あるいは大豆と他のものとの二本立てか。

 

ウッディ専科 32号

 

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工房の事務室から出てきた古い雑誌です。婦人生活社から平成5年=1993年に発刊された季刊誌です。当時はアマチュアの木工熱がかなりさかんで、同じ婦人生活社の『手づくり木工事典』、山と渓谷社の『ウッディライフ』をはじめ木工関連の雑誌がいくつも出ていました。なかにはまったく初歩的、日曜工作の域を出ないものもあり、プロはもちろんハイアマチュアでさえもほとんど役に立たないような雑誌もありましたが、そうした中ではこの『ウッディ専科』はわりあい硬派で本格的な作りの雑誌だったと思います。表紙はオークビレッジの代表の稲本正さんですね。

当時は当工房も弟子やアルバイトの女性もいてそれなりの売り上げもあり、それにともなって個展やグループ展に参加したり、雑誌や新聞・テレビなどに出たりということも珍しくありませんでした。そのためか上記の木工関係の雑誌からもいくつか取材のオファーを受けています。『ウッディライフ』についてはその別冊版である『手づくり家具作家図鑑』に載った件を、当ブログの記事にしています(2014.3.13)。

さてこの『ウッディ専科』32号には36〜47頁の12頁にわたって木工房オーツーの記事が載っています。本号の特集が「プロが教える家具づくり」とあるとおり、その頃全国的に比較的名の通った木工房から5カ所がピックアップされて、ひとつの家具を作る過程全般を実地で細かく追って解説しています。オークビレッジはテーブルを、KAKI工房は椅子を、南南西の風はベンチチェストを、北の住まい設計社はハンギングボード(吊戸棚)を、そしてわがオーツーはコレクションボード(飾り戸棚)を製作しました。

ほかはどうだか知りませんが、少なくともこちらでは「広告料」はいっさい出していません。逆に「取材協力費」だったかの名目で、完成品の通常の売値相当のお金をいただいています。

 

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これが最初の頁ですが、22年も前のこととあって、私もずいぶん若々しいです。冒頭で工房の基本理念を語っています。若干気負った物言いにはなっていますが、今ととくに変わってはいませんね。左の頁にはこの時に製作してほぼ完成したコレクションボードが写っています。幅700mm×奥行190mm×高さ1450mmとけっこう大きなサイズの家具です。背板はコレクションが映えるように黒く着色しています。

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これは実際の製作の様子を細かく撮影してもらったものです。ほんとうは養生期間を除いた正味の作業時間だけでも1週間はかかるのですが、東京から泊まり込みで取材に来たクルーをそんなに待機させるわけにはいかず、最初の木取と下拵え、最後の塗装は省略しています。それでもつきっきりで加工を84工程・6頁ぶんにわたって撮影を強行したのでたいへんでした。製作の主要メンバーが私もふくめ3人いたからこそ可能だったのですが、取材の前後も朝早くから夜遅くまで作業していた記憶があります。

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無事にコレクションボードの製作が終わり、完成写真とメンバーの「記念写真」も撮ってもらいました。あとは作品展用などに現物で保管していた家具8点ばかりを別の場所で撮影。誌面構成上、足りない部分はこちらで写したものを数点編集部に送りました。上2枚の写真はその「作品例」の紹介の頁です。それぞれサイズや価格も書いているのですが、今と比べても値段的にはほとんど変わっていないことを痛感します。つまり1990年前後といえばバブル経済の時期だったわけで、材木の単価こそ現在より低いものの、人件費を含めた加工賃のほうは逆に今より当時のほうが高めだったかもしれません。

さて、あらためて特集全体に目を通してみたのですが、登場した5つの工房のうちで、親方というか代表者が実際にほんとうに作ってみせているところは当工房と北の住まい設計社だけで、ほかはお弟子さんか従業員の方が作っているんですね。世間一般の「手作り」のイメージとは異なるわけです。むろんそれが悪いということではなく、経営的観点でいえばそのほうが正解ではあるのでしょう。親方がいつまでも製作の現場にはり付いていたのでは、会社としては伸びていきませんから(ははは……)。

 

なんだ? アル

 

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キッチンのところにニャア〜といってやって来たアルです。アルビフロラ(albiflora ラテン語で白い花という意味)というのが本名なのですが、ちょっと言いにくいのでみんなからアルと呼ばれています。生後推定約9ヶ月ですが、そろそろ発情期かな。

細身、軽量で、贅肉は皆無。体重は2.45kgほどで、もう一匹のトントのちょうど半分しかありません。ほぼ全身白いのですが、頭のてっぺんにほんの少しだけ黒いところがあります。尻尾の付け根のあたりの黄色(淡黄褐色)は体色ではなくたぶん汚れかな? 写真では銀色の首輪を付けていますが、白猫なのでだいたいどんな首輪でも似合います。トントのも含めて10個ばかりの首輪があるので、一ヶ月に一度くらいの頻度で取り替えて楽しんでいます。