2月19日の当ブログでは、ペーパーウェイトDタイプ用に木取りした材料の中でとくに変わった杢のことを取り上げましたが、今回はその第2弾です。
スーヤバール(Thuja burl)です。スーヤ(またはツヤ)はニオイヒバというアフリカはモロッコ産の針葉樹ですが、その香しい匂いもさることながら、バール(瘤材のこと)となるとその赤褐色の地の中に点々と散らばる黒い斑紋・豹柄がたいへん美しく、高級車のダッシュボードなどに使われることもあるそうです。この黒点は葉節の跡かもしれませんが、ぶどうの房のようにある程度はかたまって存在しています。針葉樹といってもかなり硬く重く、計算上は比重0.95もあります。乾燥材でかろうじて水に浮くということ。
以下3点はケヤキの杢板です。幅50cmほどの一枚の板から順次切り出したものですが、同じ材料ながら切断方向や木表・木裏などの違いによってさまざまな杢が現れています。購入先の材木屋さんはカシノキのような木目ということで「樫目杢」と記していましたが、なるほどそのように見えなくもありません。/最初は白太に近い部分の木表側です。年輪もさざ波のように屈曲していますが、さらに一段濃色の網目のようなものが重なっています。これはいったいなんでしょうかね。
1枚目に近い箇所の、これは木裏側です。まだ白太部分ですが、雲のような雰囲気です。玉杢というのでもない、とにかく複雑に曲がりくねった年輪です。ただ同心円を描いているところはまずないので単年度ごとの凹凸ということでしょうか? よくわかりません。
これは2枚目よりいくらか芯側に近い部分の木表側です。2枚目のものにくらべいっそう年輪(導管)の凹凸が明瞭ですが、やはり単発的で、ふつうによく言われる玉杢とは異なります。/というわけで、同じ一枚の板なのに木取していくにつれどんどん模様がかわり、また3cm角ほどの棒状にした材の4面もみな表情が違うという、じつに魅力的な比類のない杢です。