ひび割れて吉祥模様や春の泥
自然の造形で蜂の巣であるとか岩石の柱状節理などで六角形がよくみられるのは、その形を連続的につなげていくことによって平面を隙間無く埋め尽くすことが可能であり、少ない画線で閉じた広い空間をつくることができ(材料の節約になる)、縦・横・斜めのどの方向にも耐える力がある(変形しにくい)、といった数々の特徴が六角形にはあるからである。/面的に六角形を基本とする構造をハニカム構造というが、まざまな分野のさまざまな製品に使われている。はじめは自然界の造形にならったんだろうが、あとから理論的にも詰めていったのであろう。
転覆も沈没もあり花筏
桜の散った花びらが水面を漂い流れるのを花筏というのだが、あまりにも散る花が多い場合は池の水面などを覆いつくすばかりか、ときに二重三重なるになることもある。下になった花びらは当然ながら水面下に押し込まれたり、向きが変わって横になったりひっくり返ったりすることもあるだろう。/(ここで「いきなり話は飛躍するのだが、」と石川五右衛門の釜茹での刑についてすこし書こうと思ったのだが、単なる都市伝説かもしれぬとはいえあまりにも惨い話なのでやっぱりやめにした。)
四葉の五葉の六葉のまだクローバー
もともとは牧草として植えられるクローバーだが、多数の白い小さな花を球状に咲かせることや昔は乾燥させて商品などのクッション材として利用したことからシロツメクサ=白詰草ともいい、苜蓿(うまごやし、馬肥やし)ともいう。しかし詳しく調べてみると、シロツメクサとウマゴヤシとは同じマメ科シャジクソウ属ながら、別の植物のようである。ウマゴヤシの花は黄色だが、シロツメクサは文字通りに白花であり背丈もウマゴヤシほど高くはならない。とすると歳時記の苜蓿・クローバー・白詰草を同種の異称という説明は誤記ということになる。/クローバーは小葉は3枚が通常であるが、四葉のクローバーを見つけるとラッキー、幸福のシンボルという俗信がある。しかし四葉のクローバーはそのつもりで探してみるとそれほど珍しいわけではなく、わりあい簡単に見つけることができる。ところがさらにじっくり観察すると4枚どころかそれ以上の多葉の個体がみつかることがあり、最高記録ではなんと56枚とか(ギネスの記録)。
(※ 鳥海山西麓の牛渡川。箕輪の鮭孵化場付近ではみごとな梅花藻の群落をみることができる。澄んだ冷たい流水にしか生息しないキンポウゲ属の水草で、ウメの花に似た白い5弁花を水上または水中で咲かせる。)