ツイッターでその機器の存在を知り、ツイッターでコメントをかわすこともある方の母上が開発にかかわっていることから、速攻で注文しました。鉛筆けずりの一種ですが、短くなった鉛筆をつないで最後まで使い切ることができるように加工する専用の鉛筆削器 TSUNAGO です。メーカーは鉛筆けずり用の刃物専業の中島重久堂で、小さな携帯用は完品で生産販売を行うか、もしくは他の文具メーカーに刃物のみ供給しているようです。
工房で使っている鉛筆で短くなってしまったものを、さっそくこの機器で加工してみました。
上の写真で左側の筒型の黒いものが「つなぐ鉛筆削り TSUNAGO 」で、上面に3つの孔があいています。いま見えているのは1番目の穴です。 1)まず凹のほうの加工をします。一方の鉛筆のお尻のほうに、接合するための穴をあけるのですが、手で鉛筆自体を握って右回しにぐりぐりやるのでけっこう握力が必要ですし、あまり短い鉛筆だと握り代が少なくてやりにくいのと、尖った芯先が手にあたって痛い場合があります。芯の削れた粉が潤滑材のような働きをしてしまうせいか、わりあい強く押しながら回さないと必要な深さの穴があきません。
2)もう一方の鉛筆の先のほうに凸のほうの加工をします。1とは別の穴に差し込んでやはり右回りに回して削っていくのですが、こちらは通常の鉛筆削りとほぼ似た感じで、わりあい楽に削ることができます。ただし下の写真のような細目の寸胴部分がきちんできるまでと加工しないと、1の凹にうまくはまりません。
3)2の削りだけでは削りくずなどで切削面が荒れてしまうので、3つ目の穴に差し込んできれいに肌を整えます(とくに寸胴の部分)。
4)両方の加工ができたら木屑・芯屑などをきれいに除去してから、試しに接合してみます。ゆっくり回しながら押し込んでいくのですが、もし密着しない場合は、削り代が足りないので、再度1〜3をくりかえします。
5)うまく仮組みができるようであれば、接合部に木工用ボンド(通称白ボンドという酢酸ビニルエマルション系の水性接着剤)をぬって固定します。はみ出たボンドは拭き取り、内部まで完全に乾くまで放置します(夏場で半日、冬場は一昼夜)。一度きれいにつながってしまえば、あとは通常の鉛筆削りやナイフが使用できます。
実際に5本くらいの鉛筆をつないでみた感想ですが、「簡単しごく」「誰でもできる」とは残念ながらいいがたいです。握力も必要だし、慣れも要求されます。何本かは駄目元で練習しないといけないかもしれません。というわけで小学生以下の子供や握力の弱い女性やぶきっちょすぎる人はちょっと厳しいかなと思います。加工可能な鉛筆は、径7〜8mmの六角または丸鉛筆で、お尻に消しゴムや樹脂の丸みなどがついていないオール木製軸の黒鉛筆や固めの色鉛筆のみ加工できます。芯の太さも3mm以下です。
このTSUNAGOはいまたいへん人気があり、生産が追いつかない状態にあるようです。また品薄を反映してか小売価格にもだいぶ差があります。よほどひんぱんに鉛筆を使う人でないと、結局のところ「元はとれない」可能性もありそうですが、これまでなら捨てていたような鉛筆や、ホルダーなどを併用して無理に使っていた鉛筆が、つなぎ合わせることによって新しい鉛筆同様に使えるのはちょっとした感激ではあります。