未分類」カテゴリーアーカイブ

A3のラミネーター

 

ジオパークのサイトで、お客さんに地形や地質や動植物などを説明する際の補助としてフリップ(絵や写真・グラフなどを入れた掲示板)が有効です。口頭だけではわかりにくい内容もフリップがあると理解しやすく印象に残ります。これまではA4サイズのフリップを使っていたのですが、クリアホルダーにはさんでも雨天の場合は紙などがどうしてもしみになってしまうし、人数が30人以上になって大型バスでサイト間を移動するようになると、A4サイズでは後ろの席からは見えづらくなります。

そこで絵や写真などを雨滴などから保護し、かつ参加者の全員に見えるようにするため、A3サイズまでラミネートできるラミネーターを新調しました。じつはラミネーター自体は前から持っていたのですが、しばらく使わないで物置に押し込めていました。A3サイズまで可能だと思っていたのですが、久しぶりに引っ張り出してみたらそれは勘違いで、A4までの小型の機種でした。11月2〜8日の私の木工作品の個展『箱の宇宙』での掲示物にも使うということで、ややグレードの高い機種を選びました。で、通販で先日届いたのがこれです。

dscn8557_2

 

アイリスオーヤマのLTA32Wという機種。写真では妙に黄ばんだ感じに写っていますが、実物はニュートラルなライトグレーです。「省スペースラミネーター」とうたっているように縦入れ用のトレーがついています。A3サイズのラミネーターだと普通であれば前後合わせて90cmくらいのスペースがないといけませんが、この機種だと差し込み口を向こうに回して原稿+フィルムを縦向きに入れ、手前にラミネートが終わったものが出てくるようにすることで、壁ぎわなどの奥行きが狭いところでも使うことができます。と書いても想像が難しいでしょうから、製品パッケージに印刷されたものを転載します。

dscn8559

 

なるほど、という感じですね。

他に特徴(スペック)としては、
1)電源を入れてから60分後に自動的に電源が切れる安全装置付き。
2)150ミクロン(0.15mm)のフィルムまでオーケー。
3)3段階温度コントロール。
4)ウォームアップ完了をブザーでもお知らせ。
5)フィルム詰まりなどを解消しやすいワンタッチのフリーレバー。
6)ローラーは2本。

この中でローラーが2本というのは、一般的に上位機種は4本ローラーであることが多いのでそれとの比較のようですが、実際使っていては不都合はありません。全体にコンパクトで、使い勝手もよく工夫されており、そのわりに値段も良心的ということでたいへん気に入りました。なおフリップのラミネート用の フィルムは、片面が艶消し(マット)のものが断然いいです。光が反射しないのでお客さんからも画面がとても見やすいですから。

コーヒーブレーク 91 「しずしずと」

 

dscn8477_2

 

しずしずとそそくさと蛇穴に入る

[しずしずと そそくさと へびあなにいる] 一昨年だったか動物園で飼っているアオダイショウを手に持ったり首に巻いてもらったりしたせいか(動物ふれあい特別イベント)、以前ほどは蛇に抵抗感がなくなった。マムシだけは数メートル以上の距離をおかないと向こうからとびかかってくることがあるので厳重注意だが、ほかの蛇であればこちらが友好的な態度でいるかぎりだいじょうぶである。落ち着いてゆっくりと、かなり近いところから観察することができる。もちろん動物園の人慣れしたアオダイショウなどとちがって野生の蛇にうかつに手を出すとかまれることがあるのでやめるべしというのは件の動物園の飼育係の言である。

願いごとはなし月面に流れ星

[ねがいごとはなし げつめんに ながれぼし] 流れ星は尾を引くからこその流れ星である。宇宙をただよう数ミリから数センチ程度の小さな塵が大気に飛び込んで摩擦で高温になり気化。そのさいに大気の成分や気化した塵の成分が発光する。したがって空気がないところでは流れ星が流れ星になることもなく、いきなりずどんと他の天体に衝突するわけである。/月にも大気がないわけではないが、あまりにも薄いので実際上真空とみなしてもいいほどだという。なにしろ人間が作り出しうる真空度よりもっと高い真空、つまり物がほとんど存在しない空間である。

石なべて正座するなり秋の水

[いしなべて せいざするなり あきのみず] 秋になると河川や湖沼の水が澄んできれいになる、というのはたぶん思い込みにすぎないだろう。秋といえば台風のシーズンでもあり、梅雨の再来かと思うような秋の長雨もある。すこし強い雨が降ればとうぜん水はすぐに濁ってしまう。しかし10月にもなれば気温はずいぶん下がってくるので、水中の有機物のバクテリア等による分解も少なくなり、草木ももう枯れてくるので、晴天の日であれば流水はたしかに明るくきれいに澄み切っているように見えなくもない。/澄んだ水といえば、やはりどうしても脳裡に浮かんでくるのは数十年前の牛渡川である。鳥海山からの湧水が大量にわいて流れている遊佐町の小さな河川だが、30年ほど前は光線のかげんによっては水面がどこだかわからないくらいに澄んでいた。現在でも他の河川にくらべれば水はきれいなのだが、昔はその比ではなかったのである。夜は魚も岩陰から開けたところに出ていることが多いので、その観察のために明るいライトを持って仲間としばしば出かけたのだが、水面の位置がよくわからないので、ついライトの先を水に突っ込んでしまうことがあった。

 

※ 写真はたぶんトラマルハナバチと、クマツヅラ科の典型的な海浜植物であるハマゴウの花。釜磯にて。2016.10.3)

 

黒柿、黄檗、欅の刳物製作中

黒柿、黄檗、欅の刳物製作中

11月2〜8日の個展まであと10日余り。今回は刳物の蓋付き箱を約40点メインで展示販売しますが、最後の製作を行っているところです。材料はキハダ(黄檗)の縮杢+スポルト、ケヤキの如鱗杢、黒柿ですが、いずれも角形です。蓋は合わせ蓋3点と被せ蓋が2点。大きさは左上のケヤキのがA4サイズの書類などが入る大きさになります。

写真は基本加工となる蓋と実の掘り込みと外形カットを行った状態で、このあと仕上げ削りや丸み付け、面取り、サンディングなどを行い、最後に4回程度の塗装を施します。専用の保管用木箱や包む布(綿ブロード)や結ぶ紐を用意し、プライスカードやプロフィールなどの掲示物も作らないといけません。100%これに集中できればいいのですが、法事やらPTAの用事やら建築関係の一部手伝いもあるので、ちょっと焦っています。

dscn8553_2

 

鳥海山紅葉

 

11月の個展を前に大忙しなのですが、先の日曜日16日はたいへんいい天気だったこともあり気分転換で妻といっしょに鳥海山のブルーラインにドライブに出かけました。頂上は雪をすこしかぶっていますが、中腹はいま紅葉の真っ盛りです。

標高1000mの大平の駐車場からは、上方の伝石坂・見晴台方面の全山紅葉の景に圧倒されます(1枚目)。また標高約1100m余の鉾立の展望台からは、深い奈曽渓谷をはさんで稲倉岳や新山・七高山の険しくも美しい姿にいつもながら見とれてしまいました(2〜4枚目)。

おもしろかったのは、すこし上の展望台まで15分ほどのぼったのですが、妻に地形地質などを説明しながら景色を楽しんでいると、たまたますぐ隣に居合わせた女性二人からもっと詳しい説明を求められたことです。そこで私が鳥海山・飛島ジオパークのガイド研修生であることを断った上で、30分くらいいろいろとお話をさせていただきました。登山はときどきされているそうですが、これまで知らなかったことをたくさん知ることができ、今まで以上に鳥海山がすばらしいことがわかってうれしいと言われました。

山に来る人が全員ではもちろんないと思いますが、地形地質や植生、生態系、山をめぐる地元の人の文化や歴史といったことに強い興味関心を持っていることを実感しました。科学的事実と歴史的事実にもとづいたきちんとした説明、しかもそれほど予備知識のない人にもわかるようにかみくだいた丁寧な説明がだいじですね。

お礼ということで持ち合わせておられたチョコレートを2パックいただきましたが、こちらこそありがとうございました(いいガイドをするにはなんといっても場数を踏むことが必須です)。

dscn8532_2

 

dscn8533_2

 

dscn8544_2

 

dscn8538_2

 

月光川本流のサケ

 

鳥海山に源を発する月光川(がっこうがわ)ですが、その本流にサケが毎年のぼってきます。オホーツク海やベーリング海を4年前後回遊して大きくなり、生まれた川にまたもどってきます。

月光川水系には主な支流が10本余りあるのですが、北よりの牛渡川・滝淵川・洗沢川では古くから人工孵化事業が行われています。ところが本流のほうはだいぶ前にその事業をやめているので、いま本流に遡上してきているサケはすべて自然に繁殖しているものです。自力で産卵と放精をし、卵からかえり稚魚となって春先に海にくだります。人工孵化の場合でおおよそ0.5%程度の回帰率(200匹に1匹)といわれていますが、自然産卵の場合は回帰率はさらに一桁くらい下がるかもしれません。しかしそれでも例えば昨年の例では千匹くらいのサケが月光川本流にもどってきました。

サケが遡上する川は全国的にはたくさんありますが、数メートルの至近距離からかつ安全に自然産卵のようすを観察することができる河川はきわめて稀です。箕輪集落などの人工孵化のサケばかりが注目されがちですが、自然産卵のサケはそれとはまた違った魅力がたくさんあり、ぜひ広く皆さんに知ってもらいたいと思います。ただしサケは国が管理する水産資源として重要であり、一般の人は捕獲はいっさい禁止されています。どうせ勝手にのぼってきたサケなんだから1匹くらいいいだろうと捕まえてしまうと密漁ということで今度は自分が捕まりますのでご注意を(昨年も洗沢川でサケ2匹の密漁で誰かさんが警察にお縄になっています)。

月光川本流のサケの遡上は11月〜12月中旬くらいまでが見頃です。下の写真は河川の中流域と上流域の境界にあたる旧朝日橋のすこし上部のもの。体の一部が白くなっている1匹のサケと、すでに種の維持という役目を終えてホッチャレになってしまったサケです。遺骸は見た目はよくないかもしれませんが、鳥や獣が食み虫やバクテリアが分解し、生き物のサイクルに組み込まれるのであって、けっして無駄になったり環境の悪化をまねくわけではありません。そうした面も含めてリアルに体感できるすばらしい河川といえます。

dscn8526_2

 

dscn8515_2

 

庭の花 6

 

急に寒くなってきて、昨晩から床暖房を最低レベルながら稼働させました。鳥海山の初冠雪も公式には9日にありました(たぶん実際は7日ですが)。庭の花、または戸外に置いている鉢植えの花もだいぶ少なくなってきましたが、それでも10種類くらい咲いています。

花期がとても長いもの、一度花が咲き終わったのに二度三度と断続的にまた咲き始めているものもあるので、以前の「庭の花」とだぶるものが多いのですが、そこは私的な備忘録も兼ねているのでご容赦ください。

dscn8495_2
ミセバヤ(ベンケイソウ科) 6寸鉢いっぱいに何株も植わっているせいか丈が低くこみあっている。花も葉も赤く色づいて美しい。

dscn8494_2
黄刺大鳳玉(サボテン科アストロフィツム属) 大鳳玉の黄刺の変種で、もう20年くらいになり、一時は枯れそうになったが一昨年くらいから持ち直している。花も断続的に咲き、これが今年3回目。

dscn8497_2
シクラメン(サクラソウ科) 鉢植えで買って2〜3年目のシクラメンの鉢が4つあるが、そのうちのひとつ。ミニシクラメンというタイプ。春先に一度花が終わり、葉も大部分しおれてしまったが、夏からまた復活。

dscn8498_2
  依然として名前も科もわからずだが、丈は大きくなりつつあり、花も今回はたくさん咲き始めた。名前をご存知の方は教えてください。

dscn8501_2
ハキダメギク(キク科) 気の毒な名前の筆頭。でもわが庭では自然に増えておりうれしい。

dscn8503_2
スペアミント(シソ科) これは困るくらいに繁殖力が旺盛で、庭の一画を完全に占領している。花はそろそろ終わり。

dscn8426_2
ハッカ(シソ科) ハッカの仲間は世界中にたくさんあるが、これは香料のハッカを採るため以前は大量に栽培されていたらしい。在来種。ふつうは淡いピンクの花だがこれは白花。

 

個展のDMできました

 

img003

 

本日、11月2日〜8日に酒田市の清水屋デパートの4階画廊「ミュージアム5」で行う個展のDMができました。さっそく配布を開始しています。これまでの個展またはグループ展では、出品者名をずっと工房の名前=木工房オーツーとしてきましたが、一人で仕事をするようになってからすでに10年余り経過していますし、今後も弟子とか従業員を雇う予定もないので、実態にあった私=大江進の個人名で展示会を行います。

今回はDMの表にも記したように、いろいろな木の厚板を掘り込んで作った刳物の一点もの約40点を中心とする展示で、家具類はありません。それでタイトルも「箱の宇宙」としました。すべて蓋つきの箱であり、そこはいわば閉じられた小宇宙ということになります。

まだ作りかけの刳物も数点あり、会期まであと20日もないので、これからかなりがんばらないといけません。会期が近づいたらまたあらためて告知しますが、みなさまなにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

img004

 

胴腹ノ滝の裸地化の対策

 

鳥海山の南西面標高240mのところにある胴腹ノ滝ですが、渓畔の裸地化が急速にすすんでいることを9月15日の記事でお伝えしましたが、その対策のひとつとしてつい先日(6・7日)注意をうながす立て札・看板を設置しました。もちろん所有&管理者である宮司さんとの協議と了解を得てのことです。

「自然をだいじにしましょう」といった一般的で抽象的な看板を大きくかかげても、みながそれを見るとはかぎりませんし、だいじにするといってもいったい何が問題でそれに対してどうすればいいのかよくわかりません。また「立ち入り禁止」といった文言の看板では雰囲気が損なわれますし、やはり何が問題なのかがいまひとつ分かりません。もっと具体的で実効性がある看板が必要でしょう。

本来の歩道から外れた踏み跡が、はっきりしているものだけで3カ所はあるので、その踏み跡の”入口”のところに「苔むした渓流の景観を保護するため、これより先に入らないようお願いします」という文言の立て札および標識を計3箇所設置しました。ベイヒバでこしらえた板は大きさ13×32cmの大きさで、文字は油性マーカーで2回なぞっただけのものですが、踏み跡の真ん前に設けたので何が問題でどうしてほしいのかということを即座に理解していただけると思います。ただし撮影や見物の邪魔にならないように高さは地面から50cmほどの高さに抑えてあります。杭もやはりベイヒバで、その杭が地面が硬くて打てないところは樹の幹にシュロ縄でくくりつけています(針金や釘は樹を痛めるので厳禁)。同様な素材と作りの道標を他のところに設置したことがありますが、おそらく3〜5年程度は保つと思います。

設置しているときに、ちょうど水汲みに来た人や滝の撮影に来た人がいましたが、何をなんのためにやっているのか説明するとみなさん賛意を示してくれました。吹浦地区の丸池様の場合も同様ですが、きちんとていねいに説明すれば、裸地化対策のための看板やロープ等の設置に反対する人はいません。少なくとも私は現地でそういう人に出会ったことはありません。むろんそういったものがなくても大丈夫ならそれにこしたことはありませんし、景観上もいいのは言うまでもありませんが、残念ながらもはやそういう状況ではありません。胴腹ノ滝も丸池様もきれいだなと思うからこそ撮影等に訪れる人が多いわけですが、なんら対策なしのままでは肝心の被写体が損なわれてしまいます。それでは元も子もありません。

(※ 設置にあたりましてはIさんからも手伝っていただきました。あらためてお礼申し上げます。)

dscn8486_2

 

dscn8485_2

 

dscn8481_2

 

コーヒーブレーク 90 「きりん」

 

dscn8386_2

 

十月やきしと引き締め水平線

[じゅうがつや きしとひきしめ すいへいせん] 寒くなってきた。天気予報でも最低気温が10℃を下回るようになるのもじきである。それでも日中は天気がよければ暑いことも多く、いまだに私はたいていTシャツ1枚ですごしている。そういえばこのTシャツというのも考えてみれば偉大な発明ではある。下着のシャツのようでいて下着ではない、上着として着てもまったく違和感がないというのはじつにすばらしい。生地自体も形状も下着とされているものとほとんど同じものなのに、この差はいったいなんだろうか? 基本同じものなのに違った意味が付与される。それはたぶん記号論の世界になるのだろうが、私にゃよく分からんので以下省略。

秋冷の道を掃きたる風車かな

[しゅうれいの みちをはきたる ふうしゃかな] 発電用の大型の風車がずいぶん増えた。近くでは庄内砂丘、県境を越えるとにかほ高原には風車が列を成している。鳥の衝突や低周波の問題などはたしかにあるが、それでも原子力発電よりは断然いいし、石炭や石油や天然ガスを輸入しての火力発電よりもまだましだとはいえるだろう。ほんとうはいちばんいいのは火山大国であり地震大国でもある地下エネルギー、すなわち地熱発電こそが自前の資源かつ半永久的に使用可能な資源という意味で最適と思うのだが、既存の利権構造&組織が邪魔をしてなのかいっかな普及進展しない。もちろん地熱発電にもメリットとデメリットが当然あるが、大局的・長期的な判断をしなければならない。日本には地熱発電の高度な技術はあるらしいのだが、それが国内ではあまり活かされていない。もったいない話である。

動物園きりんの首が逃げておる

[どうぶつえん きりんのくびが にげておる] 今年はまだ動物園にも水族館にも行ってない。ジオパークがらみの講習会やイベントがいくつもあり、本業の木工の個展が11/2〜8にあるので、それに出すものの製作や諸々の準備があってなかなか時間がとれない。登山やハイキングにもあまり行ってない。/動物園の目玉といえば、パンダは別格としてまずはゾウでありキリンである。日本にはいないし、日本にいる獣にくらべれば異形といっていい姿形であり、しかもとてつもなく大きい。昔の人ははじめてゾウやキリンを目にしたときどんなに驚いたことだろう。

 

桐箪笥の再生

 

製造してからおそらく80年くらいは経っていると思われる桐箪笥2棹をリニューアルしました。当初はもとのように砥の粉塗布+うづくり仕上げのつもりでいたのですが、実際作業をはじめてみると予想以上に痛みがはげしく、大小の傷が無数といっていいほど。汚れも表面だけでなくかなり内部まで染みになってしまっているところがいくつかあり、板の割れも数カ所ありました。

そこで途中で方針を変えて、ウレタンの半艶塗装で仕上げることにしました。着色はしていないのですが、透明な塗装を4回施しただけで、まるでケヤキの箪笥のような色合いと雰囲気になりました。下の写真ではわからない小さな傷や染みはありますが、それも長年使い込んだ感じの味と化しています。

お客さんの意向としても今後かならずしも和服等の収納として使われることでもないようでしたので、こうしてしっかり塗装してしまえば納戸ではなく居間などの表に出して使っても大丈夫です。手あかがつく心配もありません。とくに3段重ねのものは中段を抜いてしまえば高さ105cmになるので、畳の茶の間に置いて使っても圧迫感はないでしょう。

あと今回の大きな変更としては、段重ね用の側面の連結金具を廃したことです。二人がかりでよほど注意して重ねたり外したりしない限り、その金具のでっぱりで箪笥本体が傷だらけになってしまいます。今回の箪笥の場合も金具は潰れたり切れたりしており、再生はとうてい不可能な状態。仮に新しい金具に交換しても同様の問題が起こる可能性は大きいでしょう。ということで、金具のあった位置は全面掘り込んでアメリカン-ブラック-ウォールナットで象嵌風にしました。ただしそれだけでは上下を重ねたときに地震等で簡単にずれてしまい危険なので、下になるほうの箪笥の天板に、径12mmの棚受用の金属ダボを4カ所埋め込みました。不要なときは簡単に手回しで取り外しできます。

 

dscn8402_2

 

dscn8410_2

 

dscn8406_2