桐箪笥の再生

 

製造してからおそらく80年くらいは経っていると思われる桐箪笥2棹をリニューアルしました。当初はもとのように砥の粉塗布+うづくり仕上げのつもりでいたのですが、実際作業をはじめてみると予想以上に痛みがはげしく、大小の傷が無数といっていいほど。汚れも表面だけでなくかなり内部まで染みになってしまっているところがいくつかあり、板の割れも数カ所ありました。

そこで途中で方針を変えて、ウレタンの半艶塗装で仕上げることにしました。着色はしていないのですが、透明な塗装を4回施しただけで、まるでケヤキの箪笥のような色合いと雰囲気になりました。下の写真ではわからない小さな傷や染みはありますが、それも長年使い込んだ感じの味と化しています。

お客さんの意向としても今後かならずしも和服等の収納として使われることでもないようでしたので、こうしてしっかり塗装してしまえば納戸ではなく居間などの表に出して使っても大丈夫です。手あかがつく心配もありません。とくに3段重ねのものは中段を抜いてしまえば高さ105cmになるので、畳の茶の間に置いて使っても圧迫感はないでしょう。

あと今回の大きな変更としては、段重ね用の側面の連結金具を廃したことです。二人がかりでよほど注意して重ねたり外したりしない限り、その金具のでっぱりで箪笥本体が傷だらけになってしまいます。今回の箪笥の場合も金具は潰れたり切れたりしており、再生はとうてい不可能な状態。仮に新しい金具に交換しても同様の問題が起こる可能性は大きいでしょう。ということで、金具のあった位置は全面掘り込んでアメリカン-ブラック-ウォールナットで象嵌風にしました。ただしそれだけでは上下を重ねたときに地震等で簡単にずれてしまい危険なので、下になるほうの箪笥の天板に、径12mmの棚受用の金属ダボを4カ所埋め込みました。不要なときは簡単に手回しで取り外しできます。

 

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