鳥海山の南西面標高240mのところにある胴腹ノ滝ですが、渓畔の裸地化が急速にすすんでいることを9月15日の記事でお伝えしましたが、その対策のひとつとしてつい先日(6・7日)注意をうながす立て札・看板を設置しました。もちろん所有&管理者である宮司さんとの協議と了解を得てのことです。
「自然をだいじにしましょう」といった一般的で抽象的な看板を大きくかかげても、みながそれを見るとはかぎりませんし、だいじにするといってもいったい何が問題でそれに対してどうすればいいのかよくわかりません。また「立ち入り禁止」といった文言の看板では雰囲気が損なわれますし、やはり何が問題なのかがいまひとつ分かりません。もっと具体的で実効性がある看板が必要でしょう。
本来の歩道から外れた踏み跡が、はっきりしているものだけで3カ所はあるので、その踏み跡の”入口”のところに「苔むした渓流の景観を保護するため、これより先に入らないようお願いします」という文言の立て札および標識を計3箇所設置しました。ベイヒバでこしらえた板は大きさ13×32cmの大きさで、文字は油性マーカーで2回なぞっただけのものですが、踏み跡の真ん前に設けたので何が問題でどうしてほしいのかということを即座に理解していただけると思います。ただし撮影や見物の邪魔にならないように高さは地面から50cmほどの高さに抑えてあります。杭もやはりベイヒバで、その杭が地面が硬くて打てないところは樹の幹にシュロ縄でくくりつけています(針金や釘は樹を痛めるので厳禁)。同様な素材と作りの道標を他のところに設置したことがありますが、おそらく3〜5年程度は保つと思います。
設置しているときに、ちょうど水汲みに来た人や滝の撮影に来た人がいましたが、何をなんのためにやっているのか説明するとみなさん賛意を示してくれました。吹浦地区の丸池様の場合も同様ですが、きちんとていねいに説明すれば、裸地化対策のための看板やロープ等の設置に反対する人はいません。少なくとも私は現地でそういう人に出会ったことはありません。むろんそういったものがなくても大丈夫ならそれにこしたことはありませんし、景観上もいいのは言うまでもありませんが、残念ながらもはやそういう状況ではありません。胴腹ノ滝も丸池様もきれいだなと思うからこそ撮影等に訪れる人が多いわけですが、なんら対策なしのままでは肝心の被写体が損なわれてしまいます。それでは元も子もありません。
(※ 設置にあたりましてはIさんからも手伝っていただきました。あらためてお礼申し上げます。)