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裁縫板材料検分

先日12月22日に記事にしたカヤの木の裁縫板ですが、一昨日ばらして材料の検分をしました。幅30cmくらいの板を2枚、裏側5カ所でボルトを半ば埋め込む形で接合してあるのですが、表のほうはその接合箇所を中心に何カ所か、節穴等の目隠しを兼ねたチギリ様の埋木もしてあります。

甲板の接合には接着剤も併用していますが、これはニカワ(膠)ですね。強く叩くと木地はさして傷つくことなく接合面ではがれてしまいました。現在の接着剤に比べるとやはり強度はだいぶ落ちると思います。ボルトはおそらく戦時中の物資不足の中でなにかの転用らしく、軸径も7〜7.5mmと不揃いで、ナットも厚みや外径が同じではありません。ワッシャーは板金を四角く切り出したようで、これも正確な長方形ではないです。

最初は、ボルトやナットにはかなりサビが浮いていたのでうまくナットを回せるかどうか危ぶんだのですが、潤滑油を浸透させたり、片方のナットが外れたボルトを、モンキーレンチでつかめるようにディスクグラインダーですこし軸面を平らに削ったりしてなんとか外せました。

裁縫板の下方にはすり脚と道具入れの箱が左右に付いていたのですが、再利用できるような材料・作りではなかったので、ばりばりと壊して取ってしまいました。左上に積んである残骸がそれです。また後方中央に立てかけてあるケヤキの板は、Tさんが同時に持参されたもうひとつのほうの裁縫板の甲板で、これもこんどカヤ主体で製作する家具の一部に再利用する予定です。

これらの材料で家具を作るのは2〜3か月ほど先の予定ですが、新材で作るのと違って古材は不確定・不明な要素が強いので、とりあえず先行して材料の検分をしたということです。これをやっておかないとはっきりした見通しが立ちません。

 

12/21の胴腹ノ滝

旧八幡町にある工房では19日に除雪機が今冬初出動しました。写真はその2日後の21日朝の胴腹ノ滝の写真ですが、こちらもだんだん雪が積もってきて、積雪はおよそ15cmくらいあります。水量は明らかに落ちてきました。湧水温は右・左ともに8.6℃で、前回12月10日と変わりません。気温は滝の手前の社の正面、地上高約1mでマイナス2.0℃です。湧水とは10℃以上も違うので、温度を計ったりペットボトルで水を汲んでいる際もたいへん温かく感じます。

道路の除雪は滝の入口のもうすこし先のカーブのところまで除雪車が行ってくれているので、水汲みをする場合も問題なくアプローチできるのですが、やはり雪が積もりはじめると来訪者がとたんに減ります。春から秋の他の季節もいいのですが、冬は冬で雪景色の中を黒々と流れる湧水の滝と渓流、鮮やかな緑の苔、そしてある意味では常識はずれの「温かい湧水」を体感できるなど、とても魅力的なんですけどね。大勢の人による喧噪もないので、静かに自然を楽しみたい方には断然おすすめです。滝を眺めながらコーヒー・紅茶など湧かして飲むのもいいんじゃないでしょうか。

あ、それから車は必ずカーブのところで方向転換して、下り方向に左側いっぱいに寄せて停めてください。たまに右側とか、道路の両側に停めている人がいますが、それでは他の人の大迷惑になります。カーブの所も安全に方向転換できるように駐車はしないようにしましょう。

 

裁縫板

遊佐町のTさんが先日、古い裁縫板を2台工房に持ってこられました。亡くなったお母様が長年裁縫台として使われていたものだそうで、1台は甲板がカヤの木のバール(瘤様の杢の出た材料)2枚はぎという非常に珍しいものです。下の写真がそれです。サイズは1810/623/270mmといったところ。もう1台はすこし小ぶりのケヤキの一枚板のものです。

手持ちの材料や古い家具を持参されて、「これで何か作れませんか?」と打診されることがときどきあります。今回もそのケースなわけですが、一般論的にいえば保管状態がよほどいいものであるとか、めったにないような貴重な材料である、寸法もわりあい大きめ、といったものでないと、それで何かの家具をあらたに製作することは難しい場合が多いです。反りや捻れがある、虫食いや腐りや割れがある、釘や金物・砂礫などの異物をかんでいる、乾燥が足りない、ホゾ穴や溝などが多数あり再利用するには量的に足りない、などといった理由からです。

それから別の理由もあります。畳一枚分もあるような大きな一枚板であるとか、先日も書いた黒柿や極上の杢板といった高級な材料であればまた話は異なりますが、注文家具の場合ふつうは値段の3割前後が材料代です。30万なら10万くらいが材料費。つまり7割または20万は材料代以外の加工賃と諸経費ということになります。したがってお客様が材料を持ち込まれても大幅に安くできるわけではありません。それどころか古材利用・転用はまっさらな材料から家具を製作するよりもよけいに手間がかかることがしばしばで、浮いたはずの材料費以上の手間賃がかかることさえあります。

以上のことを詳しくお伝えし理解していただいたうえで、それでもというときは喜んで作らせていただきます。今回Tさんは「母親の形見として残したい」とのご意向でした。どういうものができそうか、何に仕立てたらこの材料がいちばん生きるかをTさんとお話し、さっそく図面と概算見積を書くことになりました。

 

ソフトブロックの大怪獣 2

わが家の5歳児のたっての願いで、ソフトブロックで作った怪獣の第2弾を披露します。できあいの完成形の玩具とちがって、こういうブロックは遊ぶ側の能動的な創意工夫の余地があっていいですね。いまではブロック(ハード、ソフト、フラットピースのものなど4種類うちにあります)でモノを作ることについては私はとてもかないません(←親ばか)。

 

西原天気句集『けむり』

 

西原天気さんから句集をいただきました。和綴じふうの製本ですが、洋紙のファンシーペーパーを表紙と本文にフルに用い、タイトルと著者名(俳号)がローマ字表記という句集らしからぬ装丁の本です。句集というと一般的に、いかにもというかいまさら?というような時代錯誤あるいは無粋な装丁が多いのですが、これはなかなかにしゃれています。

西原天気さんは1955年兵庫県生まれで、現在東京に住まわれていますが、1977年に「月天」句会で俳句を始められたとのこと。「麦の会」「豆の木」を経て、2007年4月からはウェブマガジン「週間俳句」を運営されています。「週間俳句」はインターネットできっちりと俳句作品や俳句評論を展開するという先鋭的な試みで、読者もかなり多いと思います。

今回の句集は実質的に氏の第一句集といっていいようですが、14年にわたる句作を選抜編集したもの。編年体ではなく、「切手の鳥」「マンホール」「だまし絵」「名前のない日」という4つのパートに分けて納められています。題名の『けむり』にふさわしく、伝統的な俳句のがちがちの約束事からも、また「反伝統的」なこだわりからも自由な、一見するとたいそう軽い味わいの句が多い。しかしそれは見かけだけであって、よく読めばどの言葉もきりきりと選び取られ練られていることが分かります。

私は最近ほとんど俳句を作っていませんが、天気さんの句にはいたく共感するところがあります。むろん私の句の傾向とは異なる面もいろいろあって、ときに反発を覚えることもあるのですが、それもまた天気さんの句の重力というものでしょう。

なにはともあれ、帯に掲げられた10句をみなさんも味わってみてください。

 

日向川白濁

先週の金曜日9日くらいから気になっていたのですが、日向川本流がかなり濁っています。すでに10日くらい経っていますが、いっこうに収まる気配がありません。

最初は冬期間によくある土木工事のせいかと思ったのですが、それならもっと黄土色〜茶色の水なはずですし、濃度も日時によってかなり変化するはずです。結局現時点(12月18日朝現在)で分かったのは、日向川本流の山間部上流にあたる鹿ノ俣川流域で地面の崩壊があり、何かが沢に流出しているらしいということです。標高800m付近にある鶴間池近くの崖が崩壊しているという話もありますが、また聞きですし、真偽を確認できていません。

きのう昼過ぎに、日向川沿いでもっとも上流に位置する升田・貝沢集落まで足を運び、かいざわ橋で写真を撮ってきました。上が上流方向、下が下流方向です。たしかにお風呂にバスクリンを溶かしたような色合いの白濁した流れで、なんとも異様な光景です。断言はできませんが、土砂の流入ではなく火山性の物質(硫化物など)が流れ込んでいるのかもしれません。下流の尻地・六ツ新田ではすでにサケの遡上が途絶えてしまったそうですし、アユやカジカといった他の魚も壊滅的打撃を受けている可能性があります。

もしほんとうに鶴間池か、さらにもっと上流部で崖または山体の崩壊があり、なにかが流れ出しているとすれば現地に行って確認したいところですが、すでに滝ノ小屋への道路は完全に雪に埋もれてしまっています。行くとすれば標高500mほどの大台野の集落から長時間の雪上歩行を余儀なくされるでしょう。さて、どうするか。

 

 

ブロックの大怪獣

わが家の5歳児がソフトブロックを総動員してこしらえた怪獣です。幅は50センチくらいあります。彼の説明によれば羽を広げた多頭の大怪獣だそうです。「絶対こわさないでね!」と言いおいて寝てしまったので、この怪獣を居間の座卓の上にそっと置き、ちょっと暗めの灯りにして撮影してみました。

 

紙箱

長野県の方からフォトスタンドBタイプを2台ご注文いただきました。さっそく宅配便にて発送したのですが、いつものようにクリーム色の薄手の包装紙で包み黄緑色の化粧紙を貼った紙箱に梱包しました。3mm厚のガラスはやや厚手の上質紙に包み「ガラスです。ご注意ください。」という注意書きのシールを貼っています。

黄緑色の紙は、繊維の絡み具合が分かるようなやや粗目の和紙風のもので、植物染料で色を出しているものです。いわゆる草木染ですね(製紙メーカーの特殊紙ですが、会社名や型番は失念)。それを白ボール紙に膠(にかわ)で張りこんでいます。サイズは収納する小物類の大きさ形状に合わせたもので、むろんすべて紙工店への特注品です。サイズAのものを10個、Bのものを15個Cは5個だけといった案配なので、手間ばかりかかって儲けはなさそうな仕事です。

この仕様の化粧箱は工房を開設した26年前から一貫して使用しているものです。ほぼこの1種類だけ。黄緑色の上紙はそれほど一般的汎用的とはいえないこともあり、全紙500枚くらいの一包みで購入し、それを紙工店にあずけて貼ってもらっています。種類を増やすとコスト的にかなり高くなってしまうことと、すでにこの仕様の化粧箱は当工房のトレードマークと化しているふしもあるので、おそらく今後もずっとこれでいくことになると思います。

※フォトスタンドBタイプについては2011年7月13日の記事を参照してください。価格は税込3800円。在庫は数個あります。

 

特別栽培米 その2

 

鳥海山麓齋藤農場(齋藤武さん代表)よりまた工房での昼食用に特別栽培米を仕入れました。前回10/24はコシヒカリとササニシキでしたが、今回は「さわのはな」と「ミルキークイーン」です。

ミルキークイーンはスーパーマーケットや産直販売所などでもよく見かける品種ですが、「さわのはな」はあまり見かけませんね。私自身も、10月上旬に岩手県大槌町の子どもたちが遊佐町を訪れいっしょに芋煮を作ったときに炊いた米のひとつが「さわのはな」で、それで初めて遭遇しました。もしかしたらずっと昔食べたことがあったのかもしれませんが記憶にありません。

「さわのはな」はじつは幻の米といわれている品種です。約50年前に山形県尾花沢で誕生し、県の奨励品種となってから1965年くらいまでは作付面積も順調に拡大したものの、機械化に向かないとか収量があがらないなど、米の増産拡大の時代要請には適合せず、しだいに減少。しかしササニシキ系の粘りが弱く淡白ながら食味にすぐれていることから、一部農家が自家用米などとして栽培しつづけてきたそうです。齋藤武さんは「このあたりで栽培しているのは自分とこだけかな」と話されていました。

さっそく炊飯器で炊いて食べてみましたが、なるほどササニシキに似た感じの米ですね。おいしいです。あっさりした味わいで、ごちそうをひきたててくれそうです。自己主張をおさえ脇役に徹するというスタンスでしょうか。

次いでミルキークイーンも食べてみましたが、こちらはコシヒカリ系の粘りが多いもっちりした味です。冷めてもおいしいということで市販のおにぎりなどにもよく用いられているといいます。濃いめの味付けの料理に慣れてしまった現代人の味覚によく合っているのでしょう。炊き方によっては粘りが出過ぎて、餅米を思わせる味わいになります。少量の米を、それ自体を味わいつつ食べるのに向いているかもしれません。

さてこれで「ササニシキ」「さわのはな」「コシヒカリ」「ミルキークイーン」と4つの品種を食べてみたわけですが、どうも私の舌には子ども時代に親しんだササニシキがいちばん合っているみたいです。同じ米でも炊き方によってそうとう味はちがってくるので、もうすこしいろいろ試してみて、わが工房の昼食のメイン品種を決めたいと思います。

 

12/10の胴腹ノ滝

 

 

12月8日夜から10日朝にかけて平野部にも積雪がありました。これまでにも一時的にうっすらと地面が白くなったことはありましたが、本格的に平地に雪が積もったのは今回が初めてだと思います。除雪車も出動しました。積雪の量は5〜6cmほどで、気温はまだ0℃以上と高いのでかなりの濡れ雪です。

14日現在ほとんど消えてしまったのですが、写真は10日の正午すこし前の胴腹ノ滝のようすです。岩の天辺のほうは白くても、湧水の流れに近い部分はみな雪が消えているのがよく分かります。湧水はそれだけ今は相対的に温かいということです。温度の測定や飲料用に汲んでいても水がとても温かいので助かります。こごえそうな手指を逆に湧水にひたして暖める、という行為がこれからは普通になりそうです。

胴腹ノ滝の右・左ともに8.6℃でした。気温は0.7℃です。前回11/29が右8.8℃、左8.7℃でしたから、湧水温度は下がってきました。水量もすこしですが落ちてきています。滝の温度が左右ともに8.6℃というのは6月16日以来のこと。今年計った中では最高温は9.1℃でしたから、0.5℃の温度差があることになります。鳥海山中の湧泉では比較的温度差があるほうですね。