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タキツス・ベルラ

 

工房の事務所の窓に、多肉植物とサボテンの鉢植を十数個並べていますが、今年もそのうちのいくつかが花を咲かせました。写真はベンケイソウ科タキツス属のベルラ(Tactus bella)という多肉植物で、緋色のすこし派手目の花が10個ほど開花しています。花の大きさは径25mmほど。夕方、西日の射す室内で蛍光灯下という最悪の状態で撮影したので、色合いがすこしへんですが、園芸品種にはない凄みを感じます。

水やりは4月末から10月末までの間に8〜10回程度(平均すると20日に1回!)やるだけで、長年植え替えもせずに半ばほったらかしにしているのですが、それに負けることもなく鉢からはみだすほど頭数が増え、花も毎年開いています。多肉植物はもともと極度に乾燥した過酷な環境で生きている植物なので、あまり世話をやきすぎないほうが逆にいいのかもしれません。

 

間取り

新築予定の自宅ですが、その間取りについて説明します。図面は私が基本設計として作製したもので、建築確認申請用の正式な図面ではありませんが、全体の大きさや各部屋のレイアウトなどの大きな変更はもうないはずです。

床面積100m^2=30坪の平屋ですが、これにLDKと家族3人のそれぞれの部屋、風呂、トイレ、洗面脱衣室、乾燥室(予備室)、納戸、物置を納めなければなりません。建物全体が細長くて凹凸のない長方形なのは採光や通風、構造的強度、コストなどを考慮してのことです。

 

玄関は建物本体の南側外壁の一部にぽっこり穴をあけた形になっており、その空間の左側が入口のドアです。建具は他は内外ともすべて引き戸にしていますが、この玄関戸だけは引き込みのスペースを取れないなどの関係で唯一ドアになっています。ただし住宅の玄関ドアによくあるような装飾的なものものしいドアではなく、店舗用の四方枠だけのいちばんシンプルなドアの予定です。玄関内部は2.2畳くらいの大きさで、建物全体がコンパクトなわりには普通の広さがあります。実用上の必要最低限の大きさにすれば、そのぶん居室は広くできますが、建物に足を踏み入れて最初の空間があまり窮屈なのはやはり心地いいとはいえないでしょうから。

ドアを開けた右側の壁面に下駄箱がありますが、これは壁に吊るトールタイプのもので、取手などの凹凸もいっさいないもの(既製品)。ドアを開けて左側には幅20cm程度の無垢材の棚板を一枚造り付ける予定です。小物類を飾ったり、外出の際の一時物置きに使います。この玄関には窓はありませんが、ドアとリビングとのしきりの引き戸はいずれもガラス面を大きく取るので、それを通して光はじゅうぶん回ってきます。ドアを開けた正面の壁は2畳半ほどの面積のなにもない平らな壁になるので、ここには絵や版画・タピストリーなどを飾る予定です。

LDKは約16畳の大きさですが、キッチン部分は4畳余で、居間部分とはハッチ式戸棚で仕切ります。この戸棚は高さは2000mmですが、幅は3500mmくらいあります。もちろん既製品でこれだけ大きなサイズのハッチ式戸棚はないので、自作します。収納部分はキッチン側で、ほぼ全体に食器類や食品類を入れることになるでしょう。キッチンはシステムキッチンを導入しますが、奥行650mm、高さ850mm、幅2550mmまたは2700mmの予定です。上に吊戸棚とレンジフードが付きますが、コンロはいま流行のIHではなくガスコンロです。IHは便利にはちがいないのですが、電磁波の悪影響の心配をやはり完全には払拭できないからです。冷蔵庫はコンロとの間に耐火壁を設けて仕切りますが、シンクの左の空いた部分は、そのスペースに合わせた小テーブルを制作し、電子レンジや炊飯器などを置きます。シンクと吊戸棚との上下の間隔は650mmくらいあるので、ここは窓にして採光と通風をはかります。横長の窓が正面にあることで、開放感もすこしうまれると思います。

リビングのスペースは12畳くらいと、特別広いわけでもないので、いろいろな家具を置くスペースがありません。そこで長さ2700または3000mmの特大のテーブルを置いて、食事・団らん・軽作業や読み書き、接客など、ぜんぶをこれ1台で担います。家族は3人なので、常識的にいえばテーブルは1500mmもあればふつうは間に合うのですが、この大テーブルは実用的意味をこえた、この家のシンボリックな存在となるでしょう。ちょっとした収納やAVボードなどは、南側の壁面の一部が凹んでいるのでここに納めます。上部の凹部には予備のエアコンを設置するかもしれません。あとは北側に電話台を兼ねた小さめの戸棚、それにアップライトのピアノを置くことになると思います。

水回りはすべて建物の東側に集中させています。使い勝手と工事費の関係からです。お風呂はユニットバスで、TOTOのいちばんシンプルな1坪タイプのもの。トイレは1.6畳くらいのやや広めで、ちゃんとした手洗器とカウンター、収納、鏡などがあります。風呂や洗面脱衣室を誰かが使用中でもこちらでほぼ用が足りるようにする意味もあります。便器はウォッシュレットや蓋の自動開閉もなにも付いていない、タンクレスですらないいちばん簡易なものです。洗面脱衣室とトイレの窓は風呂の窓と上下のラインをそろえます。むろんガラスは不透明のものです。一般的にトイレなどはごく小さな最低限の窓にしてしまうことが多いようですが、その必要はありませんよね。

トイレの左側に乾燥室がありますが、これは四角い平屋の建物のためにバルコニーだのベランダだのを設けることが難しいので、この部屋で寝具や洗濯した衣類などを干すためのものです。室内飼いの猫が2匹いることもあって外部建具を開放することは原則的にありませんが、この乾燥室だけは窓は床までの掃き出し窓になっています。洗濯物の乾燥時などは、天気がよければ吐き出し窓を開け、廊下側の3枚引き戸をロックして使います。またこの部屋は急な泊まり客があった場合の予備の寝室にもなる予定です。

寝室は3つありますが、家族3人のそれぞれの個室です。大きさも仕様もまったく同じで、6.7畳くらい、一辺3.3mの正方形の部屋です。南側の壁は全面造り付けの本棚、東側は主に衣類を収納するクローゼット。残る床面に机と椅子とベッドを配すると、あとはあまり余分がありません。現状での持ち物などを考えると、引っ越しの際にできるだけ処分するとしても、やはりこのままでは収納部分が足りないでしょう。そこで各部屋の天井の1/3に穴をあけるような形でロフトを設けます。個人の持ち物で季節品やたまにしか使わないものはここに上げておきます。広さは2畳分です。

個人のものではない共用の季節品・保管品などは北東の角に2畳の納戸、南東の角に3畳の物置を設けています。いずれも最低限の大きさという感じですが、棚板などをうまく設置すればまあなんとか収まるでしょう。物置はコンクリートの土間で、勝手口から土足のままで中に入ることができます。自転車・冬タイヤ・園芸用品などを入れます。またこの物置からはキッチンへそのまま出入りができるようになっており、キッチンからはまたリビングを横切ることなくトイレや洗面脱衣室、自分の部屋に行くことができるように動線を考えています。

廊下は長さ10mあります。右側に洗面脱衣室・風呂・トイレ・乾燥室などがあり、左側に寝室(個室)が3部屋連なっています。それぞれの部屋の入口引き戸は半透過のガラスを広く使うので、廊下にそれから光は来ますが、突き当たりにもはめ殺しの窓を大きく設けて閉鎖した感じがなくなるようにしています。幅も通常より若干広めの有効寸法で850mmです。

 

新型キャラバン

私がいま乗っている車はニッサンのバネットのハイルーフ・4WDで、1BOXの商用車(バン)としてはハイエースやキャラバンなどに比べ一回り小さい車です。仕事用の車と私用の車を使い分けるなどという金銭的余裕はないので、このバネットで買物でも納品でもなんでも出かけるのですが、全長は約4.3mと普通乗用車と変わらないので取り回しは楽で、道幅や駐車に苦労するようなことはありません。

ただ荷室の大きさは最大で長さ2260mm、幅1480mmしかなく、その上壁面上部がへんに丸みを帯びていることやタイヤハウスの出っ張りがあるので、有効寸法は思ったほど大きくはありません。通常の家具であれば、例えば長さ2m弱のテーブルや普通サイズの戸棚などは積めますが、木材関係となるとたいてい長さ2.2〜4mくらいが多いので、バネットはほとんど役にたちません。

さて新型キャラバンです。トヨタのハイエースと日産のキャラバンは車格としては同格でありライバル同士なのですが、旧キャラバンはデザイン的にも荷室の使い勝手からいってもハイエースにかなり負けています。実際の売れ行きもハイエースに大きく水をあけられているようです。ハイエースは仕事車としてだけでなくプライベートで乗っても「さま」になるのですが、旧キャラバンはプライベートで乗るにはあまり似合わない、かっこよくないと感じます。見た目にちょっと古くさいもっさりしたデザイン。「このままではいかん」と日産は奮起したのでしょう、最近発売になった新型キャラバンは印象ががらりと変わりましたね。ハイエースのように荷室も無駄の少ない箱形だし、フロントマスクや運転席などもあまり商用車っぽくありません。

たぶんこんどのキャラバンは売れると思います。ハイエースをそうとう程度に追撃するでしょう。しかし私は個人的にはまだまだ不満があります。それは仕事車としては依然として中途半端だと感じるからです。荷物を積むことを考えたら荷室の側壁や後壁は完全に垂直であるべきです。また荷物を固定するフックやレールなどはぜんぜん足りません。申し訳程度にそれらの仕掛を付けるのではなく、ほとんどあらゆる職種に対して後からの改造なしで間に合うくらいの仕掛を標準で備えるべきでしょう。

なにしろ本分は仕事車ですから、これでもかというくらいに仕事車に徹したほうが逆にかっこいいのです。高性能の本職用の手道具や機械がそうであるように、本物の道具はアマチュアが手にしてもそれなりにかっこよく見えるし持ち主の心をいたくくすぐるところがあります。新型キャラバンはどうせならそこを目指すべきでしたね。(※写真はインターネット上のカタログ?から拝借しました)

 

 

7/4の胴腹ノ滝、他

 

7月4日の胴腹ノ滝ですが、水量はやはりいくらかづつ減ってきています。水温は右・左とも8.8℃(気温21.3℃)。前回の6月26日は左右とも8.6℃でしたから、またすこし上がってきました。水量の増減と水温の高低は比例しませんね。

さてタイトルに「〜、他」とあるのは、地元の小学校5年生の総合学習・自然教室の一環で、翌日7月5日に高瀬峡を訪ねたからです。朝方から午前9時頃までは大雨と雷で心配していたのですが、低気圧の前線が通過し雨もだんだん弱くなってきたので10時には出かけることにしました。

山ノ神から高瀬峡遊歩道にしたがってカラ沢の大滝が見える地点まで行ったのですが、沢はピークを過ぎたとはいえかなりの増水で、もちろん蔭ノ滝と大滝は危険なので遠くから眺めるだけにしました。それでもふだんは大岩にそってわりあい静かに滑るように落ちている滝やまっすぐ下に細く落ちている滝が、あまりにも水量と水勢が激しいために滝壺をとびこえて斜めにごうごうと落ちている様子は迫力満点です(防水のカメラは持っていないので残念ながら撮影はできませんでしたが)。高瀬峡遊歩道にある二つの吊橋はしっかりした作りで長さもあまりないので、大雨が降って沢が増水しても行った先から元にもどれなくなる心配はありません。またコースの全体が高木におおわれているので雷の直撃のおそれはないでしょう。

小学校の行事などが典型的ですが、すこし雨が降っただけで中止してしまうことが珍しくありません。しかし自然は人間の都合におかまいなしに変化するわけで、おだやかできれいな場合も荒れ狂っておそろしい場合もあります。どちらも自然本来の姿です。ですから自然をよく知り万一の場合にもしかるべき対応ができるようにするには、他人の話や映像だけでなく、実際に自分が、雨とか雪とか風とかおだやかとはいえない自然も体験しておかなければならないと思います。

山で絶対に遭難しないようにするのにいちばんいい方法は、山に登らないことです。でもそれでは山の素晴らしさも怖さも永遠に理解することはないでしょう。もちろん自然のなかに出かけてそれで大怪我や大病や死亡などということがあってはなりませんので、コースの選定や事前の準備、天気天候の推移、沢や道の変化、参加メンバーやリーダーの知識経験の程度などは厳重にチェックしなければなりません。

こどもたちの感想をきくと「怖かった」という声もいくつかありました。それはそうですね。荒れ狂う渓流や滝を目の当たりにしたのは、大部分のこどもたちには初めてだったかもしれません。ほとんど雨がやんだ時点とはいえまったくの野外で弁当を広げて食べたことも。それらは得難い貴重な体験だったでしょう。

 

海岸清掃

先日の日曜日は子どもといっしょに「コスモアースコンシャス アクト クリーン・キャンペーン in 湯野浜」なるイベントに参加してきました。これはコスモ石油の環境活動の一環で、一般の人たちとともにみんなで楽しみながら海岸や湖沼沿岸・公園などの清掃活動をしようというものです。富士山の清掃活動などはあの野口健さんが旗印になっていて、彼の東京電力、原発との絡みなどいろいろ疑問もあるのですが、それはさておいて、まあ休みの日の子守りがてらということで鶴岡市湯野浜海岸のゴミ拾いに参加してみました。

1時間半ほどの清掃活動でしたが、参加者は440名ほど。湯野浜の広大な砂浜=海水浴のエリアが少なくとも表面的にはたいへんきれいになりました。12年目だそうですがスタッフ(コスモ石油の関係者その他?)の手際はけっしていいとはいえず、私としては気になる面が多々あったのですが、まあそれもさておくとしましょう。

そのあとはお昼の前後にかけて月山の麓のブルーベリー農園に大型バス8台で移動して、30分ほどブルーベリーを摘んで食べてきました。写真はその農園の展望台から眺めた鳥海山、鶴岡市の街並、そして月山です。

 

 

 

高瀬峡の下見

7月5日に地元の小学校5年生の生徒たちと、鳥海山南西側の高瀬峡でフィールドワーク(鳥海山の湧水)を行うので、数日前にその下見に行ってきました。通い慣れた場所とはいえ、自然の野山は刻々と変化するので、とくに他者を案内する場合は事前の現地踏査(下見)が欠かせません。

藤井公民館のところから林道に入り、2.2kmすすむと終点の山ノ神です。ここに車を置いて、高瀬峡遊歩道を最後の大滝まで。そのあと一端山ノ神近くまで引き返してから、長坂道に歩を転じてヒノソの徒渉点まで行きました。他にハイカーや登山者の姿はほとんどなく、汗ばむ陽気ながらもすこし風はあったので快適な一時を楽しむことができました。

写真は全部で7枚ですが順に、蔭ノ滝、剣龍ノ滝(湧水)、サワグルミの大木、大滝(上半分)、出水で大岩や樹々が積み上げられた大滝滝壺の回り、長坂道のヒノソ徒渉点やや下流のヒノソの光景、岩をかむヒノソの奔流。

 

 

 

 

 

 

 

きき水

 

数日前、地元の小学校で5年生の生徒に特別授業を2校時行いました。昨年と同様にメインテーマは「鳥海山の湧水」です。前半は鳥海山そのものの概要、後半は鳥海山の湧泉と湧水について。

その湧水の部では、あらかじめ汲んでおき冷蔵庫で同一の温度にそろえた鳥海山麓の3箇所の湧水を、生徒たちを対象に「きき水」のブラインドテストを実施しました。2リットルのペットボトルに記した1から3までの湧水を、各自が同じく1から3まで記した紙コップに入れ、水をじっくり味わいます。どれがどこの水かは私しか知りません。先入観を避けるためです。そして3つの湧水のうちでいちばんおいしいと思うものに二つ丸、次においしいと思うものに丸、いまいちと思うものに三角の印を付け、集計を取りました。それが上の写真です。集計を取るときにはじめて場所を明かしたのですが、採水地の1は落伏集落の永泉寺前の水、2は高瀬峡遊歩道入口の山ノ神の水飲場のところの水、3は三ツ俣集落の「さんゆう」のところの水です。

3つの湧水は同じ鳥海山の湧水のなかでも比較的差異があるものです。浸透し通過してくる地層などが異なるためと考えられます。これまでも小学生や高校生、大人を対象に同様のきき水テストを行ってきましたが、おいしいかどうかはともかく味が微妙に異なることだけは、だいたいの人がはっきり感じとることができるようです。味の好みは人それぞれで、どれが正しいとかという類いのものではありませんが、傾向としてはミネラル分が少ない軟水ほどおいしいと感じる人が多くなる傾向があります。

ところが今回は私の事前の予想に反し、また従来の傾向とも違う結果が出ました。従来はいまいち感が強かった三ツ俣の水がダントツの一番人気です。逆にこれまではほとんど一番だった山ノ神の水に三角印を付けた人がもっとも多く、全体的にみても最低人気です。これは私にはけっこう衝撃的な結果です。私の予想では「一番人気が山ノ神で、落伏と三ツ俣はほぼ横並び」だったのですが、ぜんぜん違いましたね。もっとも他と比べあきらかにまずいというほどの大きな違いはないので、仮に二つ丸が3点、丸が2点、三角が1点とすると、三ツ俣は計62点、落伏が45点、山ノ神が38または39点(投票数小計が23なのでたぶん三角印が数えまちがい)となります。

母数が24とわずかなので、これだけではなんとも言えないのですが、もしかすると昨年3月11日の大地震とその後の無数の余震によって鳥海山の地殻も揺さぶられて、その影響で地下水の水質が変化しているのかもしれません。今回の3つの湧水は、水系としては月光川水系の水ですが、水源のおよそ半分くらいを鳥海山とするとなりの日向川は、昨年12月以来ずっと本流が白濁したままです。断言はできませんが、どうも日向川には火山性の物質が漏出しているようなのです。

6/26の胴腹ノ滝

先週はすこし雨が降ったせいかもしれませんが、6月26日朝の胴腹ノ滝は、水量も前回6月17日より若干増えています。水温は右・左ともに8.6℃でした。気温は18.1℃です。車道すぐそばの駐車場工事もいま急ピッチですすめられています。ダンプ等の大きな車の出入りがあるので、工事が終わる予定の今月末まで水汲みなども避けたほうがいいかもしれません。

日中はけっこう気温が上がり平地で27℃になりました。暑いです。そこで胴腹ノ滝の写真もアップとスローシャッターで涼しくしてみました。1枚目が向かって右側の胴腹ノ滝で0.36秒、2枚目が向かって左の滝で0.16秒です。流速にもとうぜん左右されるのですが、だいたい1/8〜1/4秒(0.125〜0.25秒)よりも遅い速度で撮影すると、渓流や滝の流れは連続した一本の線または面状に写るようですね。

 

 

ユキノシタ

湧水や井戸水がとうとうと流れているような、やや日陰の湿った場所にはいまユキノシタの花が満開です。ユキノシタはユキノシタ科ユキノシタ属で、この仲間ではふつうにみられる代表的な植物ということでしょう(Saxifraga stolonifera)。

写真はいづれも鳥海山麓の平地の湧泉直近の流れのそばに咲いているユキノシタですが、清冽な流れに白い花弁が群開している光景はたいそう美しいと思います。生えているようすからすると人為的に植えたものものではなく、もともと自生していたものをその葉や花のよさを愛でて大事に保護してきたものでしょうね。近縁種には山間の渓流のそばに生えるダイモンジソウがありますが、ユキノシタにくらべると花も小さく数も少なくこれほどは群生しないので、印象はずいぶん異なります。ユキノシタは花茎20〜50cm、花弁の上3枚は長さ3〜4mm、下2枚は15〜20mmほどもあります。根元から匍匐枝を出して繁殖。

ユキノシタとはかわった名前ですが、漢字では「雪の下」または「雪の舌」と表記します。前者は、腎円形の葉に葉脈に沿って雪をかぶったように白っぽいところがある、または常緑の多年草なので雪が降ってもその下に緑の葉があるところから。後者は、5弁ある花びらの下方2枚がとくに白く大きく目立つことから「雪の舌」だという説です。さらに虎耳草とも書き、腫れ物の消炎等の民間薬として用いられたそうです。

 

 

蠅虎

机で調べものをしていたらなにやら小さな生き物が動いています。ハエトリグモの仲間のようですが、体長4mmくらいの大きさながら、よく見るとなかなかどうして精悍です。

8本ある脚の前2本はもっぱら餌を捕獲するのに用いているようで、カニの前脚のように太くて長く刺も生えています。カマキリの鎌に似ています。それを半ば中空に持ち上げながら、威嚇するようなかっこうでつっつっとすばやく移動しています。小さい上にせわしなく動き回るので撮影はうまいきませんでしたが、まあどんなやつかはだいたい分かるかと思います。単眼が8つあるのですが、前方正面にある4つは大きく、それでしっかと見張っていますねぇ。

この種のクモは網を張らず、地面を歩き回って獲物を発見するとひそかに近づき、最後は一気にとびかかります。ハエトリグモは漢字で蠅虎とも書きます。発音の当て字か、獲物を狩るようすが猛獣のトラを想わせるのか。おそらく両方を合わせた造語でしょう。俳句では夏の季語です。

しばらく観察したあと、あまり小さくて踏みつぶしかねないので、そっと窓の外に移してやりました。