一昨日10月20日は鳥海山の湧水・表流水の調査で二ノ滝〜渡戸、山ノ神〜高瀬峡〜二ツ沢などに出かけたのですが、その中からいくつかの湧泉をご紹介します。
高瀬峡の遊歩道に入って間もなくヒノソの蔭ノ滝に向かう道が右に分岐します。湧水の沢である二ツ沢を渡ってすぐにまた、左に分かれる枝道がありますが、じつはこれは杉林の中を通って10分ほどで長坂道に合流する非正規の道です。なぜ正規ではないかというと、もともとはヒノソが増水していて渡れないときのバイパスとしての作業道だからです。高瀬峡遊歩道の第一吊橋ですでにヒノソを越してしまうので、ヒノソの増減にかかわらず左岸から右岸へと安全に行き来できるわけです。ちゃんとした登山道ではないので季節等によっては若干分かりにくいところもあり、基本的に地形図を読める程度の力がないと逆に道に迷ってしまう可能性もあるので安易にはおすすめできませんが、ヒノソの徒渉対策として覚えておくと便利です。
さてその道が長坂道と出会うT字分岐の20歩手前の右側に湧泉があります。それが1枚目の写真です。水量は大・中・小でいえば中クラス、温度は7.8℃でした。T字分岐を右に向かえばすぐにヒノソの長坂道徒渉点ですが、そのすぐ下流右岸にも大きな湧泉があります。
次に、そのT字分岐を左に向かうと数分でふたたび二ツ沢と出会います。長坂道はこれを渡り越して笙ケ岳のほうに行くのですが、この二ツ沢の源頭付近の湧泉が2枚目の写真。湧出箇所は多数あるので、全体の水量としては大です。水温は7.3℃。流水の中にも畔にもとにかく苔がじつに見事です。鳥海山広しといえどこれだけ苔がきれいに密に繁茂している沢はそういくつもないと思います。
駐車場のある山の神にもどりますが、その直近の沢が通称「山ノ神ノ沢」です。この沢も二ツ沢と同様に100%湧水の沢ですが、もともとはヒノソにまっすぐ落ちていたものを200年前の白井新田開拓時に人工的に用水として掘削して藤井〜野沢へと流れを替えてしまいました。この沢の源頭付近にある湧泉が3枚目の写真です。水量は大で、水温は7.8℃でした。この湧泉へは山ノ神ノ沢の左岸ぞいに上流側・東北東方向へ約300mほど歩きますが、これも二ツ沢源頭の湧泉と同様に登山道はありませんので、要注意です。