工房は自宅から車で10分くらい離れています。村はずれにあって飲食店などは一軒もありません。むろん経費や時間的な理由もありますが、昼食はほとんど工房内の台所で自炊しています。昼食だけなので栄養バランスとかはとりあえず考慮するほどのこともありませんし、特別ごちそうを工房での作業中に食べたいとも思いませんので、メニューはだいたいシンプルなスパゲッティか、ご飯+みそ汁+漬け物といったところです。
妻の実家で米を作っているので自宅の米はそれを分けてもらっていますが、工房の昼食用の米はふつうにお店で購入していました。毎日米を炊くわけでもなく、一回で1合(約150g)程度しか炊きませんので、消費量はたかが知れています。しかし今回は思うところがあって齋藤武さんの特別栽培米を購入しました。新米のコシヒカリとササニシキです。
齋藤武さんは鳥海山の遊佐町で有限会社鳥海山麓齋藤農場を経営しており、主に水稲と野菜を少し作られています。水稲は無農薬または減農薬の有機栽培です。鳥海山は湧き水が非常に豊富であるということを本ブログでも幾度も書いていますが、齋藤さんとこの稲も鳥海山の山裾の田んぼで湧水や雪解け水をたっぷり吸って育った稲です。冷たい水なので平地にくらべ収量は落ちますが、うまみはそのぶん凝縮されているとか。
さっそく炊いてみました。1日目はササニシキです。さっぱりしたクセのない味で、他の食べ物の味がひきたつしたくさん食べられそうです。若い頃のように何杯もおかわりしても飽きずに食べられるので、それには最適の品種かもしれません。二日目はコシヒカリです。ササニシキとは対極的にもっちりして甘みの多い品種。ごはん自体がおかずがわりにもなるような米で、数ある品種のなかでも現在圧倒的な人気があるのはうなずけます。ただたくさん食べると口にもたれる感じがあるかも、です。炊飯の水はいずれも胴腹ノ滝の湧水を使いましたが、予想どおりにたいへんおいしいご飯でした。
ただ残念なのは炊飯器で、工房用にと2年ほど前に買ったいちばん安い機種で、現在主流のIH(誘導加熱)式ではなく、容器の底からヒーターで加熱する旧タイプのもの。インターネットで調べてみるとIHにさらにさまざまな機能や工夫がプラスされ、値段も定価でなんと10万をこえる炊飯器もありました。実売価格5万前後はたくさん。そこまでこだわる気も余裕もありませんが、せめて2万程度のIH式炊飯器に「そのうち」買い替えしたいと思います。いい米なのにいまの炊飯器では逆にもったいないです。