ウォールナット変杢角形被蓋刳物 2点

 

洋家具の材料としてとくに最近絶大な人気をほこるアメリカ合衆国産のアメリカン-ブラック-ウォールナットですが、そのなかのさらに大径木で杢の出ている材料でこしらえた変杢角形被蓋刳物2点です。厚さ50mmほどのウォールナットの素材から加工した、正方形と長方形の蓋物。ふたつとも年輪に直交するようにしわ状の杢が出ています。仕上げは半艶塗装。

蓋はもとは同じ板ですが、40cm以上の幅広の板だけあって木取する場所によって木目の具合はずいぶん違います。正方形のほうは粗い木目ですが、長方形のほうはそれとは対照的に細かい縞模様の木目です。まるでゼブラウッドのよう。ウォールナットでここまで整然かつ明瞭なストライプが生じているのは珍しいでしょう。

2点とも、今年11月2日〜8日に酒田市のデパート「清水屋」の画廊でおこなう個展に展示する予定です。今回の個展はさまざまな銘木・杢板を素材とした一品物の刳物を30〜40点、+αを並べ、販売します。まだ10点以上は作らないといけないのですが、あと実質3ヶ月。ちょっと焦ってきました。

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No.529 ウォールナット変杢角形被蓋刳物 サイズは縦114×横114×高さ55×実の深さ34mm

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No.530 ウォールナット変杢角形被蓋刳物 サイズは縦150×横104×高さ52×実の深さ34mm

 

釜磯のポットホール

 

鳥海山が西側で日本海に没するところにある釜磯ですが、海岸の砂浜や溶岩の隙間から、さらには海の底からも大量の湧水が出ていることで有名です。その釜磯にはこれまで個人的な調査や海水浴、他の人を湧水に案内するなどして、これまで数えきれないほど通っているのですが、1ヶ月ほど前に初めて知ったことがあります。それがポットホールです。

ポットホール(pot hole)は日本語では甌穴(おうけつ)といいます。甌はかめのことで、川底や川岸・海岸などで岩石の上に生ずる円形の穴のことです。かめ自体がいまはあまり用いられなくなったことや、読むことはできても書くことができない人が大半と思われる類いの漢字のためか、いまは英語のポットホールのほうが普通の呼称になっているようです。

岩石に割れ目などの弱い部分があるとそこが水流によって削られてくぼみとなります。いったんくぼみができると、その穴にたまたま入り込んだ礫が水流によって渦巻き状に回転し、周りの岩を削っていってさらにくぼみを大きくしていきます。

ポットホール自体は他の磯浜や河川で何度も見たことはあるのですが、この釜磯のポットホールは形が非常に整っていることや直径80cm深さ60cmほどと比較的大きいこと、そして特筆すべきことは1804年の象潟地震で山形県と秋田県の県境付近の南北両側の海岸が1.5〜2.5mほど隆起した証拠である可能性が高いことです。象潟の「九十九島」は浅い汽水湖に百以上の小島が浮かぶ、宮城県の松島とならび称されるほどの景勝地だったのですが、地震で一夜にして陸地化してしまいました。

現在の海面は1枚目と3枚目の写真に写っているようにポットホールから2mくらい下にあります。つまり現在では海がものすごく荒れたときに波しぶきをあびることはたまにあっても、ふだんは波による浸食はほとんどありません。それなのにこんな高い位置にポットホールがあるのは、やはり1804年の激しい地震であたり一帯が一気に持ちあがったからでしょう。それまではおそらく海水面ぎりぎりくらいの位置にあったと思います。(※ 海水の作用によってできたので、正確には海蝕甌穴というそうです。)

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上から見下ろしたポットホール。穴には雨水がたまって、なにやら小さな虫がいっぱいいた。

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底がよく見えないのと、深さや穴全体の形状などを確かめたかったので、バケツで水をかいだした。すべすべのじつにきれいな窪みで、まさにポットホールである。雨が降ればまたすぐに水がたまるだろう。

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ポットホールより一段高いところにもポットホールになりそこねた浅いすべすべした窪みがある。わずかの高低差が、海蝕の強度の違いとなって表れたことがわかる。

 

鳥海山 鉾立の展望台より

 

鳥海山の山岳観光道路である鳥海ブルーラインや鳥海高原ラインをときおりドライブします。自宅が山の麓に近いところにあるので、簡単にアクセスできるのがありがたい。

写真は7月3日の午後4時前くらいのもので、鉾立の駐車場から山道を15分ほど登った展望台から。晴れてはいたものの奈曽渓谷から断続的に雲がわきあがってきて、それがまたいい感じに急峻な山肌を覆います。奈曽渓谷は鳥海山の中でも随一の険しい谷で、深さは350mくらいあります。谷の底のほうは40〜50万年ほど前の古い地層で、上のほうは約10万年前。何度も溶岩が流れて高くなっていったので、対岸の稲倉岳の壁面には縞々の地層が観察できます。

登山者が多く、頂上または鳥海湖・御浜あたりまで行って帰ってきたらしい人たちがぞろぞろと下りてきます。しかし私のように咲いている花にいちいち目をとめて観察したり写真を撮ったりする人は稀で、素通りしてしまう人がほとんど。残念なことです。大平の駐車場周辺もあわせて私は30種類近くの花に出会うことができました。

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トレッキングシューズ

 

革性の登山靴がだいぶくたびれてきており、靴底もすり減ってきたので、トレッキングシューズを新調することにしました。革製ではなく合成皮革と樹脂皮膜による、いわゆる軽登山靴。冬をのぞくスリーシーズン対応ですが、ゴアテックスの内張がほどこされているので、ちょっとした残雪くらいならぜんぜん平気です。靴底はビブラムのトレッキングシューズ専用のものです。

本格的な冬山登山はもう体力的に無理と思いますし、低山域の雪山なら登山靴よりもむしろ長めで防雪防寒仕様のしっかりした長靴+厚手の靴下のほうが便利です。冬の湧水の調査などでは沢の中をじゃぶじゃぶ歩いて行くことも少なくありません。

トレッキングシューズも夏場の低山域から、雪渓や岩場の斜面や稜線を含み冬山ではないだけで本格的な高山まで、対象とする靴の作りには幅がかなりあります。近くの山の軽いハイキング程度なら、私は作業用のスニーカーを履いていくこともあります。今回仕入れたこのミズノ(Mizuno)のウェーブナビゲーション(WAVE  NAVIGATION)はトレッキングシューズとしてはハードタイプといえるようです。

私はミズノは初めてですが、いくつかの通販のユーザーのコメントをみると、なかなか評判はいいよう。値段的にもとくに高いわけではありません。色合いは茶系と写真のグレー系のふたつがあるのですが、汚れが目立たずかつあまり鈍重な感じのしないグレー系にしました。

まだ室内で試し履きしただけですので、実際山に登ってみたらまたレポートしたいと思います。

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荒ぶる夕焼

 

昨日の夕焼けはじつにドラマチックでした。午後6:50〜7:10くらいの時間ですが、自宅の窓から夕焼けをみて、これはぜひ写真を撮らなければと思い、コンデジを片手に大急ぎで外に出ました。

高層の雲とは別に、ごく低いところを黒雲が猛スピードで通り過ぎていきます。雲の色は赤橙色から黄色、水色、灰色、そして黒とめまぐるしく変化していきます。最後は2両編成の電車が北の方に走り去っていきました。

絵はがき的な静かなきれいな夕焼けだけでなく、こういった荒ぶる表情の夕焼けもたいへん美しく、すてきです。

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サンディングブロック

 

サンディングに限りませんが、木工品の加工では、凹凸の凸面=外側を加工するのに比べ、凹面=内側を加工するのはずっと手間がかかりますし、外側と同等程度にきれいに正確に仕上げるのは至難のわざです。手や道具が入るくらいの大きさの凹みならまだいいのですが、指先がかろうじて入るくらいのものとなると、既成の手道具はほとんど使えません。

そこで内側を刃物で切削したあとに、すべすべに均して磨き上げるのはもっぱらヤスリやサンディングペーパー(研磨紙)の出番となります。写真は刳物の内底を仕上げているところですが、市販のブロックなどでは大きすぎて中に入らないので、自作のサンディングブロックを使っています。

クルミの幅19mm×高さ28mmの角材を60〜80mmにカットし、指にはさんで支持できるように凸型に加工したものです。幅はなぜ19mmと半端な数字なのかというと、底にサンディングペーパーを貼りつけるための「はってはがせるタイプ」の両面テープの幅が20mmだからです。はみ出した部分はサンディングペーパーを貼る前にカッターできっちり切り取ります。その後に貼付けたペーパーの処理も同じです。ペーパー掛けはとくにエンドがだいじなので、確実にペーパーが木工品の内隅に届くようにするためです。

ブロックの底は平面がきちんと出てないと意味がないので、角材を凸型に加工したあと分厚いフロートガラスに貼ったサンディングペーパーの上で円をえがくようにこすって研磨します。黄色のマスキングテープに記した180という数字は、底に貼ったサンディングペーパーが粒度180番であることを示しています。このブロックは長さや粒度を変えて多数必要です。

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コーヒーブレーク 82 「含水率」

 

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葦原中国含水率拾割とはなりにける

[あしはらのなかつくに がんすいりつじゅうわりとは なりにける] 日本が「日本」と呼ばれるようになったのはわずか1300年ほど前、7世紀後半から8世紀初頭のこと。その前はもっぱら「倭」と呼ばれていた。また倭や日本が現在のように地理的に日本列島と重なるともいえず、その範囲は確かなことは不明である。物理的な距離や船運の機動性を考えると、現在の朝鮮半島の一部が日本であってもおかしくないし(その逆もまたしかり)、反対に北海道などはまったき外国であったとしてもなんら不思議なことではない。どこに住みどんな人間を「日本人」と呼ぶのかと、真面目に考えていけばいくほどわけがわからなくなる。/葦原中国(あしはらのなかつくに)は、秋津島、敷島、大八州、大和、瑞穂国などと同じく日本の別称のひとつ。

雨雲をかきわけ来たり梅雨の星

[あまぐもを かきわけきたり つゆのほし] 梅雨である。終日ではないにしても、外での仕事や用事を予定する場合はいつも雨に降られる可能性を頭においておかなければならない。単に雨の日が多いというだけでなく、不安定でめまぐるしく天気が変わることが多く、最新の3時間毎または1時間毎の予報でさえ外れることは珍しくない。メッシュが粗いので、それに漏れたごく局地的な雨ということもあるし。

夭折のやまかがし猫の首輪ほど

[ようせつの やまかがしねこの くびわほど] 人間が若くして逝ってしまうことを夭折というわけであるが、しかしながらいったいなにをもって夭折である・なしに分かれるのであろう。まず年齢であるが、赤ん坊や幼児や小学生くらいだと、病気であれ事故であれあまりにも早い死であって、ふつうは夭折とすら呼ばれない。やはり中学生以上の少年期からだろう。またいくつまでかといえば30代前半くらいまでかなという気はする。それは青年期の真っ盛りという感じであって、40代にもなるともう人によりけりではあるものの、やはり死んでも夭折とはふつうは呼ばれないだろう。/いやいや、じつは年齢区分もさることながら、実際に「夭折した◯◯」と称されるのは、小説家なら小説で、画家なら絵画や版画で、音楽家なら音楽で、平均水準よりはだいぶん高い成果を成した者でなければ、いくら少年期・青年期の真っ盛りに死んだとしても夭折した◯◯とは呼ばれない。結局その世界で生前であれ死後であれその仕事を高く評価された者のみが夭折と呼ばれるのにふさわしいのであって、三流芸術家や一般庶民の場合は何歳で死のうと夭折などという言葉とはほんとうは無縁なのである。

 

庭の花 3

 

わが家の庭に咲いている花です。それほど数が多いわけではありませんが、途切れることなく何かの花が必ず咲いています。ナツツバキは3年前に植木市で苗木で買ったものですが、背丈はあまり伸びていませんが、今年はかなり蕾の数が多いです。

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園芸品種ですがユリ各種

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ナツツバキ(ツバキ科) 別名シャラノキ=沙羅木、自生では新潟県以西といわれる。ツバキの仲間は常緑生であるが、このナツツバキやヒメシャラは落葉性。花は径50~60mmの白色。

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オウゴンマルバマンネングサ(黄金丸葉万年草 ベンケイソウ科) 緑色のマルバマンネングサの変種。ポット植えのものだが、黄花が咲いた。

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ドクダミ(ドクダミ科) 別名の十薬はさまざまな薬効があることから。名前が損しているのか、世間一般ではあまり好まれないようだが、白い独特の花が美しく、匂いも先入観を排してみれば別に臭いわけではない。

 

ジオガイド講座で地層めぐり

 

昨年から「鳥海山・飛島ジオパーク」の認定に向けて、酒田市・遊佐町・にかほ市・由利本荘市が動いているのですが、それに合わせて民間からガイド希望者が各種の講習を受けています。初年度が初級講座で、それをクリアした人は翌年度は上級講座にすすむことができます。

現在上級講座を受けてジオパークのプロのガイドを目指している人は40名弱いますが、私もその一人です。プロといってもほんとうにそれを本業とされている方は全国でもごく少数で、まあほとんどのガイドはせいぜい副業程度ですね。とはいえ、お金をいただく以上、いいかげんな案内や説明はできないので、しっかりとした技術・知識を身につける必要があります。

ジオパークは多岐にわたるので、講座の内容もいろいろなのですが、先日6月11日は「酒田エリア」の第4回目の講座で、午前午後とも旧八幡町のなかの特徴的な地質があらわれている露頭を6カ所みて回りました。講師は地層地質専門の池田充直氏。

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古升田?の土石採掘場入口の露頭。中央横の礫層はかつての河川の跡で、岩の傾きから右側が上流であったことがわかる。

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三保六(さぶろく)の化石床。16万年前くらいは浅い海で、そこに住んでいた貝が大量に寄せ集められ化石となった「化石床」のある地層。下の写真の中央横向きの白くつぶつぶとあるのが貝の化石。

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中台(なかだい)の亜炭層。かつて沼地であったところに植物の遺骸がたまり、その後の熱と圧力で亜炭化したもの。左下面の黒っぽい横筋がそれである。

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白玉川右岸の玉ねぎ状風化岩。海でできた玄武岩の層が隆起して陸地化したところで、鉄分を多く含むため岩の表面から風化して玉ねぎの皮のようにうすく剥がれる。

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白玉川右岸の硬質泥岩。上の玉ねぎ状風化のあるところからいくらも離れていない場所の泥岩で、板状に節理が入る頁岩である。草薙層。薄く剥がれ硬いのでかつては矢じりにも使われたようだ。

 

桑の実と木苺

 

クワの実とモミジイチゴの実です。上の写真はクワですが、黒っぽくなっているのが詰みごろで、橙色のはもうちょっと熟してから摘みます。昨年は3回ほど収穫しジャムを作ったのですが、へんな添加物の入っていないクワの実ジャムはじつにおいしいです。撮影時は事情があってすぐに帰らなければならず、摘むことができなかったのですが、次回まで他の人や鳥たちに食べられていなければいいですけどね。

下の写真は俗にいう「木苺」です。葉の形がもみじに似ているのでモミジイチゴというのですが、いいあんばいに熟したものを選んでその場で食べます。痛みやすいので、よく選ばないとおえっとなるかもしれません。

いずれも山野でふつうに見られる木の実で、毒はなく生でもおいしいので手軽に食すことができるのですが、山奥でもないのにほとんどの場合誰にも採られないままになっていることが多くなりました。もったいない。

(※ その後、クワの実をたくさん摘んできて、ジャムを作りました。砂糖は「きび砂糖」で、ダークラム酒とレモン汁をすこし加えて仕上。今回は結果1.5kgのジャムができました。へんな添加物が入っていないとてもおいしいジャムです。プレーンヨーグルトにトッピングして食べるのが私はいちばんお気に入りです。)

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