渦を巻くようなみごとな綿毛。バラ科チングルマ属のチングルマ(稚児車)という高山性の落葉矮性低木です(Sieversia pentapetala)。綿毛は花が咲き終わった後の花柱が羽毛状にのびたもので、風のせいなのか花自体がそうなりやすい物性を持っているのか、つむじ風のように右または左回りに巻いていることが珍しくありません。花は白色5弁の虫媒花ですが、種子は風によって散布されます。
鳥海山には地面を覆い尽くすような大きな群落もそこかしこにあり、いっせいに白い花が咲いている光景はすばらしいものがあります。しかし花が終わってからの写真のような渦巻く綿毛の姿もなかなか情趣に富んでおり、私は開花期と同じくらいに好きです。
やがてこの綿毛もみな風に飛ばされて消え、葉が赤くなります。個体差があるので、3枚目の写真ではすでに半分くらい紅葉がすすんでいますね。