鍋森

鳥海山は複合成層火山で、約60万年の歳月の中で幾度となく大規模な噴火や山体崩壊を繰り返しているため、下からの一見おだやかで秀麗な山容とはうらはらに非常に複雑な地形をしています。

鳥海湖は噴火口の跡ですし、その周囲にある扇子森や鍋森は溶岩丘です。粘度の高い溶岩がむくむくと盛り上がってそのまま冷えて固まったのですね。また山体崩壊のほうは頂上(新山)北面の場合は約2500年前と比較的新しいためすぐにそれと分かりますが、じつは南西面の笙ケ岳〜御浜〜扇子森〜ボサ森〜月山森〜天主森の馬蹄形も古い山体崩壊の跡です。

崩壊して巨大な谷間になった後から鳥海湖付近から流れ出した溶岩が、その山体崩壊の凹みを埋めつつ麓近くまで達しました。その先端が八森〜山ノ神〜吉出山〜胴腹ノ滝〜金俣地区の急斜面です。また、崩壊した古い地層と、新たに流下した溶岩との境界線であり急峻な谷間となったものが、西側のヒノソであり東側の月山沢・西ノコマイ。つまりヒノソも月山沢も巨視的にみると右岸と左岸とでは地質が大きく異なるわけです。そうしたことを知ったうえで鳥海山を眺めるとまたちがった面白さがたくさんわいてきます。

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笙ケ岳第4峰(岩峰)北側の鞍部付近からみた頂上方面。左寄りの三角峰が頂上の新山(2236m)、その右奥で写真中央が七高山(2230m)、右端から左側に下ってくる尾根が行者岳・伏拝岳・文殊岳と続く外輪山。

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笙ケ岳第3峰付近からみる鍋森。左側ドームが鍋森の主峰、それより低く小さく写真中央よりやや右側のドーム〜右端の山体が前鍋森。そしてこの前鍋の背後に東鍋森がある。

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笙ケ岳第2峰と3峰の間の稜線(吊り尾根)上に点在する池溏(ちとう)と鍋森。

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笙ケ岳。左から第1峰(1635m)、2峰、3峰。

 

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