スプルスのまな板

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わが家で使用しているまな板です。材料はスプルス(ベイトウヒ)の無地の柾目板の一枚板。大きさは厚さ32mm、幅約24cm、奥行約36cmです。大きな魚をさばいたり、骨付き肉を叩いたりしなければ家庭ではこれくらいの大きさのまな板でちょうどいいのではないでしょうか。

まな板をブログでわざわざご紹介するのは、じつはいくつかまな板に対して経験的に思うところがあるからです。ひとつはやはりまな板はプラスチック製ではなく木がいいということです。包丁の当たりが柔らかく刃がいくらか板面に食い込むので野菜などがすっぱりきれいに切れます。

二つ目は「もの」としての味わいです。道具は用が足りればいいというのも一理ありますが、ほとんど毎日使うものなので見た目に美しく触って心地よいものであるにこしたことはありません。極端に値段が高くなってしまうというのであれば躊躇するかもしれませんが、しょせん家庭用のまな板です。材料や仕上げなどにこだわっても、プラスチック製や矧ぎ合わせ板などの市販のものに比べてそれほど大きな違いが出るわけではありません。

まな板はよく「片面を野菜や果物用に、もう片面を肉や魚など用に使い分けるといい」と言われますが、私は反対です。上の写真のまな板は完全に片面のみの使用です。裏面と側面(木端・木口)には家具用のオイルフィニッシュの塗料をしみ込ませてあり、水やよごれをはじくようにしています。

ひとつの面でなんでも切るわけですが、できるだけ汚れないように使う前にかならず先に水で板面を濡らしふきんで余分な水気を拭き取ってから食材を切るようにします。こうすると水が一種のブロックとなってまな板に汚れが付着または浸透することをかなり防ぐことができます。もちろん完全に防ぐことはできませんので、血や泥や汁などで汚れたらすぐに洗う習慣をつけるようにします。使用後は立てるか吊るすかして乾かします。ずっと伏せたままにしておくのはよくありません。

使うのは一面だけで、他の面は汚れにくい状態にしてあるほうが、むしろ目がよくとどき手入れはしやすいと思います。とはいえ肉・魚の調理の頻度が高く、どうしてもその匂いなどが気になる場合は、まな板自体を複数にし、それぞれのまな板を上記のような処理+片面のみの使用とすれば清潔度が高く保てるでしょう。

当工房ではこれまでお客さんからの注文でまな板を何度か作ったことはありますが、それはあくまでも例外的な仕事です。しかし、あらためて聞いてみると家庭用に木のまな板のちゃんとしたものがあればいいなという声は少なくありません。スプルスであれば柾目の板幅24cmくらいはなんとか調達可能ですし、このさい定番的な商品として製作、販売してみようかなと考えています。

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