工房での昼食は原則として自炊で、基本メニューはご飯+味噌汁+漬物各種であることは、これまで当ブログで何度か触れました。その中でも最も重要なご飯は、1年半ほど前から鳥海山麓齋藤農場(齋藤武代表)の特別栽培米のササニシキを炊いています。
それまではご飯よりもプレーンなスパゲッティを作ることが多く、ご飯を炊く場合でもごく普通の市販米をヒーター式の電気釜で炊いていました。工房で一人で食べるのだからと、7000円くらいの安い炊飯ジャーを使っていたわけです。しかし齋藤さんの米を食べてみると明らかにそれまでの米よりおいしい。これではせっかくのこの米がもったいないのではないか。そう思い直してほどなく買い求めたのが写真の圧力式IH炊飯ジャーです。象印のNP−NC10というモデルです(1.0リットル、5.5合炊き)。
さっそくササニシキを炊いてみると、これが感動的においしかったのですね。きちんと栽培された米を、きちんと炊くとご飯てこんなにうまかったのかとしみじみと思いました。2枚目の写真にあるように蓋は頑丈な二重の蓋になっており(写真では中ぶたを上ぶたから取り外して置いています)、なべ(かま)と密着して100℃よりもやや高い温度で炊くことによって米の旨味を効率的に引き出すようです。圧力調整弁とか安全弁とか、いろいろ並んだメカニカルなパーツも心をくすぐるものがあります。
メニューはものすごく多彩で、白米から炊き込みご飯・すしめし・おこわ・おかゆ・玄米・雑穀米・おこげなどがあり、また同じ白米でも温度と圧力のかけかたを微細にコントロールすることで「しゃっきり」から「もちもち」まで5段階、さらに「熟成炊き」と反対の「白米急速」と、計7段階の炊き方を選ぶことができます。私はあまり粘り気がなくやや硬めのご飯が好きなので、ササニシキを「しゃっきり」で炊いています。スイッチを入れるとすぐに高温加熱するわけではなく、まずゆっくり給水するしかけのようで、その後もよくいわれる「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋とるな」式の炊飯を内蔵コンピュータ=AIがうまくやってくれます。
たいていは一人分の炊飯なので米の量は1〜1.5合程度、上記の設定で1時間ちょうどで炊きあがります。ふつうの常識的な「前もってうるかしておいてから」炊飯するよりも、研いですぐに炊飯器のスイッチを入れ、炊けたらすぐに食べるというのがいちばんおいしく感じられます。もっとも保温して数時間たったご飯でもこの炊飯ジャーなら文句はありませんが。
炊飯するときの水は胴腹ノ滝の湧水です。ミネラル分が少ない硬度9〜10の超軟水です。米を研ぐのは地下水を源とする公共水道の水ですが、ざっと4回研いで、最後はその米をざるにあけて極力水を切ったあとに、炊飯器のなべに米と胴腹ノ滝の水を等量入れています。
この炊飯器はすでに製造中止(在庫品の販売はまだあるようですが)で、後継機種にとってかわられていますが、自宅用には後者で同格のモデルであるNP−BA10をすこし前から使っています。いずれも税込希望小売価格は57500円ですが、インターネットでさがせばそれの半額近い値段で購入できると思います。象印にも圧力式IH炊飯ジャーでもっと値段の高い11〜13万ほどもするモデルもあるのですが、実際に使っている人の評価ではそれほどの大きな差はないという声が多いようですし、私およびわが家としては今使っているモデルで十分です。またガス式の炊飯器や土鍋がおいしいという声をきくことがしばしばありますが、木工作業中にそんな悠長な、かつ危ないことはしていられないので、やはり電気釜のほうが私は断然いいです。