これまでの木工用錐が切れなくなってきたので、幾種類か新調しました。左から先三角ショートビットの径8、9、10mm、右側の長い錐は角ノミ盤に装着する角ノミの刃(ケース)+専用の錐のセットで、径12mm(12×12mmの四角穴をうがつ)のものです。
木工用錐は通常のものだと先端に細かい螺旋が切ってあるので、それがガイドとなってあまり力を加えなくても木に穴をあけていきます。建築工事などで比較的ラフでかつ貫通する穴あけであればそれでいいのですが、家具作りなどではできるだけ精密に、しかも貫通しない一定の深さの穴をあけたい場合がしばしばあります。そうしたときは先端の螺旋はかえって障害になります。
先端が三角錐なだけで螺旋が切ってないビットであれば、押したぶんだけ木に入っていくので微妙なコントロールしやすいのです。また全体の長さも短いほうが回転したときのブレが少ないです。それで家具や建具製作などの木工では「先三角ショートビット」という錐をよく使うのですが、なぜかこのタイプの錐を扱っている実店舗はほとんどありません。みな先が螺旋のものばかりです。一般の方は螺旋のない先三角のビットがあること自体知らないのではないでしょうか。
角ノミのほうは、角ノミ盤用の錐製作の最大手(ほとんど唯一?)=中橋製作所が、角ノミ盤および専用錐需要が減って経営が危うくなったために、一時は錐の入手が不可または非常に困難とされていました。「こりゃたいへん、仕事ができなくなる」ということで、大急ぎで在庫の錐をかき集めた木工所や建具屋さんも少なくありませんでした。しかしその後再開&立て直しの目処がたったらしく、最近では必要なぶんだけ短期間で購入できるようになりました(他の人はパッケージが新しく今風になったと言ってましたが、私のところに届いたのは昔ながらの紙箱でした)。
木工用の錐に限りませんが、刃物は使えば多かれ少なかれ必ず摩耗して切れ味が鈍くなります。切れない錐を無理に使っていると切り肌が荒れるだけでなく、最悪の場合摩擦熱で軸がぼっきり折れてしまうことがあります。そうならないように錐はまめに研がなくてはなりません。砲弾形のヤスリでケース先端内面を、平ヤスリで錐の毛引刃と切刃と先三角を自分で研ぎます(研ぐのにもいろいろコツがあり、下手にやると刃をオシャカにしてしまうのですが、そのへんの細かいことはブログでは説明しにくいので省略します)。