ケヤキのいささか変わった杢で、今回のは鶉杢(うずらもく)です。ウズラは小さな卵がスーパーでも売られているように、体長20cmほどのキジ科の小さな鳥。体色は褐色の地にベージュや茶色などの濃淡のまだら模様があります。ちなみに卵の殻の斑点は鳥の個体によってパターンがほぼ決まっているらしく、卵を見ればそれを産んだ親が特定できるそうです。ウズラは食用としてだけでなく愛玩用にも古くから飼われてきたようで、身近に見慣れた存在の鳥といえるかもしれません。
そのためか、材木で鳥の羽毛を重ねたような雰囲気の模様が出ているものを鶉杢と呼んでいます。前回12/21のケヤキ変杢(かわりもく)は年輪自体が不規則に波打ち揺らいでいましたが、鶉杢は年輪とはべつの、しかも比較的規則ただしい細やかな凹凸(濃淡)の模様です。ケヤキの杢では圧倒的に玉杢が有名ですが、鶉杢は珍しいです。
写真は部分を拡大したもので、実寸は幅30cm弱。2枚ある板の全体の大きさは厚さ約40mm、幅470mm、長さは1050~1070mmで、共木(ともぎ。同じ丸太から採れた材木で、とくに連続的な板や角材同士をさすこともある)です。鶉模様になっているのは全体の半分くらいですが、その他の部分もさざ波のような細かい杢になっています。
当工房にとってはけっして安くはない材料でしたが、こういう変わった杢の材料は偶然出会ったそのときに無理してでも買わないと、あとからはほとんど入手の可能性がありません。
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