100Vの可搬型丸ノコは、数十年前から大工仕事などの木工には欠かせない電動工具となってきました。そして10数年ほど前からはさらに、現場仕事では必須の電動工具といえるのがスライド丸ノコです。この機械の丸ノコ部分は基本的に手持ちの丸ノコと同じものですが、下のテーブルにセットした材料を、精密なレールに沿って丸ノコが後方に移動しつつ材料をカットしていきます。刃は左右に大きく傾きテーブルも回転するので、二方向に任意の角度の付けて切ることができます。ストッパーを利用して一定の長さに切りそろえることも得意です。
機種によって切断可能な厚さや幅や角度はかなり差がありますが、大きな刃を装着できる機械は全体の寸法や重量も大きくなり、持ち運びするのはそのぶんたいへんになります。そのため、建設現場などでいちばん多く使われているのは直径190mmのタイプでしょうか。最近はその下の165mmタイプもときどき見かけるようになりました。
写真の機械は当工房で2台目のスライド丸ノコで、マキタの最新型LS0814FLです。刃の直径は216mmで、直角切断が65~75mm、左45度傾斜で47~50mm、右45度傾斜で20~30mmの切断ができます。20年近く昔に買った日立工機の最初のスライド丸ノコC8Fは、テーブルは回転せずヘッドも左にしか傾かなかったので、それにくらべればおどろくばかりに使い勝手がよくなりました。あと特徴としては切断する箇所のあたりをつけるのに便利なレーザー照射装置がついていること、手元を明るくするフレキシブルな蛍光灯、サイクロン式のダストバッグ、刃の電磁ブレーキ、といったところです。スライドは上下各2本の連動式で、切断最大幅は90度で312mmです。
この種の機械でいちばん重要なのは、いうまでもありませんが切断の精度です。じつは前の機種から買い替えたのもそれが大きな理由のひとつでした。ずっと使ってきての各部の摩耗もあると思いますが、切断面に刃の痕跡=ナイフマークがはっきり出てしまい、そのままでは接合ができなくなっていました。たとえば木口を45度で切った(留め切りした)角材を4本合わせて額物を作るといった場合でも、切断面が荒れているので手作業での修正が必要です。無駄な手間ですね。
大型200Vの固定式スライド丸ノコや軸傾斜丸鋸盤ほどではありませんが、こんどのLS0814FLは切った木口そのままで接合可能な程度の精度は出ています。レーザーやサイクロン式集塵装置も快適です。ただ、角度微調整の機構は奥まった位置に目盛があるなど若干難があります。
スライド丸ノコは可搬型の100V電動工具のなかでは、値段はもっとも高い部類に入ります。LS0814FLも定価だと113,000円(税別)。ホームセンターなどでちょっと見た目にはそっくりで値段がこれの1/3~1/4といったスライド丸ノコが売られていますが、精度や耐久性ははっきり言って話になりません。よけいなお世話かもしれませんが、まあやめたほうがいいです。