山あいの渓流近くや林野の湿った場所で、雪が消えるそばからまず咲き始めるのがショウジョウバカマです。ショウジョウバカマ(猩々袴)はユリ科ショウジョウバカマ属の多年草で(Heloniopsis orientalis)、和名は花を猩々の赤い顔に、葉を袴に見立てたものといいます。または能の猩々の衣装によるとの説もあるようです。
写真は鳥海山南西麓標高230mあたりの湧水の流れのそばに咲いていたものですが、沢筋の直近で比較的明るい開けたところに点々と生えており、ところどころ小群落を成していました。雪に圧迫されたロゼット状の根生葉はだいぶ痛んでいますが、その中心から短くかかげた花茎の先に淡紅色または紅紫色の花を数個横向きに付けています。まれに白色の花もあるはずですが、今回はみかけませんでした。
同所に咲いていたのはキクザキイチゲが少々くらいで、他の草花はまだこれからのようです。今冬はわりあい雪が多かったので、スプリングエフェメラル=春の妖精たちも出番が遅れているのかもしれません。