上の写真はイオン系列のスーパーマーケット、マックスバリューで最近みかけて購入したティッシュペーパーです。オリジナルブランド「ベストプライス」の商品のひとつで、原料の一部に牛乳パックなどの故紙を使用することでコストを下げたとあります。ティッシュ自体のコスト低減だけでなく、パッケージもそうとう簡略化していることが分かります。ややグレイッシュなハーフトーン半艶の5色ですが、ここまでくるともはやデザインワークともいえないくらいのシンプルデザイン。巷にあふれるへんな、みょうちきりんな、ださい、へたくそな色柄のティッシュペーパーに比べれば、これはこれでむしろ潔いと言っていいかもしれません。
10年近く前までは、デザイナーやデザイングッズが大好きな人たちに絶賛されたティッシュペーパーがあったのですが、それはスコッティの繊細なストライプ柄のパッケージです。「そのまま部屋に置いても大丈夫なはじめてのティッシュ」とうたわれるほどの優れたデザインで、金属や木や革などでできたティッシュボックスを別途購入してわざわざティッシュペーパーを箱ごとそれに収納していた人も、スコッティならその必要はない、そのままのほうがむしろいいという評価でした。私もたいへん気にいっていました。ティッシュペーパーはまったくの日常的な消耗品ですが、すこし値段が高くてもできるだけスコッティを選ぶようにしていたほどです。数十円よけいに払うことで気分がよくなるなら安いものです。
ところが製紙業界の統合再編などの余波を受けたのか、スコッティのそのパッケージがあるとき変わってしまいました。同じストライプ柄ながらやけにくすんだ色合いと安っぽい紙質の箱になってしまったのです。あれは私としてはけっこうショックでしたね。いっそまったく別のデザインになったのであればあきらめもつくのですが、情けない「改悪」にすぎないわけですから。案の定、新パッケージのスコッティは不評だったようで、すぐに姿を消してしまいました。その後はカラフルな花柄やらなにやらのお決まりの退屈なデザインになり、今に至っています。
冒頭のマックスバリューのティッシュも、他よりはましかなというだけで、けっして気にいっているわけではありません。せいぜい消去法で選択するだけ。ただたしかに値段的にお買い得ではあるので、とうぶんはこれでいこうとかなと思っています。
私も昔はグラフィックデザイナーの端くれでしたので、じつはひそかに考案しているティッシュボックスのパッケージデザインがあるんですが……。誰か声をかけてくれませんかね。