1月21日の高瀬峡訪訪の3回目。山ノ神からは基本的に夏道の遊歩道に従って歩きました。ただし夏道は完全に雪におおわれているので夏場の地形がよく頭に入っているか、地図&コンパスを使いこなせないと道に迷う可能性が大です。とくに明瞭な尾根や谷筋に沿うわけではない、おだやかな起伏や細かな凹凸地形を横断していくようなルートの場合、悪天候で視界がきかない場合はよほど注意が必要です。
出発して間もなく右に長坂道、左に高瀬峡というY字分岐がありますが、その分岐からすぐに遊歩道の左側下にあるのが「木ノ根元ノ湧泉」です。カエデ類の樹木の下に大岩があり、その下の異なる地層との境界面から湧水が出ています(1枚目)。水量はたいしたことはありませんが一年中ほぼ等量の湧水があり、ヒノソの左岸斜面をトラバースし、尾根を左に横切って山ノ神ノ沢本流に合わさっています。水温は8.1℃、気温1.6℃。2枚目の写真がヒノソの左岸斜面で、転げ落ちそうな急崖の上片に幅40cmほどの人工水路がつくられています。3枚目は湧泉から下流側を眺めたところですが、向こうにちょうど遊佐町あたりの平野部が見えます。
高瀬峡遊歩道には二つの吊橋がありますが、最初の吊橋がヒノソにかかるものです。鉄製の頑丈な橋ですが積雪荷重は設計上考慮していませんので、雪が降り始める前に踏板は外してしまいます。山ノ神の駐車場には「冬期通行止」の看板が立ててありますが、要するに「あとは自己責任ですよ。怪我や遭難しても町は責任は負いませんよ」ということでしょう。それはそのとおりで別にかまわないのですが、春先はすくなくとも5月の連休前には板をちゃんともどしてもらいたいものです。去年(2011年)は5月11日になってもまだ設置されておらず、呆れてしまいました。遊佐町が二ノ滝渓谷とならんであれほど宣伝している高瀬峡ハイキングなのに、いちばん人が繰り出すゴールデンウィークになっても吊橋が渡れないというのは信じがたいです。
5〜7枚目は吊橋のすぐ下のヒノソのようすです。ヒノソは高瀬川の本流筋にあたる大きな谷川ですが、湧水の流入も一部あるとはいえ雨水主体の川なので冬期間は極端に水量が減ってしまいます。水面がかろうじてのぞいているのは比較的大きな湧水が合流する長坂道の徒渉点標高390mから下流。しかもそこから下はみな水面が開けているわけではありません。水量の大小や地形の如何によってまったく雪に閉ざされているところも少なくありません。ここ第一吊橋の下も今は細い流れがあるだけでした。しかしそのおだやかな水面に写る冬景色はたいそう美しいです。水温は1.6℃しかありません。湧水に比べると非常に冷たいです。