家具作りにも木軸のふつうの鉛筆を使います。デザインを考えたりラフスケッチを描いたりするさいの必需品ですし、製作の途上でもなにかと出番が多いです。加工の最終的な目安となる線(墨)は、より精度が必要なので細いシャープペンシルでひきますが、おおざっぱな削りや切断といった作業や部材の名前や向きなどをしるすには六画軸の通常の鉛筆を用いることが多いです。
その鉛筆の残り本数が少なくなったので文具売り場に行ったら、上のような鉛筆が置いてありました。三菱鉛筆の「uni★star」というシリーズの「uni Palette」という商品です。パレットという名前からもうかがわれるように黒鉛の鉛筆ながら軸が何色にもきれいに塗られています。暖色系統と寒色系統があるらしく、HBの暖色と2Bの寒色をそれぞれ一箱ずつ購入しました。値段は定価だと500円かな。
箱のラベルに「かきかた」という文字もあるので、どうやら小学生低学年などを主な購買層として想定しているようです。しかし、これは私のような「もの作り」の現場にいる大人にとっても非常に魅力的な鉛筆といえます。机上の仕事ならともかく、実際の製作は木屑や木片や機械・道具が散乱する中で行われることがふつうなので、鉛筆もいわゆる「大人っぽい」色調、つまり小豆色や暗緑色やエコロジー的な無着色のカラーリングではたちまち行方不明になってしまうおそれがあります。その点この「uni Palette」のような鮮やかな色の鉛筆ならとても目立つので所在がすぐに分かります。紛失もしにくいでしょう。
同種の黒鉛筆ながら、まるで色鉛筆のように軸色を塗り分けるという発想は、一種の「コロンブスの卵」といっていいと思います。私としてはさらに欲をいえば、2Bが赤系統、Bが黄色系統、HBが緑、Hが青、2Hが紫にし、それぞれ一箱6×2本セットとすればその6本が赤なら赤の範囲で微妙に色調を変える。そして30本全体ならべるとなめらかな諧調を描く、くらいにすれば完璧です。ただそれだとコストがかかりすぎて「かきかた」鉛筆の範疇・価格では無理でしょうね。