ホゾ穴などの四角い穴をあけるときは角ノミ盤という機械を用います。200V三相交流電源でうごく機械で、床置きで設置し高さ155cm重量は300kgほどあります。穴をあけるのは基本的にはボール盤と同様にドリルを回転させて行うのですが、写真のように四角い中空のノミ(ケース)と、その穴の中を高速回転する専用のキリ(内錐)とが常にワンセットになっています。
ノミを強く押し付けて材料に切れ込みを入れ、そのそばからキリが削り取っていくことで四角の穴をあけていきます。穴の大きさ=ノミの大きさになるので、当工房でも3.2mmから30mmまで20種類近くのサイズの角ノミの刃を用意し、必要に応じて交換していきます。ホゾ穴はたいてい真四角より長方形の場合が多いのですが、材料を載せた台を前後左右ハンドルで移動させることで、縦長あるいは横長の穴を正確にあけていくわけです。
写真の角ノミは 15mmの大きさのものですが、キリが黒っぽくなっているのは穴をあけたときに摩擦で木が焦げたためです。硬めの木に深い穴をあけるのはただでさえそうとうの抵抗があるのですが、切れ味の劣った刃で無理に穴をあけると不正確でみっともない穴になるだけでなく、最悪の場合煙を出し火事のおそれさえあります。そのためすこし切れがわるくなってきたらすぐに刃を研ぐようにしなければなりません。
キリは先端の底刃と剣先の2カ所を目立てヤスリで、ノミは先端の内側を円錐形の回転砥石で研削します。ノミの外側は研いではいけません。ホゾとホゾ穴とは0.1mm以下の精度で応対させるので、うっかり外側を研磨してしまうと穴の大きさが変わってしまいます。ノミは深穴をあけても「抜け」がいいように、ほんわずかですが先端のほうが広がるような形状にメーカーで作ってあるので、その形を崩さないようにします。
研ぎの頻度は、材料の種別やホゾ穴の数や大きさに左右されますが、快適な切れ味を保つには1〜3台程度の椅子やテーブルの加工が終わるごとに研がなければなりません。手持ちの刃物と同様に、うまく研がないとかえって切れなくなり保ちもわるくなるので、やはり熟練が必要です。
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