工房の掛時計の秒針が白っぽくなっているのは前から気がついていました。針はアルミの薄板に艶消の黒で塗装しているので、不具合が生じてそれが変色してしまったのかと考えていたのですが、しかし最近その白さが尋常ではありません。
それで時計を壁から外して確かめてみたのですが、驚愕の事実がそこにありました。なんと秒針の表面がなにかの糸で隙間なく覆われています。じつに緻密で見事な仕事ぶりです。極細の細い糸でできているので蛾などの昆虫や蜘蛛のしわざかもしれません。ひょっとしてこれは繭ということでしょうか。ペーパーナイフの先でその白い皮膜の一部をはいでみると下から黒い塗装面が無傷で出てきましたので、塗料の変質ではないことは明らかです。それにもし変色などであるならば時針や分針も同様に白っぽくなるはずです。
それにしても動いている秒針だけを「そいつ」がせっせと網掛けするとはなんとも不思議です。ちっ、ちっと小刻みに1秒ごとに動くことが逆に「そいつ」の本能を刺激するのでしょうか? ぜひその作業風景をこの目で観察してみたいものです。「そいつ」に心あたりのある方はぜひ教えてください。
この時計以外にも秒針がむき出しで稼働中の時計は工房にあと2台あり、あらためてそのつもりで見ると、写真の掛時計ほどではありませんがやはり秒針だけが白っぽくなっていました。