先日研修で遠野市に出かけた際に、宿泊先の売店で「明がらす」という名前(登録商標)の菓子を買ってきました。写真はその容器の紙箱ですが、名前もロゴもパッケージもすぐれたデザインだと思います。
このお菓子は明治時代初めに、まつだ松林堂の初代松田隆さんが「くるみ糖」と称して製造販売。その後、二代目松田桂次郎さんが、くるみの切り口が、明け方に飛ぶカラスのようだということで「明がらす」と命名したといいます。
菓子自体はみな食べてしまったので(大半は私。甘党ですから)、下の写真はまつだ松林堂のHPから拝借したものですが、周囲の凹凸は日の出を、ゴマのつぶつぶはスズメを、そしてクルミの断片は3本足のカラスをイメージしているそうです。3本足のカラスといえば「八咫烏」(やたがらす)で神様の使い、縁起物ですね。
「明がらす」は米粉・ゴマ・クルミを主原料とし、保存料や着色料といった添加物をいっさい加えていない、素朴かつ奥行きのあるお菓子ですが、単に味の云々だけでなく、上記のような「物語」や「背景」が非常にうまくかもしだされていると思います。私自身、このお菓子はこれまで食べたこともなく名前もまったく知らなかったのですが、売店で数ある土産品の菓子類のなかで最初にかついちばん目を引いたのがこの「明がらす」でした。伝統的な元祖何々というと、時代錯誤で野暮ったい、あるいは大げさな見せ方のものが少なくないのですが、これは抑制がきいていて簡潔でとてもいいと思いました。
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