小簞笥というとなにやら和風っぽい感じですが、材質は左がアメリカン ブラック ウォールナット(ウォールナット)、右がアメリカン ブラック チェリー(チェリー)なので、むしろ洋風にミニチェストとよんだほうが似合っているかもしれません。両方とも同じ方からのご注文にて作らせていただいたもので、大きさは幅315mm、奥行355mm、高さ325mmです。抽斗の底板内寸はA4判の書類やファイルが楽に入る大きさにしています。Mさん、まことにありがとうございました。
ウォールナットもチェリーも欧米では家具材として昔から定評がある材で、最近とくにまた人気が高くなっているようです。とくべつ杢板や大判のものでない普通グレードの材料であっても、単価的に家具材としては最も高いほうの部類に入ります。ただ日本の広葉樹などとちがって広大な面積で昔から計画的に森林経営を行ない木材を生産しているため(とくにアメリカ&カナダ)、必要なぶんだけ必要な時に確実に材料が入手できる点は非常にいいです。
この小簞笥はもちろんすべて無垢材を使用していますが、本体の左右の側板と天板は長い板から順繰りに木取っているので木目が連続。接合は前留合わせ(とめあわせ=45度で合わせ)の9枚組です。また3杯の抽斗の前板は幅300mm以上の一枚板を3つに切り分けて使っているので、やはり木目が連なっています。背板は段欠で本体に四方みぞばめにしています。
家具はサイズが多少変わっても作る手間はそれほど大きくは変わりませんし、小さいものほど加工の精度が厳しく求められるので、こういった小簞笥などはずいぶん割高な値段に思われるかもしれません。