写真は当工房で作製した家具の図面です。パソコンでCAD(図面作成ソフト)で作製したものではなく、昔ながらの簡易ドラフターを用いての手書きです。A4サイズの1mm方眼紙に縮尺5分の1で描いています(大きめの家具の場合だと1/10)。それをリコピーして方眼の薄青の線を消して、本図面とします。
注文品の場合はリコピーした図面、つまり白黒の線だけの図面ではお客さんには分かりにくいので、本体部分を色鉛筆などで彩色し若干の注釈を追記などして渡します。注文品ではなく完全な単品製作のときは写真のような図面すら作らず、メモ程度で済ませることも少なくありません。当工房ではデザインを考え実施図面を描き実際に製作するのもみな基本的に同じ人間なので、それほど詳しい図面を必要としません。
もしもっと大所帯であるとか、製作のみの受託であれば、つまり図面をかく者と製作する者が異なっている場合はかなり詳しい図面が必要不可欠になると思います。全体の三面図(平面・立面・側面図など)だけでなく、部品ごとの詳細図も必要です。また、技術者ではない人が最終決定を行うなどの場合はイラストや模型も用意しなければならないかもしれません。それほどにいろいろな前準備が必要となれば、やはり専用のアプリケーションソフトを駆使して図面を描いたりモデリングしたほうが効率的でしょうね。
個人の小さな木工房でも、パソコンで図面を作成したり3Dソフトでデザインの検討を行っているところも最近では珍しくありませんが、私の場合はいまさらそういうソフトを使いこなすだけの勉強をするのもたいへんだし、出費も痛いです。他のソフト同様に、一度導入するとパソコンのOSが変わったりした場合でもずっとデータを引き継いでいけるのか不安があります。なによりも少なくとも今現在、手書きのスケッチや図面でじゅうぶん間に合っているので、このままでいいかなというところです。