ブナのスポルトの刳物

 

ブナの丸太を1年間ほど工房内に置いていたところ、通常の干割れだけでなく、材の内部に濃淡の不規則で奇妙な紋様が生じていました。こういった材料のことを英語ではスポルト(sport)と呼んでいますが、競技・運動といった通常の意味のほかに、変わりもの・おふざけ・からかい・お調子者といった意味もあります。木材のスポルトは後者の意味でしょうね。(→関連記事は当ブログの3/5の記事をごらんください)

たいへんおもしろい材料であることは間違いがないので、試しに4つほど旋盤で削って器を作ってみました。木固剤を浸透させたうえに艶消しの塗装を4〜5回施して仕上げていることもあって、「白っぽくて硬くすべすべした」ふつうのブナのイメージとは大きく異なります。

ふつう家具材・木工用材として用いる場合、含水率を10%くらいまで下げた木材を使うのですが、このスポルト材はすでに干割れがあちこち生じており、このまま置いておいても、へたをするとすべて薪にしかならない可能性があります。現在の含水率は30%ほどあるのですが、あとから変形等が生ずる心配を承知のうえでの加工です。

 2〜3ヶ月くらい今後もようすを見てみますが、割れ等が生じてこないようであれば、ご希望の方には販売いたします。ただ上のような事情もあるので格安で。

 


No.551 ブナ・スポルトの器 直径106mm、高さ102mm、深さ67mm。太い枝の部分で、芯を含んだ状態での木口(断面)削り。濃淡や黒い筋などいろいろ生じている。


No.552 ブナ・スポルトの器 直径146〜149mm、高さ51mm、深さ32mmであるが、径の幅方向は長さ方向に対してすでに3mm縮んでいる。極端にいえば楕円形に歪んでいるのだが、割れが生じなければこれはこれでおもしろい。


No.553 ブナ・スポルトのボウル 直径144〜145mm、高さ57mm、深さ38mmで、丸くころんとした厚手の作り。ナッツなどを入れるのにいいかも。


No.554 ブナ・スポルトの器 直径130〜132mm、高さ38mm、深さ23mmで、4個のなかではいちばん小さい。はじめはNo.552と同じ大きさの材料から削り出したのだが、もとから内部にあった干割れなのか、それとも削る過程で後から生じた割れかはっきりしないものの、1mm近い極薄にした縁に割れがあったので、それを削り取っていったらずいぶん小さくなってしまった。

 

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