大型の掛時計

 

滋賀県のUさまからご注文いただいた大型の掛時計です。直径は400mm、厚さは45mmあります。医院を5月上旬に開業するので、その待合室にとのご希望でした。当方もやりかけの仕事や連休中の予定もあり、1ヶ月だけ待っていただきました。当工房とは初めてのお取引なのですが、インターネットで「掛時計」を検索していて当工房で以前に作った「ユーランダケアエ」の画像ならびに当該ブログ記事に行き当たったとのこと。

ユーランダケアエとはちょっとへんなネーミングですが、クルミ科のことを学名ではJUGLANDACEAEといいます。無垢の木の大型掛時計はこれで3個目ですが、いずれも外側のフレームをアメリカン-ブラック-ウォールナットの厚板を丸く切り抜いてこしらえていることからの名前です。

以前のものはフェイス(文字盤)にもやはりクルミ科のサワグルミの幅広無地の薄板を使っています。今回も当初はそのつもりでいたのですが、あいにく在庫の板がいくらか寸足らずだったので、セン(ハリギリ)に変更しました。どちらも国産の広葉樹で色が白っぽい材で、しかも経年変化してもそれほど色が濃くならないという特徴があります。ウォールナットのほうは実物は写真よりももっと濃い色なので、それとの対比をねらっています。時針と数字は真黒=本黒檀の1mmと2mm厚の薄板を糸鋸で切り抜いて作っています。

市販の「木製」の掛時計の場合、オール無垢の木で、かつフレームが完全に一木からの切り抜きというものはありません。量産品でそんなばかみたいにコストがかかるものやリスクの大きいものはやってられませんからね。フェイスもせいぜい合板の突き板ですし、時針や数字はプラスチックか金属製、もしくはレーザー加工機による焼き込みですね。

いろいろな変わった仕掛けのある時計や、カジュアルまたはカントリー、ファンタジックな時計などは私自身が好みではないので、モダン&シンプルのデザインにしたのですが、無垢材のみのそういったタイプの掛時計となると世の中的にもきわめて稀かと思いますが、ニーズがまったくないわけではありません。

さらに今回は医院の待合室ということで、ムーブメントも電波式にしました。初めて採用するのでじつはうまく動くかどうか心配していたのですが、結果オーライです。電池を入れると自動で針が12時の位置までぐるぐる回り(長針は12回転→短針は1回転)、次いで5〜15分くらいで電波を受信するとその位置までまたす〜っと動いてぴたっと止まります。以後はおそらく10秒ごとくらいに長針が微動しつつ時刻を合わせている感じです。

これくらい大きな掛時計となると家庭用には大きすぎるでしょうし、当然値段も張りますので、在庫はなく完全受注生産です。寸法も材料に合わせて作りますので若干の差異が生ずることがあります。

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