ペーパーウェイトDtypeを製作中です。三次下拵を終えて、厚みと幅と長さをそろえました。ホゾとかミゾとかカーブなどの具体的な加工を施す前の、材料の厚みと幅(と長さ)を正確に所定寸法にそろえることを「分決め(ぶぎめ)」と呼んでいます。分は尺貫法の長さの単位の分(約3mm)のことですが、メートル法になっても昔からの慣例が残っているのですね。
このペーパーウェイトは単なる四角の棒状なものではなく、各面に微妙に勾配やアールが付いています。それは持ちやすさや見た目のニュアンスのためにという理由もありますが、もうひとつはいちばんいい杢が表面=上に来るようにするための方向決めという意味もあります。紙等を押さえる下面はどうしても傷や汚れが付きやすいので、せっかくの杢のいいところが下に来ないように、また隠れたりしないようにするわけです。
もっとも明確によしあしがわかる場合だけとはかぎらず、どちらを上向きにするか迷うこともしばしばです。しかしいつまでも思案していては仕事にならないので、えいやっと決めてしまうのですが、その後に細い油性マーカーで上下や通し番号を記入します。写真ではそれぞれの木口に同じ数字をふたつ記していますが、これは上下二つに切って中にステンレス丸棒の重しを入れるためで、他の材料と混同しないようにという理由によるものです。