すべて45度

180/60/48mmの小さな指物の箱ですが、すべての接合部が45度の角度でできています。蓋をかぶせた状態では天地前後左右どこからみても材料の厚さが見えない、角は一本の線となっています。

これはご注文のジュエリーケースですが、最初にメールで仕様図面をいただいたときは、少々面食らいました。できあがってみれば、一見どうってことのない小箱のようですが、実と蓋を完全に合わせそれを真鍮の角棒を差し込んでロックするという、じつは非常に手の込んだ難しい仕事です。材料もチークで素木仕上げ、しかも面取りはいっさい無しでとおっしゃる。

下の写真は右から蓋・実・4mm角真鍮込栓ですが、接合部がみな45度でできているのがお分かりでしょうか。込栓は実の二重底の間を通過して蓋を貫通してロックするという仕組みです。精密にといってもそこは蓋物。誤差がもしゼロなら、開け閉めが不可能になってしまいます。そこで実際には0.1mm程度の間隙と、1度くらいの傾斜をつけ「はじめはゆるく、最後はぴったり」と収まるようにしています。

面取りはほんとうにゼロにしてしまうと加工中にも完成してからも、とくに45度がむきだしの部分はぽろっと欠けてしまうので、0.3~0.5mmくらいの丸面を施しました。

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